題名:本日のエンジニアさん 家電のスタートアップ企業・カデーニャカンパニー
著者:たきりょうこ
発行:KADOKAWA(2021.2.17)
著者:たきりょうこ
発行:KADOKAWA(2021.2.17)
著者:あららぎ菜名
発行:飛鳥新社(2021.4.3)
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☆☆☆☆☆
東京藝術大学の受験について描かれている漫画です.藝大を目指すの浪人生の(おそらくは)実態が描かれています.高校生のときに同じ部活の先輩が美大受験を目指していて,多少は事情を知っていましたが,想像以上に壮絶なようです.でも,美大受験に限らず,受験勉強は無駄にはならないのだと,改めて感じました.なんだかまた,石膏や静物を描いてみたくなりました.つづきが読みたい.のブックにて.
作中に,自分を批判的に見るもうひとりの自分,が出てきます.絵でも勉強でも同じです.クリティカルシンキングの教材としても使えそうです.
編者:ジョナサン・ストラーン
訳者:佐田千織ほか
発行:東京創元社(2022.2.10)
MADE TO ORDER
edited by Jonathan Srahan
2020
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☆☆☆★★
ロボットや人工知能などの人工的な心や命にまつわる16のお話がまとめられている本です.とはいえ,結局ヒトの心の延長のような感じのお話が多く,期待外れでした.まあ,機械に心があったとしても理解できるかわからないので,一般向けのお話としてはウケないでしょうが,SFというならそのくらいとんがっててほしい.のブックにて.
著者:V. D. バーガー, M. G. オルソン
訳者:戸田盛和,田上由紀子
発行:培風館(1975.1.20)
CLASSICAL MECHANICS / A Modern Perspective
by V. D. Barger and M. G. Olsson
1973
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☆☆☆☆★
古典力学の教科書です.一通りの初歩的な力学や微分積分,微分方程式などの数学の知識を前提に書かれている本です.学生の頃に読みましたが,思い立ってまた読んでみました.あの頃は感心して読んでいた記憶がありますが,改めて読み直してみると,構成は上手いな,と思う反面,記述が荒いというか,もう少し丁寧に書いたほうがいいのではないか,と感じました.まあ,このくらい読めよ,という著者のメッセージなのでしょう.
p142の16行目「重力にの」→「重力の」(「に」をトル).p142の脚注「p.118」→「p.139」.p143図中「c」を太字に.p246の1行目式中のR^2→R^3.
著者:ジョルジュ・ジャン
訳者:田辺希久子
発行:創元社(1994.7.4)
Langage de signes l'ecriture et son double
by Georges Jean
1989
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☆☆☆★★
記号や象徴について書かれている本です.図版が多いのはいいのですが,文章は読みにくいのが残念です.もっと詳細な記述が欲しかった.資料として.
編者:松本三和夫
発行:東京大学出版会(2021.2.5)
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☆☆☆★★
科学や技術と社会との関わりを社会学の視点から捉えるための枠組みを提供することを目的に書かれている本です.この手の複数著者が各章を担当する本ではありがちですが,読みやすい章と読みにくい章の差が激しい.科学社会学ってどんなもの,ということを知りたいという方がざっと目を通すにはいいのかもしれません.そもそも社会学がわかっていないと,よくわからないので注意が必要です.資料として.
著者:藤岡啓介
発行:工業調査会(2003.3.15)
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☆★★★★
英語文書の作成と編集のためのルールと常識が書かれているハンドブックです.「本書のねらい」には立派なことが書かれており,内容はそのねらいの通りなのかもしれませんが,記述が正確でなければ元も子もありません.この本は校正をしているのでしょうか.校正漏れはなかなかなくせないものですが,あまりにもミスが多い.この本をハンドブックとして使うのはお勧めしません.あ,それから,単位記号が略号である旨の記述がありますが,SI単位においては略号ではありません.
