著者:小方厚
発行:講談社(2018.5.20)
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☆☆☆☆★
音楽と楽器について数学と物理学の視点から書かれている本です.この本で,長年の疑問だった「ふたつの音の周波数をずらして行くと,どの辺りからうなりが2音に分かれて聞こえるのか」について書かれていて,なるほどでした.
ただ,120ページに「両端が閉じた菅の中の空気の振動」が描かれ,その後に「菅の場合は息を吹き込むことで(振動が)生じる」と書かれているのですが,両端が閉じた間には息は吹き込めないなぁ,と思っていたら,199ページに「これでは空気を吹き込むことができない」とあって,ずっこけました.わかってるなら書いといてよ,という感じです.
また,200ページには右側が閉じた閉管の図が描かれていて,199ページに「右側が吹き口である」と書かれているのですが,閉じている側からは息は吹き込めないので,吹き口は左側ではないかと思います(閉管楽器の例は,パンフルート).その前に,クラリネットのようなリード楽器はリードが閉じている間は閉管,という記述もあり,その説明のためかと思いますが,リードは空気の振動数と同じ振動数で震えているので,閉じているのではないと思いますが,どうなんでしょう.その直後にクラリネットのソノグラム(スペクトル)を載せて「存在しないはずの倍音成分の意外に大きい」とあるのですが,それは閉管とはいえないからですよね.
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