2019年2月25日月曜日

数学で物理を

題名:数学で物理を
著者:武部尚志
発行:日本評論社(2007.3.20)

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☆☆☆★★

高校から大学初年級の数学をつかって物理を説明しようという本です.「数学側」から見るとこう見えるのか,という意味で,新鮮でした.一度「物理側」から物理を勉強した人にオススメ.資料として.

2019年2月21日木曜日

概説 地球科学

題名:概説 地球科学
著者:針谷宥,服部定育,藤原嘉樹,渡辺暉夫,高橋伸幸,赤松守雄
発行:朝倉書店(1996.6.5)

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☆☆☆★★

地球科学に関するあれこれが書かれている入門書です.太陽系や惑星の形成など,進歩が早い分野では記述が古くなるのは仕方がありませんが,よくまとまっているので地球のことを全般的に知りたい方の参考にはなると思います.資料として.

2019年2月20日水曜日

理科系の論文作法

題名:理科系の論文作法
著者:高木隆司
発行:丸善出版(2003.8.30)

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☆☆☆☆★

論文や報告書などの作成のお作法が書かれている本です.題名に「理科系の」とありますが,論文の形式の説明などを除いて文科系でも使えると思います.とても読みやすく,学生が初めてレポートを書く前に読むのに最適だと思います(というか,それを想定して本を探しました).資料として.
164ページと165ページの図が混乱していますが,おそらく初版(手元にあるのは初版本です)だからで,重版がかかっていれば修正されているのではないかと思います(未確認ですが).

2019年2月14日木曜日

数学デッサン教室 描いて楽しむ数学のかたち

題名:数学デッサン教室 描いて楽しむ数学のかたち
著者:瑞慶山香佳
発行:技術評論社(2019.1.12)

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☆☆☆★★

数学画家を自称する著者によって,数学であつかう形を描く数学デッサンについて書かれた本です.前半は数学で出てくる形について,後半は簡単な形の描き方について書かれています.「数学デッサン」という言葉は著者の創作で,数式で表される立体をデッサンしたもの,とのことです.後半の描き方はとても丁寧に初心者,というか初めて絵を描く人でもわかるように書かれていています(鉛筆の削り方から書かれています).ただ,対象とする読者像が浮かばない(私が心配することではありませんが).デッサンの練習で描く石膏像に幾何学的な立体があるので,その参考にはなると思います.これで数学が好きになる人は,どのくらいいるかなぁ.

2019年2月13日水曜日

これだけは知っておきたい! 弁護士による宇宙ビジネスガイド New Spaceの潮流と変わりゆく法

題名:これだけは知っておきたい! 弁護士による宇宙ビジネスガイド New Spaceの潮流と変わりゆく法
編者:第一東京弁護士会
発行:同文舘出版(2018.11.15)

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☆☆☆☆★

宇宙での活動に関する国内法や国際法について書かれている本です.基本的に見開きで完結するように書かれていて,細切れの時間でも読みやすく工夫されています.内容的に新しいことはありませんが,宇宙法についてはじめて手にする本としてオススメです.

宇宙エレベーターについて3か所(p.28, 75, 78)で言及されています.この中で,ケーブルが自重で切れる長さが鋼鉄製のワイヤーで 15 km と書かれていますが,これは破断長のことですね.誤解が多いようですが,破断長は宇宙から垂らしたときに自重で切れる長さではありません.地表の重力で切れる長さです(実際には地球の中心からの距離が変わると重力も変わるので,仮想的な長さです).実際に静止軌道からピアノ線を垂らすと 7000 km ほどまで切れずに垂らすことができます.詳しくは『うちゅうエレベーターの物理学』に書いたので,そちらをご参照ください.

2019年2月10日日曜日

コンピュータ,どうやってつくったんですか? はじめて学ぶコンピュータの歴史としくみ

題名:コンピュータ,どうやってつくったんですか? はじめて学ぶコンピュータの歴史としくみ
著者:川添愛
発行:東京書籍(2018.9.7)

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☆☆☆★★

コンピュータのしくみを理系男子と妖精の対話形式で書かれている本です.ターゲットがよくわからない感があってどうなのかな,と読み進めたのですが,「あとがき」を読んで納得しました.大学での情報科学入門の講義録が元ネタだったわけですね.それも,書籍化しようとして一度没になった原稿が元とのことで,そういうこともあるのか,と手元の没原稿をじっと眺める……

安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定

題名:中公新書 安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定
著者:松田純
発行:中央公論新社(2018.12.25)

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☆☆☆☆★

安楽死にまつわる事柄の現在の状況について書かれている本です.よくまとめられていると思います.賛否はともかく,医療が高度に発達したいまの世界では,いつか自分や近しい人がそのような状況になるとも限らないので,知っておいて損はないと思います.資料として.

