2017年7月31日月曜日

闇が落ちる前に,もう一度

題名:角川e文庫 闇が落ちる前に,もう一度
著者:山本弘
発行:角川書店(2017.2.25)

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☆☆☆★★

4編のSFが収められている本です.もとの文庫本は2007年8月に出ているので,10年前.同じ著者の最近のお話とは雰囲気が違っていて興味深い.iBooks にて.

2017年7月30日日曜日

誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方

題名:誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 研究を成功させるための秘訣
著者:野島高彦
発行:化学同人(2017.7.10)

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☆☆☆★★

科学系(のうちの化学系)の卒業研究を念頭に研究ノートのつけ方が書かれている本です.題名には「実験ノートの書き方」とありますが,本文中で著者もことわっているように,研究全般を記録するノートの内容です.その意味で,題名は疑問です(私のようにつられる人が多いのでは).初めて研究を手がけるという人は読んでおくのがいいかも.学生実験の資料に使えるかな,と思って読みましたが,一部は使えるかなぁ,という感じです.

2017年7月29日土曜日

ウロボロスの波動

題名:ハヤカワSFシリーズ ウロボロスの波動
著者:林譲治
発行:早川書房(2002.7.31)

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☆☆☆☆★

ブラックホールを利用した人工降着円盤によるエネルギーで人類が宇宙に進出していく様子を描いたお話です.6編収められているうちの1編だけが書き下ろしで,あとはSFマガジンで読んだことがあるものでした.宇宙エレベーター(作中では軌道エレベーターですが)も出てきます.

2017年7月23日日曜日

太陽の簒奪者

題名:ハヤカワSFシリーズ 太陽の簒奪者
著者:野尻抱介
発行:早川書房(2002.4.20)

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☆☆☆☆★

ファーストコンタクトのSFで,SFマガジンに短編として載ったものを長編化したお話です.SFマガジンに載った短編を読んでいたので,買ってはあったものの未読でした.お話的に肝心な部分に説明不十分と感じるところがあり,気になってしまいます.全体的にはとてもよいのに,ホントに残念.それとも,私が読めていないだけ?

2017年7月22日土曜日

誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選

題名:ハヤカワ文庫 誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選
編者:野﨑まど,大森望
発行:早川書房(2017.4.15)

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☆☆★★★

広義のファーストコンタクトSFのアンソロジーです.題名はアニメ『正解するカド』をもじっていますが,ファーストコンタクトという点と,編者に『正解するカド』の脚本を手掛けた野崎まどが入っているというだけで,あのアニメとは無関係です.はじめの3本(筒井康隆,小川一水,野尻抱介)は面白かったけれども,あとはそれほどでも.コニー・ウィリスは読んだことあるし.書名に釣られたわけですが,それにしてもちょっとガッカリ.

2017年7月21日金曜日

新・宇宙戦略概論 グローバルコモンズの未来設計図

題名:新・宇宙戦略概論 グローバルコモンズの未来設計図
著者:坂本規博
発行:科学情報出版(2017.2.27)

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☆☆☆★★

日本の過去・現在・未来の宇宙戦略について書かれている本です.題名では「宇宙戦略概論」となっていますが,概論というより宇宙政策をまとめた資料集という感じです.

宇宙エレベーター(本書内では「宇宙エレベータ」.ただし,なぜかあとがきだけ「宇宙エレベーター」)についても随所で触れています.好意的に受け止めていらっしゃるのは嬉しいのですが,2030年〜2070年に「実現がほぼ確実視されているもの」のひとつとして挙げるのは勇足ではないかと.

パスポート学

題名:パスポート学
著者:陳天璽,大西広之,小森宏美,佐々木てる
発行:北海道大学出版会(2016.10.25)

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☆☆☆☆★

パスポートについて書かれている本です.日頃からお世話になっているパスポートですが,知らないことが多いと改めて感じます.ただ,同じような事柄がなんども出てくるのが残念.著者が複数なのでやむを得ないところもありますが,編集をもう少ししっかりした方がよいと思います(まあ,どうやって本にしたかは大体見当がつきますが).「パスポート学」という書名にするなら,宇宙旅行についても触れて欲しかったので,星ひとつ減点.