以下に気がついた校正漏れと思われる点を挙げます.p51 “£” → “£”(原稿で通過記号を指示したつもりがそのまま掲載された?), p83 “a, b, c” → “a, b, c”(本文に「下線を施します」とあるにもかかわらず下線がない), p51 “分かりやるく” → “分かりやすく”(手書き原稿を誤読?), p85 “unite” → “unit”, p89 “– 12V” → “-12 V”, “3ma” → “3 mA”(単位の記法の誤解), p90 “under1ine” → “underline”, p91 “文章の区切りや小数点など数字では記号。を用いますが” (意味不明), p91 “記号の中黒を3点…のように打ちます”(三点リーダーは中黒みっつではない), p100 “their(彼らの)”トルまたは改行, p102 “altemative” → “alternative”(手書きの “rn” が “m” に見えた?), p105 “father-in-laws” → “fathers-in-law”, p107 “signa1” → “signal”, p107 “am” → “an”, p109 “rely a” → “relay”, p112 “合わせるます” → “合わせます”(アーニャ語を先取り!), p114 “air force logistic command” → “Air Force Logistic Command”, p114 “quantity” → “quality”(3か所), p115 “contrast” → “contract”(おそらくこの辺は手書き原稿を版に起こした人の誤読), p117 “計量価”?, p121 “substantiation rest” → “substantiation test”, p121 “supplier 改変された,改訂された” → “supplier 供給者”(?), p123 “鎧戸(よろいど)”トル?, p126 “落とし樋”トル?, p127 “lever”トル, p107 “am” → “an”, p131 “in” → “ir”, p139 “Amy” → “Army”, p107 “am” → “an”, p140 “antema” → “antenna”, p143 “cubic meters” → “cubic centimeters”, p145 “igma” → “sigma”, p148 “antema” → “antenna”(同じ誤読を何度も), p160 “Amy” → “Army”, p171 “lockon” → “lock on”, p172 “sel-” → “self-”, p175 “optica1 filter wave 1 ength” → “optical filter wave length”, p182 “蒸す”1字出す, p191 “sin” → “sin L”, p191 “chamel” → “channel”, p194 “sin2, cos3” → “sin^2, cos^3”(上ツキ), p194 “0・5” → “0.5”, p195 “fifty-sixty” → “fifty-six”, p160 “Amy” → “Army”, p196 数式中の “2” のフォントが変, p160 “Amy” → “Army”, p196 “{3y-(ax-y)” → “{3y-(ax-y)}”, p197 見出しの “I” を追加, p198 “mutual number” → “mutual division”, p198 “素約数” → “素因子”, p199 “有理数” → “有理式”, p160 “Amy” → “Army”, p200 “点兎”点と兎の間で改行, p207 “para6-9” → “para 6-9”, p211 例示が不適切, p212 “theri” → “the”, p222 “simulted” → “stimulated”, p244 “もっと手近の” → “もっとも手近の”, p258 “on” → “one”, p260 “証明” → “照明”, p262 “排気スタッフ” → “排気スタック”, p267 “pain” → “paint”.
著者:アンディ・ウィアー
訳者:小野田和子
発行:早川書房(2021.12.16)
Project Hail Mary
by Andy Weir
2021
☆☆☆☆★
ひとりの人が地球を救うためにいろいろするお話です.あまり書くと,というか,ちょっとでも書くとネタバレになるので紹介が難しい.面白いSFです.大きな嘘で世界観をつくったら,あとはその中で論理的に展開している感じは,アンディ・ウィアーだなって感じです.のブックにて.
著者:ミック・ジャクソン
訳者:田内志文
発行:東京創元社(2022.1.21)
TEN SORRY TALES
by Mick Jackson
2005
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☆☆☆☆☆
10編のどこか哀しい物語が編まれている短編集です.例外を除いて荒唐無稽なお話はなく,短編でありながら読み応えがあり,好みです.
著者:小林武彦
発行:講談社(2021.4.20)
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☆☆☆★★
生き物はなぜ死ぬのかを軸にして主に生物学について書かれている本です.前半は読みすすめやすかったのですが,途中から冗長になり,終盤に向かって奔放になっていきます.タイトルに対する著者の解答はかなり早い段階で示唆されているので,新書の分量になるように書き増したのかな,と勘ぐりたくなります.言いたいことがたくさんあったのかもしれませんが,もっと引き締まった感じにしてもよかったかも.
