題名:光・波動のための有限要素法の基礎
著者:小柴正則
発行:森北出版(1990.10.31)
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☆☆☆★★
電磁波や電子波などの波動への応用を念頭に有限要素法の基礎が書かれている本です.基礎というか,公式集のような感じにまとめられています.資料として.
著者:小柴正則
発行:森北出版(1990.10.31)
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☆☆☆★★
電磁波や電子波などの波動への応用を念頭に有限要素法の基礎が書かれている本です.基礎というか,公式集のような感じにまとめられています.資料として.
著者:広中平祐
発行:講談社(2018.8.1)
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☆☆☆☆★
広中平祐さんが自伝的に書かれた数学啓蒙書です.1982年に刊行された本のブルーバックス版ですが,今読んでも古くありません.また結構予言的なことが書かれているのですが,今読むと当たってるなということが多くて感心します.大学院生のときに広中さんが開いていたセミナーに参加して1週間くらいご一緒したことがあります.たしか奥様ともテニスをしたて,その後レストランでご馳走になったような気がします.そのときにお話をしたノオ同じような語り口の本でした.Kindle にて.
著者:ローマン・メーダー
訳者:時田節
発行:ピアソン・エデュケーション(2002.10.30)
著者:ジョン・ペリー
訳者:高島直昭
発行:誠文堂新光社(2022.12.18)
SPINNING TOPS
by John Perry
1919
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☆☆☆★★
回転体の力学について数式を使わない解説が書かれている本です.翻訳は新しいのですが原書は100年前の本のため,現代から見ると妙な記述があります.どのあたりが妙なのかがわかる人はおそらく,数式があった方がわかりやすいのにな,と思うのではないでしょうか.原著者も本書内で書かれていますが,悩ましいことです.
著者:トーマス・ゴールド
訳者:丸武志
発行:大月書店(2000.9.20)
THE DEEP HOT BIOSHERE
by Thomas Gold
1999
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☆☆☆☆★
地球の地殻の奥深くに地上とは異なる細菌の生物圏がある,ということについて書かれている本です.そのエネルギー源はさらにその下から流れてくる炭化水素で,石油や石炭,天然ガスは生物由来の化石燃料ではない,という主張です.最近の小惑星からのサンプルリターンでも炭化水素が見つかっているようなので,興味深く読みました.もし本当なら,太陽系の地球以外の惑星や衛星などでも生命が見つかるかも.資料として.
209ページ11行目「一〇〇万兆年」→「一〇〇万×一兆年」でしょうか.「万兆」は使わないのではないかと思います.
著者:高橋康介
発行:共立出版(2023.9.15)
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☆☆☆☆★
パレイドリアやアニマシー知覚について書かれている本です.パレイドリアは壁のシミや空の雲が人の顔に見えてしまう現象,アニマシー知覚は何気ないものの動きが生き物のように見えてしまうなどの現象で,どちらも心理学の研究対象として扱われています.内容は興味深いのですが,同じようなことが繰り返し書かれていて,ちょっと残念.
19ページの脚注に「波長とは波の周期の長さのことであり」とありますが,短くしすぎ.「波長とは波が1周期の間に進む長さのことであり」とした方が正しい.
著者:林智裕
発行:徳間書店(2022.3.31)
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☆☆☆☆★
風評による被害について「情報災害」と「風評加害」という観点から説いている本です.資料として.Kindle にて.
著者:渡辺澄夫
発行:コロナ社(2012.4.12)
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☆☆☆★★
ベイズ統計の理論と方法について書かれている本です.「まえがき」には「基礎的な事柄を解説する」ことが目的であると書かれていますが,数学に慣れていない方は心して読むことをおすすめします.読み進めるには,大学数学の知識が必要です.
編者:山敷庸亮
発行:京都大学学術出版会(2023.7.15)
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☆☆☆☆★
宇宙における持続可能な社会の構築に向けた移住についての諸々について書かれている本です.生態系,技術,社会という三つの枠組みで有人での宇宙活動が取り上げられています.京都大学大学院などでの教科書として想定されているとのことですが,だとするともう少し踏み込んだ内容まで書いてほしかった気がします.また,数式や単位の取り扱いが統一されていないのが残念です.著者が複数とはいえ,一冊の本にまとめるのならば一貫して(しかも,標準的な記法に則って)ほしかった.