2019年2月9日土曜日

吃音の世界

題名:光文社新書 吃音の世界
著者:菊池良和
発行:光文社(2019.1.30)

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☆☆☆☆☆

自らも吃音者である医師によって書かれた吃音についての本です.まだまだ誤解のある吃音について,自らの体験を多く語っています.また,最新の医学的な事柄についても,わかりやすい語り口で書かれていて,好感がもてます.すべての人に読んでもらいたい本ですが,とくに教育関係の方は必読です.

インターネットは自殺を防げるか ウェブコミュニティの臨床心理学とその実践

題名:インターネットは自殺を防げるか ウェブコミュニティの臨床心理学とその実践
著者:末木新
発行:東京大学出版会(2013.6.25)

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☆☆★★★

インターネットを介したコミュニケーションを自殺予防に活かすことができるのかについての研究をまとめた本です.題名からは実践的な内容が期待されますが,そうではなく,文系の論文です.「はじめに」によると博士論文とのことで,然もありなん.商業出版物としてこれを出す東京大学出版会には,頭が下がります.資料として.

2019年2月8日金曜日

死に山 世界一不気味な遭難事故 《ディアトロフ峠事件》の真相

題名:死に山 世界一不気味な遭難事故 《ディアトロフ峠事件》の真相
著者:ドニー・アイカー
訳者:安原和見
発行:河出書房新社(2018.8.30)

Dead Mountain
by Donnie Eichar
2013

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☆☆☆★★

1959年のソ連・ウラル山脈で起きた不気味な遭難事故の真相について書かれている本です.不必要に長いが,読みやすいので気ならならいかもです.事故の真相についての結論は,まあそうでしょうね,という感じです.ただ,この結論に至るためにこの長さが必要か,とは思いますけど.

2019年2月6日水曜日

単位は進化する 究極の制度をめざして

題名:DOJIN選書 単位は進化する 究極の制度をめざして
著者:安田正美
発行:化学同人(2018.8.24)

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☆☆☆★★

国際単位系(SI)の基本単位のうち,長さ,質量,時間,電気,温度について書かれている本です.単位の定義の歴史的な変遷と,2019年5月に予定されている,定義改訂の実施に向けての動きにも触れられています.読みやすいのですが,ところどころ誤解されそうで気になるところもあります.たとえば,105ページのシリコン球の密度測定の部分では,方法を知っている人にはわかるかもしれませんが,知らないと混乱しそうです.全体的によく書けているのに,残念な感じです.

2019年2月4日月曜日

もしも「死にたい」と言われたら 自殺リスクの評価と対応

題名:もしも「死にたい」と言われたら 自殺リスクの評価と対応
著者:松本俊彦
発行:中外医学社(2015.5.30)

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☆☆☆☆★

精神科医療からみた自殺予防について書かれている本です.精神科医療側の視点からは考えたことがなかったので,いろいろ勉強になりました.ただ,読み進めるのに難儀した.内容が難しいのではないのですが,きつかった.資料として.


2019年2月3日日曜日

BISビブリオバトル部3 世界が終わる前に

題名:BISビブリオバトル部3 世界が終わる前に 創元SF文庫
著者:山本弘
発行:東京創元社 (2019.1.30)

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☆☆☆☆☆

美心国際学園(BIS)ビブリオバトル部の部員たちなどについてのお話です.今回はミステリーです.期待を裏切らない裏切られ方が期待通りです.ちょっと伏線がサービス過剰でネタ割れの傾向にありますが,読者層を考えると,そのくらいの方がいいのでしょう.いろいろ勉強になる一冊です.ミステリー読みとSF読みにオススメ.

2019年2月1日金曜日

キミのお金はどこに消えるのか

題名:キミのお金はどこに消えるのか
著者:井上純一
発行:KADOKAWA (2018.8.4)

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☆☆☆☆★

お金に関する素朴な疑問について描かれている漫画です.読みやすく経済の基本がわかります.難しい話は出てきません.でも,個人的には,最後のおまけのおはなしが一番参考になりました.Kindle 版にて.