著者:国立国語研究所
発行:幻冬舎(2021.11.25)
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☆☆☆★★
主に日本語にまつわる疑問に対する国立国語研究所の研究者による回答が書かれている本です.各項目が短くまとめられていて,読みやすい構成になっています.それにしても,本書に限らないのですが,サブタイトルに「眠れなくなるほど面白い」とかをつけるのはどうなんでしょうね.看板に「うまい!」と書かれているラーメン屋みたいで,ちょっと不遜な印象です.まあ,感じ方は人それぞれなのでしょうけれども.
著者:三木那由他
発行:光文社(2022.8.30)
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☆☆☆☆★
フィクション作品の登場人物による会話を「コミュニケーション」と「マニピュレーション」という観点から説明している本です.約束事の積み重ねというコミュニケーション観や,会 話の機能をコミュニケーションとマニピュレーションとに分けて整理すると色々見えてくるということについては,なんとなくそう思っていたことが言語化されていて腑に落ちました.会話によって共有された約束事がその先の行為を束縛する,ということについては,「それって言霊?」と思ったのですが,本文での記述がないのはなにか意図があるのでしょう.それにしても,この帯はずるい.
著者:沖田瑞穂
発行:新潮社(2022.3.25)
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☆☆☆★★
神話について現代の小説や映画やゲームなどで生きているものとして解説されている本です.サブタイトルに「神話学53講」とありますが,学問についての講義が53回分ある,という意味ではなく,神話についてのトピックが53項目ある,という意味です.しかも,おそらく編集の意図でひとつの項目をふたつに割っているものもいくつかあるので,実質の項目数はもう少し少ないと思います.とはいえ,各項目が数ページに抑えられ,読みやすく構成されています.著者はインド神話の専門家とのことで,インド神話について書かれている最終章は面目躍如という感じですが,それまでの3章では世界各地の神話が紹介されていて,読み応えがあります.
著者:エドウィン・アボット・アボット
訳者:竹内薫
写真:アイドゥン・ブユクタシ
発行:講談社(2017.5.11)
FLATLAND
by Edwin Abott Abott
1884
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☆☆★★★
平面世界の主人公に低次元や高次元の世界はどう映るのかを描いた物語の翻訳新装版です.原書が書かれたのは19世紀,ヴィクトリア朝のイギリスでのことなので,社会情勢も小説手法も異なることを承知の上で読まないと,違和感があると思います.ただ,そこを差し引いても,2次元世界の住人の視覚や聴覚については疑問を感じます.まあ,そうしないと書けない,という事情もあるのでしょうが,なにか「大きな嘘」が欲しかった(と考えるのも現代の視座にいるからなのかも).
著者:ワーウィック・ヴィンセント
訳者:占部城太郎
発行:共立出版(2022.4.30)
LAKES: A Very Short Introduction, First Edition
by Warwick F. Vincent
2018
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☆☆☆★★
湖沼の科学について書かれている本です.原題の副題にある“A Very Short Introduction” が表しているように,湖沼についての科学(陸水学)という物理や化学,生物などを含む幅の広い学問分野を簡潔にまとめた入門書,という感じです.湖沼学の中で大きな割合を占めるだろう湖沼の成因や形態についてはあまり触れられていません.そのあたりを知りたかったのに,残念.
8ページの下から6行目,「1982年」は「1882年」でしょうか.
著者:稲垣栄洋
発行:新潮社(2022.2.1)
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☆☆☆★★
食材や料理にまつわるあれやこれやについて自然科学の視点から書かれている本です.各項目が短く,読みやすく書かれています.説明は簡略化されていますが,その分,読み進めるために要求される科学的知識度はあまり高くありません.『マギー キッチンサイエンス』では読むのが大変そうだけど食べ物の科学について知りたい,という方にオススメ.