52ページ1行目に「表面温度を摂氏ゼロ度に保てなくなる」との記述がありますが,そもそもハビタブルゾーンが地球そのものをその場所に持っていったとして,という注釈がいると思います.109ページ6行目「1015g」→10の15乗 g.またその前の炭素換算質量を説明するには「CO2」ではよくわかりません.141ページ「空気との摩擦熱で燃焼廃棄」とありますが,ここは「空力加熱」.一般向けには「摩擦熱」ということもあると思いますが,この本ではどうでしょうか.
著者:T. ギロビッチ
訳者:守一雄,守秀子
発行:新曜社(1993.6.7)
HOW WE KNOW WHAT ISN'T SO
The Fallibility of Human Reason in Everyday Life
by Thomas Gilovich
1991
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☆☆☆☆☆
誤信や誤認がどのようにして生じるのか,どのように対すればいいのかについて書かれている本です.超能力の話題などちょっと古くなってしまった話題も含まれますが,記述は古くありません.クリティカル・シンキングの練習にもなります.
著者:パントー・フランチェスコ
発行:光文社(2022.12.14)
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☆☆★★★
日本文化を研究するイタリア出身の精神科医によって日本のアニメーションによる精神療法の可能性について書かれている本です.いろいろと書いてあって読み進めていくとメディアを使ったさまざまな精神療法や日本のアニメーションについての考察がつづいたあとで,肝心の「アニメ療法」はまだ研究途上との記述があってズッコケます.成果がはっきりしてから読みたい.Kindle にて.
第1章に「物理学において、この仮想運動の錯覚は「ベータ運動」と言われている」との記述がありますが,「ベータ運動」は物理学ではなく心理学だと思います.
著者:小松左京,高階秀爾
発行:青土社(2009.6.20)
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☆☆☆☆☆
SF作家と美術史家による絵とは何かについての対談がまとめられている本です.もとは1976年に講談社学術文庫から出された本なので,内容としては新しいことはないのですが,今でも刺激的な本です.これを新版として(しかも文庫よりも大きな字で)読むことができるのは感謝です.
題名:すごい地層の読み解きかた
著者:小白井亮一
発行:草思社(2023.8.31)
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☆☆☆★★
地層の見方を写真と共に説明している本です.地質にまつわる術語なども説明されています.地層についての本などで,砂岩や泥岩,チャートなどの堆積岩についての記述が多いのですが,初心者が岩石を見分けられるように,岩石についての説明がもう少しあってもいいような気がします.
著者:古川安
発行:筑摩書房(2018.10.10)
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☆☆☆☆★
15世紀から20世紀にかけての科学史について書かれている本です.題名に「社会史」とあるように,自然科学についてだけではなく,大学や国家など周辺の事柄についても書かれています.自然科学の近現代史を知りたいという方が最初に手に取る本としてオススメです.資料として.
著者:井上ひさし
発行:中央公論新社(2021.9.30)
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☆☆☆☆★
手紙のやりとりなどの書簡形式で書かれている短編集です.各編は独立しているお話ですが,エピローグにちょっとした仕掛けがあります.初出は1978年とのことなので,内容的には古く感じるところもありますが,面白く読みました.ブックにて.
著者:河合隼雄
発行:新潮社(1995.1.1)
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☆☆☆★★
河合隼雄と作家や学者などの10人との対談や往復書簡の内容が書かれている本です.遠藤周作,村上春樹との対談は面白かった.資料として.
著者:三島由紀夫
発行:筑摩書房(1991.12.4)
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☆☆☆☆★
5人の登場人物よる手紙のやり取りで表現された書簡形式のお話です.出だしはどんな感じなのかなと探りながら読みすすめる感じでしたが,中盤からは引きこまれました.手紙というにはどうなのか,というものも中にはありますが,気になるほどではありません.ただ,落とし所が月並みな感じがしました.とはいえ,あまり意外性があってもいけないのかな.
