2018年8月10日金曜日

図像の哲学 いかにイメージは意味をつくるか

題名:叢書・ウニベルシタス 図像の哲学 いかにイメージは意味をつくるか
著者:ゴットフリート・ベーム
訳者:塩川千夏,村井則夫
発行:法政大学出版局(2017.9.10)

Wie Bilder Sinn Boehm
by Gottfried Boehm
2007

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☆☆★★★

図像について書かれている本です.いろいろなことが書かれている大作ではあるのでしょうが,図像とはなにか,がはっきりしないまま,しかも系統的ではなく論が進められていきます.哲学の本というのは,こういう感じなのでしょうか.苦手です.

101ページに「ガリレオがピサの斜塔で行なったとされる実験では,塔の上から同時に羽根と球体を落とすと,二つは同時に着地したという.両者が同じ速度で落下するというのは、観察とは矛盾する奇妙な主張である.」とあり,「ガリレオがなぜこのように明らかな不条理を主張し,その正当性を保持できたのか.」と疑問を提示した上で,それはガリレオが「『自由落下』という理論上の仮定」を思いついたからだ,という論を張っています.これはもう,なんだか何重にも過誤があってコメントする気にもならないひどい論です.まさかドイツでは,ガリレオは塔の上から羽根と球体を同時に落とし,二つは同時に着地した,と信じらているということはないですよね.しかもそう主張したのが「自由落下」を擁護するためとは.著者が間違えていたとしても,訳の段階で注などを入れて欲しかった.こんなのがあると,他の私の知らないところにもこのレベルのひどい論考があるのではないか,と心配になります.

資料として.

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