題名:絵を見る技術 名画の構造を読み解く
著者:秋田麻早子
発行:朝日出版社(2019.5.2)
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絵の見方について書かれている本です.美術館などでなんとなく絵を見ているだけでも楽しいですが,画家が絵に込めた意図やメッセージを読み取ることができるともっと面白くなります.そのための手がかりを詳しく教えてくれます.美術書などには書かれていることなので,とくに目新しいことはありませんが,例示されている絵の選択が素晴らしい.絵の意味を気にしていなかった方に,ぜひ読んでいただきたい本です.
40ページのラファエロの絵の説明に「弓矢のように矢印になっている」とありますが,矢印でものをさすようになったのはもっと後世になってからなので,ラファエロが矢印として意識したわけではないと思います.リーディングラインの説明として間違っているわけではありませんが.
他にも,構成の解釈などで異論のある部分(たとえば,132ページのティツィアーノの絵の「左の赤い旗が聖母子に対応する形でバランスを取って」というところは,赤い旗とバランスを取っているのは別の人物ではないか,とか)もありますが,そいういところも含めて楽しい本です.
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