2024年11月13日水曜日

物理学の視点

題名:物理学の視点

著者:江沢洋

発行:培風館(1983.11.25)


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☆☆☆☆☆


高校物理,確率微分方程式,量子力学についての「雑文」がまとめられている本です.論文ではないということで「雑文」と書かれたのだと思いますが,内容的には読み応え十分です.この本はわたしが高校生の時に初版でおそらく大学生の時に読んでいるのですが,あらためて江沢さんの本を読んでみて,かなり影響を受けているなぁ,と感じました.

14ページ4行目「(1.2)」→「(1.1)」.100ページ下から12行目,コンマ下げる.163ページ「(11.7)」→「(10.7)」.196ページ下から4行目にある文献3)がリストにない.216ページ12行目「最大公倍数」→「最小公倍数」(この後に火星と地球の公転周期の最小公倍数が17年くらい,とあるが19年弱).237ページ下から3行目「まきっとる」→「きまっとる」.

2024年10月8日火曜日

電磁場の発明と量子の発見


題名:電磁場の発明と量子の発見

著者:筒井泉

発行:丸善(2020.1.30)


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☆☆☆☆★


電磁気学と量子力学の関係などについて書かれている本です.歴史的なエピソードなどを交えながら書かれていて,読みやすい構成になっています.とはいっても,大学初年級の電磁気学,量子力学,熱力学の知識がないと,ちょっと難しいかもしれません.

2024年9月9日月曜日

ピアジェに学ぶ認知発達の科学

ピアジェに学ぶ認知発達の科学 J.ピアジェ(著) - 北大路書房

題名:ピアジェに学ぶ認知発達の科学

著者:J. ピアジェ

訳者:中垣啓

発行:北大路書房 (2007.3.20)


Piaget, J. (1970). Piaget's theory. P. H. Mussen (Ed.). Carmichael's manual of child psychology (3rd ed.) : Vol. 1. New York: John Wiley & Sons.


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☆☆★★★


アメリカの児童心理学のハンドブックに載ったピアジェの論文の翻訳が書かれている本です.見開きで左ページに翻訳,右ページに訳者による解説,という書式で,とても読みにくい.しかも本文よりも解説の方が文字が小さく,さらに前書きというには長い時節が本文の前にあるなど,分量的には多くなっていて,邦訳書というよりも訳者の著作といった方がいい感じです.


2024年8月25日日曜日

標準 ベイズ統計学

写真 : ベイズ統計学

題名:標準 ベイズ統計学

著者:ピーター・D・ホフ

訳者:入江薫,橋本真太郎,菅澤翔之助

発行:朝倉書店(2022.6.1)


A First Course in Bayesian Statistical Meathods

by Peter D. Hoff

2009


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☆☆☆★★


ベイズ統計について書かれている本です.実践的な内容で,ある程度統計やRについての知識のある人向けです(Rってなに? という方には向いていません).統計学では普通なのかもしれませんが,見かけない表現で数式が書かれていて,読みにくく感じました.

44ページ11行目「b+n-1」→「b+n-y」.193ページ3行目「実線全体」→「実数全体」.

間違いではないのですが,たとえば167ページ下から3行目の数式で「p」が異なる二つの意味に使われるなど,わかりにくい表現があります.

2024年8月23日金曜日

アブダクション 仮説と発見の論理

アブダクション

題名:アブダクション 仮説と発見の論理

著者:米盛裕二

発行:勁草書房(2007.9.20)


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☆☆☆☆★


演繹と帰納に並ぶ第三の推論としてパースが提唱したアブダクション(仮説的推論)について書かれている本です.同じことの繰り返しが多く,多少しつこく感じますが,アブダクションや他の推論との関係について考えることができます.

176ページ7行目「……天王星の摂度」→「……天王星の摂動」だと思います.著者がすでに亡くなっているので,原稿からこうなっていれば修正されないかもしれませんが.


2024年8月5日月曜日

人体の限界 人はどこまで耐えられるのか人の能力はどこまで伸ばせるのか


題名:サイエンス・アイ新書 人体の限界 人はどこまで耐えられるのか人の能力はどこまで伸ばせるのか

著者:山﨑昌廣

発行:SBクリエイティブ(2018.3.25)


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☆☆★★★


人体の限界について概説されている本です.とはいっても,網羅的に書かれているわけではありません.なんというか,値段なりという感じです.資料として入手しましたが,残念ながらあまり使えそうにありません.

2024年7月25日木曜日

ことばのデータサイエンス

写真 : ことばのデータサイエンス

題名:ことばのデータサイエンス

著者:小林雄一郎

発行:朝倉書店(2019.9.1)


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☆☆☆★★


統計学やデータ分析による言語学や文学の研究について書かれている本です.簡単な記述統計から機械学習まで書かれていますが,ほぼ概念についての記述にとどまります.言葉を計量的に扱う方法につていざっと知りたいという人には向いているかもしれません(著者が担当する入門科目用の教科書ではないかと思います).

76ページの図に「『差はない』と結論する」とありますが,正しくは「差は見られない」だと思います.著者自身も,前のページの本文には「差は見られない」と書かれ,さらに脚注で「『差はない』という結論ではなく『差が見られない』という結論が導かれることに注意してください」と書いています.