著者:伊丹十三
発行:新潮社(2005.3.1)
--
☆☆☆☆★
伊丹十三が二十代の終わりに書いた最初の本の文庫版です.伊丹十三という人の書いたものをきちんと読んだことがなかったのですが,癖が強いものの,これがなかなか面白い.しかもこれを二十代に書いたというのだから驚きです.ご本人が描いたという挿絵もよい.
著者:伊丹十三
発行:新潮社(2005.3.1)
--
☆☆☆☆★
伊丹十三が二十代の終わりに書いた最初の本の文庫版です.伊丹十三という人の書いたものをきちんと読んだことがなかったのですが,癖が強いものの,これがなかなか面白い.しかもこれを二十代に書いたというのだから驚きです.ご本人が描いたという挿絵もよい.
編者:日本文藝家協会
発行:文藝春秋(2023.9.20)
--
☆☆☆★★
2022年に文芸誌に発表された短篇から日本文藝家協会の編纂委員が12篇を編んだ短編集です.宇宙エレベーターのお話がありましたが,こんなのでいいの,という感じ.他にもSF的なお話がありましたが,設定が気になって物語に入り込めませんでした.というわけで,面白いお話もあったのですが,それより文藝屋さんとの感覚の違いを痛感した一冊でした.
著者:トム・スコット=フィリップス
訳者:畔上耕介,石塚政行,田中太一,中澤恒子,西村義樹,山泉実
発行:東京大学出版会(2021.6.30)
SPEAKING OUR MINDS: Why human communication is different, and how language evolved to make it special
by Thom Scott-Phillips
2015
--
☆☆☆★★
言語の発生と進化について他者の意図を読む能力という視点から書かれている本です.冒頭の「意図明示・推論モデル」というアイデアは面白かった.興味深い内容なのですが,そのアイデアを補強するための説明がしつこいように感じました.
編著:OECD教育研究革新センター
監修:小泉英明
訳者:小山麻紀,徳永優子
発行: 明石書店(2010.12.12)
Understanding the Brain: The Brain of a Learning Science
by OECD
2007
--
☆☆☆★★
脳情報に基づく学習と教育への取り組みがOECDによってまとめられた本です.「神経神話」を払拭しようという姿勢が見られます.
59ページに「軸索が絶縁されていれば,まさに電線がそうであるように電流(つまり電気刺激)をより速く流すことができる」とありますが,軸索のミエリン化はともかく,電線を絶縁すると電流を速く流すことができるようになるという記述は誤りです.原文を見ていないので本当はなにをいいたかったのかはわかりませんが.
72ページ16行目「結合をを」→「結合を」.
著者:ジェフ・ホーキンス
訳者:大田直子
発行:早川書房(2022.4.25)
A THOUSAND BRAINS / A New Theory of Intelligence
by Jeff Hawkins
2021
--
☆☆☆★★
脳と人工知能について書かれている本です.前半が脳について,後半が前半の内容を踏まえて人工知能について,という構成です.後半はかなり著者の妄想ですが,その分面白かった.記述がくどいのが残念です.
編者:日本文藝家協会
発行:小学館(2022.8.5)
--
☆☆☆★★
2021年に文芸誌に発表された短篇から日本文藝家協会の編纂委員が11篇を編んだ短編集です.好みに合うものも合わないものもありますが,全般的に面白かった.新型コロナウイルス感染症が社会に与えた影響を感じます.
著者:田中幸,結城千代子
発行:雷鳥社(2023.7.30)
--
☆☆☆★★
身の回りの道具について「ブツリ」の視点で紐解こうということが書かれている本です.「まえがき」に「肩の力を抜いていただくために『ブツリ』とカタカナ表記にしています」と書かれていますが,カタカナ表記にすると肩の力が抜けるものなのか,気になります.また,間違いではないのだけれど,言葉の使い方の問題がある事柄についての記述も気になりました.たとえば241ページに「無重力状態」ではなく「ブツリ」では「無重量状態」である,とありますが,これは「重力」という言葉でなにを示すかによります.242ページの「ブツリでは『重さ』と『質量』は厳密に区別されます」という記述も同様です.まあ,高校物理教科書で使われる用語限定の話なのだと思いますが,もう少し丁寧に書いてほしかった.ぱたっと開くコデックス装はいいですね.