題名: 「役に立たない」科学が役に立つ
著者:エイブラハム・フレクスナー、ロベルト・ダイクラーフ
監修:初田哲男
訳者:野中香方子、西村美佐子
発行:東京大学出版会(2020.8.27)
The Usefulness of Useless Knowledge
by Abraham Flexner
with a companion essay by Robbert Difkgraaf
2017
--
☆☆☆★★
プリンストン高等研究所の創立者と現所長による2篇のエッセイがまとめられている本です.二つのエッセイが書かれたのは1939年と2017年と80年の隔たりがあるのに,内容は似ています(似せて書かれた可能性もありますが).ただ,現在(2017年)の状況をある面から切り取っていることは間違いなく,1939年のその後の世界がどうなっていったかは,心に留めておく必要を感じます.
内容は興味深いのですが,編集というか構成で損をしている気がします.2篇のエッセイだけでは本にならないとの判断からでしょうか,コラムの数が多く,しかも本文を分断するように入っています.とても読みにくく,残念です.
22ページに「地球の重力場とこれらの衛星の動きは,時計の進み具合を早めたり遅くしたりし,一日に三十ミリ秒変化させる.もしアインシュタインの理論がなければ,GPS追跡装置は,一日でおよそ七マイル〔訳註:約六・四キロメートル〕の誤差を生むだろう」とありますが,「一日に三十マイクロ秒」の誤りだと思います.これだけなら単純な間違いのようにも思えますが,「七マイル〔訳註:約六・四キロメートル〕」はどうやって計算したのか疑問です.1 mile = 1.6 km なので,7 mile = 11.2 km ですよね.NM だとするとずれはさらに大きくなるし.どうやったら 6.4 km が出てくるのか疑問.原書を見ていないのでわからないのですが,もしかすると 7 mile の方が違うのかな? でも相対論で計算してもそうはならない気がしますが.
0 件のコメント:
コメントを投稿