2017年7月20日木曜日

新・自転車“道交法”ブック

題名:新・自転車“道交法”ブック(エイムック 3721)
著者:疋田智,小林成基
発行:エイ出版社(2017.5,23)

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☆☆☆☆★

自転車で道路を走るためのルールについて書かれている本です.自転車で道路を走る人は必読といってもいいと思います.自転車で通勤していると,逆走ママチャリや並走中高生が多くて怖い思いをします.クルマやオートバイの免許を取らないと道路交通法については知る機会があまりないので,たとえば自転車を買ったら道路交通法の冊子が付いてくる,なんてことはできないのでしょうか.Kindle 版にて

2017年7月17日月曜日

ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書

題名:ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書
著者:アレックス・ラインハート
訳者:西原史暁
発行:勁草書房(2017.1.20)

STATISTICS DONE WRONG
by Alex Reinhart
2015

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☆☆☆★★

統計を使っている人向けに統計の誤用について書かれている本です.面白いのですが,式がないのでわかりにくく感じます.統計を使っている人向けならば式がある方がいいと思うのですが.とはいえ,私もp値を使っていたので(意味は誤解してはいませんでしたが)統計を勉強し直さねば.

最後の方で統計教育の話題として「FCI」や「ぴあ・インストラクション」が出てきて,アメリカでの PER(物理教育研究)の認知度の高さを改めて感じました.成功例として,さまざまな分野の方たちに認められているのですね.

ところで,原著は No Starch Press という出版社から出ているようですが,ここはオーム社の『マンガでわかる』シリーズの英語版も出しています.ですが,拙著『マンガでわかる微分方程式』は出してくれていません...

2017年7月16日日曜日

錆と人間 ビール缶から戦艦まで

題名:錆と人間 ビール缶から戦艦まで
著者:ジョナサン・ウォルドマン
訳者:三木直子
発行:築地書館(2016.9.6)

RUST
by Jonathan Waldman
2015

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☆☆★★★

錆と錆に立ち向かう人々について書かれている本です.錆というテーマはとても興味深いのですが,どちらかとういうと人に重きがおかれています.錆に期待していた私としては肩透かしを食らった感じで,残念でした.また,校正が不十分なのも残念です.たとえば,43ページに「三万アンプ」という記述がありますが,おそらく正しくは「三万アンペア」でしょう.109ページには「PPM(十億分の一)」とありますが, 十億分の一は parts per billion なので,正しくは「ppb(十億分の一)」.また,ppm, ppb, ppt は大文字ではなく小文字で表すのが一般的です.初刷ならばまだ見落としがあるかもしれません(私の本にもたくさん取りこぼしがありました...)が,私が持っているのは2刷なので,気がついていないのだと思います.

2017年7月15日土曜日

ナメクジ おもしろ生態とかしこい防ぎ方

題名:ナメクジ おもしろ生態とかしこい防ぎ方
著者:宇高寛子,田中寛
発行:農山漁村文化協会(2010.6.15)

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☆☆☆☆☆

ナメクジの生態と防除について書かれている本です.意外といっては大変失礼なのは承知の上で,意外なほど面白かった.ナメクジの生態が知られていなかったことや,防除法が確立していなかったことなど,とても興味深い内容が,平易に書かれています.科学的な考え方や調べ方についても分かりやすく説明されていて,科学的な研究について興味がある人が読む初めの1冊としても適しています.名著だと思います.ナメクジに悩まされている人にはもちろん,ナメクジなんて気色悪いという人にもオススメ.

2017年7月14日金曜日

毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか

題名:ヒストリカル・スタディーズ 毛の人類史 なぜ人には毛が必要なのか
著者:カート・ステン
訳者:藤井美佐子
発行:太田出版(2017.2.1)

HAIR A Human History
by  Kurt Stein
2016

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☆☆☆★★

髪にかぎらず毛について書かれている本です.本の構成やアイデアは面白いのですが,内容がもう一歩,という感じです.図版がもっとあるといいのでは.

2017年7月13日木曜日

BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない

題名:創元SF文庫 BISビブリオバトル部2 幽霊なんて怖くない
著者:山本弘
発行:東京創元社 (2017.2.20)

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☆☆☆☆★

中高生によるビブリオバトルの顛末が語られているお話の第二弾です.第一弾ほどのインパクトはありませんが,面白い.相変わらずキャラが立ってます.あ,あと,あとがきが面白いのは反則です.iBooks にて



2017年7月11日火曜日

BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女

題名:創元SF文庫 BISビブリオバトル部1 翼を持つ少女(上・下)
著者:山本弘
発行:東京創元社 (2016.4.28)