73ページに「セルロースは,水素結合という安定した結合によりブドウ糖どうしがしっかりとつながれているので」という記述がありますが,「水素結合」ではなく「共有結合」ですね.
196ページ8行目に「果実は『永年性作物などの樹木から収穫される果実』」とありますが「果物は『永年性作物などの樹木から収穫される果実』」だと思います.
著者:内田昭利,守一雄
発行:北大路書房(2018.4.2)
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☆☆☆★★
科学的な根拠に基づいた教育のための調査方法のひとつとしての「潜在連想テスト」と,それによる調査で得られた,中学生の数学嫌いの多くが「偽装」であることが書かれている本です.「潜在連想テスト」というものがあることを知らなかったので,勉強になりました.ちょっと試してみたくなります.ただ,本書を読んでも具体的なテストについての事柄はよくわかりません.興味を持ったら論文や著者のサイトにアクセスしろ,ということでしょうか.科学的な根拠に基づいた教育が必要,という主張には全面的に賛成ですが,著者たちの方法以外についてはほとんど触れらていないのは(というか,日本においてはほぼない,という主張ですが)残念です.
著者:中室牧子
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2015.6.18)
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☆☆☆☆★
日本の教育政策には科学的な根拠が必要だ,ということが書かれている本です.不勉強で「教育経済学」という分野があることを知りませんでしたが,科学的根拠に基づいた教育研究は,物理教育研究の分野では定番なので,書かれている内容については概ね共感できます.ただ,一般向けを意識して書かれているように感じるのに,肝心の「エビデンス」という言葉の意味の説明が,言葉としては「第1章」から出てくるくらい本書にとって重要な概念なはずなのに,末尾の「補論」にあるのは不親切かと思います.
著者:高橋秀実
発行:ポプラ社(2022.3.14)
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☆☆★★★
おおむね,小・中学校の正式な教科となった「道徳」とは何か,について書かれている本です.おおむね,というのは,途中から明らかにトーンが変わるからで,奥付の前のページを見るとその理由がわかりますが,1冊の単行本としての分量を確保するために無理をしている印象を受けました.途中まで面白かっただけに,裏切られた感があります.
編者:集英社文庫編集部
著者:加納朋子,川端裕人,寺地はるな,酉島伝法,深緑野分,宮澤伊織,雪舟えま
発行:集英社(2021.1.25)
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☆☆☆★★
宇宙をテーマに編まれた短編アンソロジーです.宇宙をテーマにしているからといって,SFだけというわけではありません.7編それぞれに宇宙が感じられて楽しい.
著者:佐藤卓
発行:紀伊國屋書店出版部(2022.5.30)
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☆☆★★★
著者が手掛けたシンボルマークやロゴマーク120点についての解説が書かれている本です.読みやすさを優先して,見開き右ページにマーク,左ページに解説文,という書式にしてあるのだと思いますが,もう少し詳細な解説を読みたい印象です.
著者:こうの史代
発行:朝日新聞出版(2018.1.30)
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☆☆☆☆★
漫画の記号表現である漫符についての解説とそれが使われている漫画が描かれている本です.漫画を読み慣れている方にはどうということなく理解できる漫符ですが,記号である以上は誰かに発明されたもののはずなのに由来は意外と知らないな,と感じました.もはや漫符は漫画世界で閉じておらず,日常生活に溶け込んでいます.当たり前すぎて,これも漫符だったのか,というものもありました.記号表現に興味がある方にオススメ.
著者:新田英雄
発行:共立出版(1997.5.15)
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☆☆☆☆★
物理の「道具」としての特殊関数について若干の物語形式で書かれている本です.「はじめに」に書かれているとおり,特殊関数の本としては計算過程が丁寧に示されていて,ひとりでも無理なく学べるように配慮されています.物理で出てくる特殊関数がわからない,という方にオススメ.
