題名:数学に魅せられて,科学を見失う 物理学と「美しさ」の罠
著者:ザビーネ・ホッセンフェルダー
訳者:吉田三知世
発行:みすず書房(2021.3.16)
LOST IN MATH / How Beauty Leads Physics Astray
by Sabine Hossenfelder
2018
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☆☆☆☆★
現在の物理学がいかに美意識に頼って作られているかについて書かれている本です.物理と美とは一見対極にありそうな印象かもしれませんが,最先端の理論の構築などでは意外に,というか,必然的に美意識に拠らざるをえない,という状況や事情が,研究者へのインタビューを交えて丁寧に書かれています.物理に興味のない人には何のことを書いているのかわからない場面も多いと思いますが,そもそもそういう人はこの本を読まないか.
ちなみに,160ページに「未訳」と紹介されているワインバーグの『量子力学講義』は,本書の出版後に邦訳が出版されています.