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☆☆☆☆☆

中高生によるビブリオバトルの顛末が語られているお話です.いやぁ,面白い.こうなるだろうな,という王道展開から外れることがない安心感があるにもかかわらず,どうなるのか先を読みたくなる.うまいなぁ,という感じです.読んだことのない本について語られると読み無くなってしまう,という点では,この本自体がビブリオバトルを具現化してます.キャラクターも立っていていて,人によって〇〇推しのようなファンがつきそうです.SF好きにオススメ.iBooks にて


2017年7月10日月曜日

栄養素の通になる 食品成分最新ガイド(第4版)

題名:栄養素の通になる 食品成分最新ガイド(第4版)
著者:上西一弘
発行:女子栄養大学出版部(2016.10.10)

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☆☆☆☆★

栄養素の基本が書かれている本です.食べ物やサプリメントとの関係が書かれているので,初めて栄養学のことを知る人にオススメ.その分,書き方が曖昧になってしまっているところがあるのは仕方がないのかな.栄養素と謳いながら最後に水か入っているあたりに,著者のこだわりを感じます.資料として購入.

2017年7月7日金曜日

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット

題名:働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」
著者:川添愛,花松あゆみ
発行:朝日出版社(2017.6.20)

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☆☆☆☆☆


機械や人間にとって「言葉が分かる」とはどういうことかについて書かれている本です.イタチたちの物語と現実の人工知能の解説で構成されていて,とても読みやすい本です.機械学習やディープ・ラーニングについて知りたいという人にオススメ.

ひとつ疑問なのは,なぜイタチなのか,です.イタチって,そういうキャラクターでしたっけ.

広い宇宙で人類が生き残っていないかもしれない物理学の理由

題名:広い宇宙で人類が生き残っていないかもしれない物理学の理由
著者:チャールズ・L・アドラー
訳者:松浦俊輔
発行:青土社(2014.6.10)

WIZARDS, ALIENS AND STARSHIP
by Charles L. Adler
2014

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☆☆★★★

SFやファンタジーに出てくるもののしくみを物理学の視点から読み解こうという本です.私が授業のネタで使っていた話題も出てくるので,SFを読む物理屋は一度はこういうことを考えるのだと思います.宇宙エレベーターの話題も出てきます.ただ残念なことに,書かれている数字が不正確です.その先を真面目に読む気が失せました.くだらないことを真面目に計算しているところが面白い本なのに,肝心の数字が正しくなくては魅力半減以下です.(青土社の方へ,依頼していただければチェックしますよ.ご連絡ください.)

2017年7月6日木曜日

地球は本当に丸いのか? 身近に見つかる9つの証拠

題名:地球は本当に丸いのか? 身近に見つかる9つの証拠
著者:武田康男
発行:草思社(2017.6.22)

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☆☆☆☆★

地球が丸いということを写真などを交えて解説している本です.以前担当していた自然科学についての授業で,「地球が丸いことを身の丈の視点から説明しろ」という課題を出していたので,先に本にされて,やられた,という感じです.学生の答えは,ほとんどの場合,本で読んだことやテレビで見たことが多く,体験に基づく説明はあまりありませんでした.よくあるのが,「沖から近づく船が上の方から見えてくる」という説明ですが,これを見たことがある人はあまりいないと思います.だって,水平線の下の船がどこから出てくるかなんて,ずっと沖を見張っていないと気がつかないはず.「沖に出て行く船」の方が可能性は高くなるでしょうが,それでも見たことがある人はそんなにいないと思います.オススメは船に乗ったときで,海図に書かれている灯台の高さと船の進路から,そろそろこの方向に見えそうだなと双眼鏡で狙っていると実際に見えてきて,「ホントだ」と感動します.

2017年7月1日土曜日

すずなの恋 2

題名:すずなの恋 2
著者:あづま笙子
発行:竹書房(2017.7.11)

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☆☆☆☆☆



『マンガでわかる微分方程式』でお世話になった,あづま笙子さんの新単行本です.面白かった.カバーに隠れている表紙と裏表紙に「おまけまんが」があります.電子版でもあるのかな?


ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

題名:ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム
著者:ジョディ・アーチャー,マシュー・ジョッカーズ
訳者:川添節子
発行:日経BP社(2017.3.28)

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☆☆☆☆★

テキスト・マイニングで抽出したベストセラーの特徴が書かれている本です.アメリカのベストセラーを対象にしているので,そのままでは日本の事情とは合わないことがあるとは思いますが,いろいろと示唆に富む本です.西内啓さんの解説とともに読むのがオススメ.ちなみに,この本を読めばベストセラーが書けるというわけではないので,ご注意を.