123ページの下から5行目,行頭を1字出す.139ページの8行目「特性方程式」→「決定方程式」.141ページの式(8.23)内の「(N-m-1)」→「(N-(m-1))」,式(8.24)内の「C^l+1_0」トル.157ページの8行目,行頭を1字出す.(初版9刷にて)
著者:Harold McGee
訳者:北山薫,北山雅彦
監訳:香西みどり
発行:共立出版(2008.10.15)
On Food and Cooking: The Science and Lore of the Kitchine
by Harold McGee
2004
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☆☆☆☆☆
食品,食材,調理法などについて網羅的に書かれている本です.二段組850ページを超える大判本(1.7 kg !)ですが,それだけに食にまつわる事柄が丁寧に,科学的に記述されていて,事典的に使うこともできます.日本とは事情が異なる項目もありますが,一家に一冊置いておいて損はない本です.
32ページの左カラム11行目「酸化窒素」→「亜酸化窒素」.109ページの左カラム4行目「フランス人 J. A. C. チャールズ」→「フランス人 J. A. C. シャルル」その後に出てくる「チャールズの法則」は「シャルルの法則」とした方が教科書などの記述と合うので混乱がないと思います.180ページの右カラム下から4行目「さている」→「されている」.198ページの右カラム5行目「猟師」→「漁師」.756ページの囲み内4行目「40,000万回」→「40,000回」.761ページの左カラム2行目「電気」→「電子」.その後に,酸化マグネシウムや酸化アルミニウムの電子は共有結合によって強く結びついている旨の記述がありますが,これらはイオン結合の割合の方が大きいと思います.783ページの左カラム18行目「電位」→「電気」.(初版6刷にて)
著者:伊藤賀一
発行: 幻冬舎 (2022.3.30)
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☆☆☆★★
現代社会を読み解くための教養としての歴史と地理を,1週間1テーマで,各曜日を日本史・倫理・政治経済・現代社会・中学地理・中学歴史・公民の7科目の視点から,1日1ページで書かれている本です.このような形式なので,内容の深い記述は期待できませんが,中学・高校の社会科を広く薄く再確認することができます.「ブック」のオーディオブックにて.
著者:ロバート・P・クリース
訳者:吉田三知世
発行:日経BP(2010.4.26)
The Great Equations: Breakthroughs in Science from Pythagoras to Heisenberg
by Robert P. Crease
2010
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☆☆☆☆★
主に物理で出てくる数式を題材としてその意味だけでなく発見に至る経緯や背景などについても書かれている本です.原題にもあるように,ピタゴラスの定理から始まり,ニュートンの運動方程式や熱力学第2法則,マックスウェル方程式,シュレーディンガー方程式,ハイゼンベルグの不確定性原理などが取り上げられています.面白い本なのですが,これを面白いと感じるにはある程度の数学と物理の素養が必要で,よくこの企画が通ったなと思います.アメリカの出版事情は日本とは異なるのかな.
304ページのミンコフスキー空間の説明の中で「x軸に沿って等速運動する物体は,x軸に沿って動くと同時にt軸に沿っても一定の速さで運動するので,曲線によって表されることになる」とありますが,「曲線」ではなく「傾いた直線」ですね.
また,471ページの原注第3章(6)には,「ティコとコペルニクスの太陽中心説を信頼していたからこそケプラーは,プラーエのデータが(略)」とありますが,ティコ・ブラーエさんの名前の「ティコ」と「ブラーエ」をそれぞれ使うのはおかしい.それとも別の「ティコ」さんのこと?
429ページの「FG=」は「F_G=」(「 G」を下ツキに)ですね.
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
訳者:柴田裕之
発行:河出書房新社(2018)
HOMO DEUS: A Brief History of Tomorrow
Yuval Noah Harari
2015
☆☆☆★★
『サピエンス全史』の著者による人類がどこへ向かうのかについて書かれている本です.この本が書かれた時点とは世界が変わってしまった感があるので,そもそもの前提が弱く感じます.たとえば著者は,人間は何千年もの間課題でありつづけた飢餓と疫病と戦争を克服した旨の主張から本書を説きはじめていますが,いまとなっては疫病も戦争も克服したとは言い難い状況です.また,あとの章に進むに従って,著者の恣意的な記述が増えていきます.まあ,結論に向かって書いているのでそうなるのはわかりますが,そうかな,と思うことが多くなるのは興醒めです.参考程度に楽しんで読むことを勧めます.Apple「ブック」のオーディオブックにて.
