題名:宇宙倫理学入門 人工知能はスペース・コロニーの夢を見るか?
著者:稲葉 振一郎
発行:ナカニシヤ出版(2016.12.23)
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☆☆☆☆★
宇宙開発がもたらす哲学的,倫理的な影響について書かれている本です.著者によると,日本初の宇宙倫理学の入門書とのことです.ついに宇宙も倫理が問われる時代が来たか,と楽しみに読みましたが,著者の専門というわけではないようで,多くはロボットについて割かれています.あと,副題が内容を反映していないので,☆減点.まあ,題名を決めるのは著者ではないことも多いのですが,やはり編集の方にも売れ行きだけを考えずに,内容を反映する題名にするように努力していただきたいと強く思います.
ちなみち,宇宙エレベーターについては「材料科学上の問題が未解決であるため,ここでは考慮の外に置く」との立場で,扱われていないのですが,それをいうなら恒星間航行を論じているのはバランスを欠いていると思います.宇宙エレベーターがある前提で,哲学的,倫理的な影響を考えると,また違ったことになるのではないかと思うので,ぜひそのあたりを話してみたいなと.