題名:天梯のくにチベットは今
著者:堀江 義人
発行:平凡社 2006.3.1
ISBN:4582833179
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☆☆☆★★
チベットの現状についてのレポートです.厳しい制限の中で,よく取材されていると思います.深く掘り下げた記述がないのは,やむを得ないことなのでしょう,きっと. チベットは一度は行ってみたい「国」のひとつですが,観光化が進んでいるとのことなので,心境は複雑です.北京からラサまでの鉄道も開通しました.ますます行きやすくなると思います.しかし,小笠原諸島などと同じで,観光客が大勢来てしまうことで,観光地としての価値がなくなってしまうような気がします(と言いながら,自分も行ってみたいという,大変勝手な話ですが).モンゴルもそうですが,放牧で生活を営む地域というのは,土地の生産性が低く,密度の小さい資源を有効に,しかも根絶やしにすることなく利用する知恵があったようです.そのような土地に大勢の観光客が来て,都会並みの快適性を求めると,結果は見えています. もっとも,チベットにはチベット仏教が根付いていて,そう簡単には変わらないという気もします.心配なのは,ダライ・ラマ14世がご高齢になってきたことです.いまはお元気なようですが,いずれお亡くなりになるでしょう.その時に混乱や争いが起きないことを願っています.
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