2021年8月17日火曜日

言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか


題名:言語学バーリ・トゥード Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか

著者:川添愛

発行:東京大学出版会(2021.7.21)


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☆☆☆☆★


東京大学出版会のPR誌「UP」に連載されていたものに書き下ろしを加えたエッセイ集です.これまでの著者のスタイルと随分違って,「STO先生」の雑文のようだなぁ,と思って読んでいたら,本文や「あとがき」に理由のようなものが書かれていました.ある程度はそれで納得がいったのですが,それでも読んだ印象は,最初の6篇までとその後ではかなり異なります.はじめのうちは,言葉の粒度というか,織り目が詰まっている感じで,長く読み続けることができませんでしたが,あとになると軽く読み進めることができるようになります.次第に著者なりのスタイルというか,リズムができてきたのかな,という感じです.はじめの数篇だけ目を通して読むのをやめた方は,諦めずにもう少し読み進めることをお勧めします.

170頁に「米を洗う」という表現についての言及がありますが,「それはおかしい」という指摘に対して「無洗米」は「無研米」ではない,という反論が真っ先にあってもよさそうなのにな,と思いました.なにか意図があったのかな.

本文中の所々に矢印が出てきますが,この書体がとても気になります(たとえば,122頁).正方形対角線矢印(正方形の隣りあう2辺と対角線.独自の分類で,一般的な名称ではありません)という矢印で,これを文中に使うのは珍しいと思います.あ,ところで,こういった矢印の諸々についての雑文を連載させてくれる媒体を探しています.「T嬢」さん,いかがでょうか? ご連絡いただければ企画書を送ります.

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