著者:フョードル・ドストエフスキー
訳者:江川卓
発行:岩波書店(1999)
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☆☆☆★★
とっても長い小説です.いつかは読まなければと思いながらなかなか手が出ませんでしたが,オーディオブックで通勤時間に読み(聴き?)ました.登場人物が多いのですが,耳から入ると意外に理解できるようです.ただ,聞いていると気分が滅入ってくるのが難点.Apple「ブック」のオーディオブックにて.
著者:草上仁
発行:早川書房(2019.7.25)
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☆☆☆★★
草上仁の短編SFがまとめられている本です.一編あたり5分間で読み終えることができるかはともかく,短い時間で読み終えることができるのは確かです.
221ページの「網膜状」は「網膜上」でしょうか.
著者:ザビーネ・ホッセンフェルダー
訳者:吉田三知世
発行:みすず書房(2021.3.16)
LOST IN MATH / How Beauty Leads Physics Astray
by Sabine Hossenfelder
2018
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☆☆☆☆★
現在の物理学がいかに美意識に頼って作られているかについて書かれている本です.物理と美とは一見対極にありそうな印象かもしれませんが,最先端の理論の構築などでは意外に,というか,必然的に美意識に拠らざるをえない,という状況や事情が,研究者へのインタビューを交えて丁寧に書かれています.物理に興味のない人には何のことを書いているのかわからない場面も多いと思いますが,そもそもそういう人はこの本を読まないか.
ちなみに,160ページに「未訳」と紹介されているワインバーグの『量子力学講義』は,本書の出版後に邦訳が出版されています.
編集:ニコル・クーリッジ・ルーマニエール,松葉涼子
訳者:山川早霧,飯原裕美
発行:三省堂(2020.11.20)
Manga マンガ
Edited by Nicole Coolidge Rousemaniere, Matsuba Ryoko
2019
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☆☆☆☆★
2019年に大英博物館で開催された「マンガ展」の公式図録の日本語版です.日本にいて空気のように漫画に接していてはなかなかできない構成の展覧会だったようで,観ることができなくて残念です.公式図録の日本語版が商業出版として出てしまうところがすごいですね.奥付がなくて探したところ,カバーにありました.なにか事情があるのでしょうか.カバーの「アシリパ」さんがとてもいい感じです.オリジナルの図録も色は異なりますが構図は同じようなので,編集の方々のセンスが素晴らしかったのかな.資料として.
著者:尾脇秀和
発行:筑摩書房(2021.4.10)
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☆☆☆★★
「氏名」はいつどのようにできたのかが書かれている本です.なんとなくしか知らなかった(主に江戸時代以降の)日本人の名前について,詳細に知ることができます.明治政府による苗字強制の理由が意外というか,腑に落ちました.資料として.
編集:岩波書店辞典編集部
発行:岩波書店(2016.3.18)
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☆☆☆☆★
名前にまつわるエッセイが集められている本です.国や地域,言語,時代などの名前の仕組みや名付けなどについて,それぞれの専門家が書いた短い文章がまとめられています.長年の疑問だった名前についてのあれやこれやが解決して,スッキリしました.
著者:伊東ひとみ
発行:新潮社(2015.5.20)
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☆☆☆☆☆
名づけから見た日本語論が展開されている本です.タイトルに騙されてはいけません.キラキラネームは出発点に過ぎず,日本語という言語の成り立ちや日本語社会全般に及ぶ問題にまで至る「旅」が綴られています.力作です.氏名を持つすべての人に一読を勧めます.
著者:横山充男
描者:ウチダヒロコ
発行:くもん出版(2022.1.28)
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☆☆☆☆☆
「日本の植物学の父」牧野富太郎の伝記です.カバーと本文中のイラストはウチダヒロコさん.丁寧に植物を描かれていて,イラストも見応えありです.本当に久しぶりに伝記という形式の本を読みましたが,なんかいいですね.漢字にルビが振られているのもいい.常用漢字以外はひらくという方針は好きではありません.牧野富太郎さん,お名前は存じておりましたが,これほどロックな方だったとは知りませんでした.
