2023年8月31日木曜日

記号論への招待


題名:岩波新書 記号論への招待

著者:池上嘉彦

発行:岩波書店(1984.3.21)


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☆☆☆★★


記号論の基本的な考え方について書かれている本です.コミュニケーションや言語について記号論の観点から述べられています.新書だからなのか出版年が古いからなのか,図版が少ないのが残念です.

2023年8月29日火曜日

詭弁論理学 改版

題名:中公新書 詭弁論理学 改版

著者:野崎昭弘

発行:中央公論新社(2017.4.25)


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☆☆☆★★


論理について書かれている本です.1976年に初版が出た本の改版のため、社会情勢などに違和感があるのはやむなしでしょうか.4章構成ですが,最後の章だけ毛色が違います.

2023年8月28日月曜日

聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで

題名:中公新書 聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで

著者:岡本亮輔

発行:中央公論新社(2015.2.25)


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☆☆☆★★


現在進行中の宗教と観光との融合の過程と意味が書かれている本です.前半はとても興味深い内容でしたが,後半で失速した感じです.新書一冊分の原稿量にするために後半部分を付け足したような印象です.それでも,宗教と観光のことについてはいろいろ考えさせられ,社会の現状と先行きを考えるヒントになりました.

2023年8月25日金曜日

移民たちの「満州」 満蒙開拓団の虚と実

題名:移民たちの「満州」 満蒙開拓団の虚と実

著者:二松啓紀

発行:平凡社(2015.7.15)


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☆☆☆☆☆


満州について書かれている本です.読むべき本だと思います.

2023年8月22日火曜日

人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」

題名:中公新書 人類の起源 古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」

著者:篠田謙一

発行:中央公論新社(2022.2.25)


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☆☆☆☆☆


古人骨のDNA研究の成果などをもとに人類の進化史やホモ・サピエンスの拡散について書かれている本です.主に「次世代シークエンサ」によって DNAを解析した結果に基づいて記述されているとのことですが,洞窟内の土壌に残るアミノ酸からも解析できるようになっているとのことで,そちらの方が驚きでした.書名は『人類の起源』ですが,分量としては起源よりもその後の拡散の方が多く書かれています.進歩の激しい分野だけに,執筆時にわかっていることとわかっていないことがはっきり書かれていて,好感が持てます.

90ページ4行目「図2-8」→「図2-7」

2023年8月19日土曜日

人新世の「資本論」

題名:集英社新書 人新世の「資本論」

著者:斎藤幸平

発行:集英社(2020.9.22)


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☆☆☆★★


存続の危機に直面している現代においてより良い社会を築くには経済成長を前提とする資本主義ではなく立つ成長を目指さなければならない,ということが書かれている本です.題名の「人新世」に惹かれて手にしましたが,議論のきっかけにはなっているような書き方にはなっているものの,議論の本質とは無関係でした.マルクスや『資本論』についてはまったく詳しくはないので本書の内容については正しいのか否かの判断はできませんが,同じことの繰り返しが多い印象です.もっとコンパクトに書けたんじゃないかな.

2023年8月9日水曜日

私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界

題名:私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界

著者:クリスティーン・ボーデン

訳者: 桧垣陽子

発行:クリエイツかもがわ(2003.10.31)


WHO WILL I BE WHEN I DIE?

by Christine Boden

1998


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☆☆☆★★


アルツハイマー病に罹った人によってアルツハイマー病であるとはどういうことかについて書かれている本です.アルツハイマー病の当事者がどう感じているかなどについて詳細に書かれています.ただ,いくつか残念なことがあります.キリスト教や神のことについても書かれていますが,これについては著者自身が「はじめに」で「とにかくすっ飛ばして」いいと自覚しているようです.主観的な記述についても,この本の性格上構わないと思います.しかし,著者が書いたのではない部分が多いのは受け入れ難い.「日本語版」で済ますにはちょっと余計な部分が多いので,星ひとつ減点.


2023年8月7日月曜日

ワンルームから宇宙をのぞく

題名:ワンルームから宇宙をのぞく

著者:久保勇貴

発行:太田出版(2023.3.25)


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☆★★★★

日常と科学にまつわるエッセイが書かれている本です.エッセイというより歌みたいだなぁ,と思って読み進めると,著者は短歌を詠むとのことで,宜なるかな.ただその感じが私のセンスとは相入れませんでした.

2023年8月4日金曜日

ヒューマンエラー 第3版

題名:ヒューマンエラー 第3版

著者:小松原明哲

発行:丸善出版(2019.10.10)


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☆☆☆★★


安全管理の観点からヒューマンエラーについて書かれている本です.読みやすく,すぐに読み終わります.本書中のたったひとつの図について知りたいためだけに購入しましたが,全編しっかり読みました.ヒューマンエラーって何,という人は読んでおいてもいいかもしれません.

文明における科学

題名:文明における科学

著者:伊東俊太郎

発行:勁草書房(1976.10.5)


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☆☆☆☆☆


自然科学について近代ヨーロッパの視点からだけではなく,いろいろな文明における科学を比較しながら論じている本です.ざっくりとしか知らなかったアラビア科学などと近代科学の関係やアラビア科学以前の変遷などが書かれていて,とても参考になりました.

2023年8月3日木曜日

言語の本質 ことばはどう生まれ,進化したか

題名:中公新書 言語の本質 ことばはどう生まれ,進化したか

著者:今井むつみ,秋田喜美

発行:中央公論新社(2023.5.25)


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☆☆☆★★


オノマトペとアブダクション(仮説形成)推論を軸に言語の本質について書かれている本です.興味深い内容が書かれていますが,学術的にどの程度の信憑性があるかについては不明です.同じことが何度も書かれているので星ひとつ減点.

190ページにChatGPTのような生成系のAIを念頭に「今のニューラルネット型AIは記号接地をせず(「記号接地をせず」に傍点)に学習をすることができ」とありますが,ChatGPTでは人が書いた文章を基にしているのでこの指摘はあたらないように思います.