著者:広瀬友紀
発行:岩波書店(2017.3.17)
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☆☆☆☆★
大人たちが使う言葉の秩序を論理的に見出していくことから「ちいさい言語学者」と呼ばれることもある子供たちの言葉の使い方を例に,言語学周辺の学問を紹介している本です.「まえがき」にもありますが,言語学を体系的にまとめた本ではなく,言語習得の面白さが紹介されている本です.学問の周辺散歩しているような感じで,よくこれで本にまとめることができたぁ,と思っていたら,その心は「あとがき」に書かれていました.
40ページの「起きる」に違和感を感じましたが,3段落後に括弧書きでコメントがあり,納得しました.コメントを早めに書いておいてもらえると混乱しなかったかも.
著者:ドナルド・R・プロセロ
訳者:佐野弘好
発行:築地書館(2021.5.31)
The Story of the Earth in 25 Rocks: Tales of Important Geological Puzzles and the People Who Solved Them
by Donald R. Prothero
2018
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☆☆☆★★
岩石や地質現象などを題材に地球科学について書かれている本です.前半と後半でスタイルが異なるのは,執筆時期か雑誌など初出媒体の違いでしょうか.後半はちょっと冗長な感じで,前半の方が楽しく読めました.地質や岩石の本でいつも思うことですが,この本でも写真はカラーの方が嬉しいかな.値段を考えると難しいのはわかるのですが,せめてwebと連携するとか.
上巻186ページに「鉛筆の『鉛』をつくっているのと同じ鉱物である」との記述がありますが,この「鉛」はおそらく lead で「鉛筆の芯」のことですね.訳者は,「鉛筆の『鉛』」といえば芯のことだとわかる,と判断したのでしょうか.それとも,「鉛筆」の語源は常識だと考えたのでしょうか.まあいまどき,鉛筆の芯は鉛が使われている,と誤解する人もいないのかな.
下巻58ページの「原始爆弾」は「原子爆弾」ですね.こちらは校正漏れかな.
著者:ウィリアム・ジンサー
訳者:染田屋茂
発行:慶應義塾大学出版会(20211.12.20)
ON WRITING WELL: The Classic Guide to Writing Nonfiction by William Zinsser
by William K. Zinsser
1976, 1980, 1985, 1988, 1990, 1944, 1998, 2001, 2006
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☆☆☆☆★
ノンフィクションの書き方や書く際の心構えなどが書かれている本です.アメリカではロングセラーの定番文章読本とのことで,英語に特有な内容も含まれていますが,普遍的な内容も豊富です.ノンフィクションについて書かれていますが,フィクションにおいても重要なことが書かれているので,物書きに興味がある方全般にお勧めします.それにしても,翻訳の苦労が偲ばれます.日本語で読めることを感謝.
著者:アレクサンダー・トドロフ
訳者:中里京子
監修:作田由衣子
発行:みすず書房(2019.1.16)
FACE VALUE: The Irresistible Influence of First Impression
by Alexander Todorov
2017
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☆☆☆☆★
ヒトの顔の研究について書かれている本です.私たちが抱く第一印象や顔から受ける人柄などがいかにあてにならないかが,よくわかります.顔とはなにか,なぜ眉毛があるのか,どうして化粧をするのかなどの疑問に答えてくれます.すべての人に,とくに表情を読むことに長けていると自覚している人に,ご一読をおすすめします.
著者:Mark Sadoski, Allan Paivio
発行: Routledge(2001)
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☆☆☆★★
ヒトの学習には視覚的な情報と言語的な情報の両方が使用されるという理論について書かれている本です.メカニズム的なことも書かれていますが,脳神経科学的なアプローチではないので,そこは話半分以下だと思います.視覚情報と言語情報の両方が使われる,という点に対しては依存はないのですが,固い根拠が示されていない感じです.資料として.