題名:小谷太郎
発行:幻冬舎(2022.7.25)
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☆☆☆★★
基礎物理定数を題材に相対論や量子力学などについて書かれている本です.数式はほとんど出てきませんが,その数少ない数式や,物理定数を表す文字がローマン(立体)で書かれているのが気になります.せっかく新書版なのに横書きにしたのだから,そこはイタリック(斜体)にしてほしかった.イタリックにしても読みにくくなるとは思えないのだけれど,どういう配慮だったのか気になります.とくに断り書きがあるわけではないので意図はわかりません.また,本文中に図というかイラストが数点ありますが,その中に右から左に移動しているよウスが書かれているものが多くあり,これも違和感ありです.とくに理由がなければ,左から右にした方が自然に感じると思うのですが.
著者:池上嘉彦
発行:岩波書店(1984.3.21)
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☆☆☆★★
記号論の基本的な考え方について書かれている本です.コミュニケーションや言語について記号論の観点から述べられています.新書だからなのか出版年が古いからなのか,図版が少ないのが残念です.
著者:野崎昭弘
発行:中央公論新社(2017.4.25)
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☆☆☆★★
論理について書かれている本です.1976年に初版が出た本の改版のため、社会情勢などに違和感があるのはやむなしでしょうか.4章構成ですが,最後の章だけ毛色が違います.
著者:岡本亮輔
発行:中央公論新社(2015.2.25)
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☆☆☆★★
現在進行中の宗教と観光との融合の過程と意味が書かれている本です.前半はとても興味深い内容でしたが,後半で失速した感じです.新書一冊分の原稿量にするために後半部分を付け足したような印象です.それでも,宗教と観光のことについてはいろいろ考えさせられ,社会の現状と先行きを考えるヒントになりました.
著者:篠田謙一
発行:中央公論新社(2022.2.25)
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☆☆☆☆☆
古人骨のDNA研究の成果などをもとに人類の進化史やホモ・サピエンスの拡散について書かれている本です.主に「次世代シークエンサ」によって DNAを解析した結果に基づいて記述されているとのことですが,洞窟内の土壌に残るアミノ酸からも解析できるようになっているとのことで,そちらの方が驚きでした.書名は『人類の起源』ですが,分量としては起源よりもその後の拡散の方が多く書かれています.進歩の激しい分野だけに,執筆時にわかっていることとわかっていないことがはっきり書かれていて,好感が持てます.
90ページ4行目「図2-8」→「図2-7」
著者:斎藤幸平
発行:集英社(2020.9.22)
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☆☆☆★★
存続の危機に直面している現代においてより良い社会を築くには経済成長を前提とする資本主義ではなく立つ成長を目指さなければならない,ということが書かれている本です.題名の「人新世」に惹かれて手にしましたが,議論のきっかけにはなっているような書き方にはなっているものの,議論の本質とは無関係でした.マルクスや『資本論』についてはまったく詳しくはないので本書の内容については正しいのか否かの判断はできませんが,同じことの繰り返しが多い印象です.もっとコンパクトに書けたんじゃないかな.
著者:クリスティーン・ボーデン
訳者: 桧垣陽子
発行:クリエイツかもがわ(2003.10.31)
WHO WILL I BE WHEN I DIE?
by Christine Boden
1998
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☆☆☆★★
アルツハイマー病に罹った人によってアルツハイマー病であるとはどういうことかについて書かれている本です.アルツハイマー病の当事者がどう感じているかなどについて詳細に書かれています.ただ,いくつか残念なことがあります.キリスト教や神のことについても書かれていますが,これについては著者自身が「はじめに」で「とにかくすっ飛ばして」いいと自覚しているようです.主観的な記述についても,この本の性格上構わないと思います.しかし,著者が書いたのではない部分が多いのは受け入れ難い.「日本語版」で済ますにはちょっと余計な部分が多いので,星ひとつ減点.
著者:久保勇貴
著者:小松原明哲
発行:丸善出版(2019.10.10)
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☆☆☆★★
安全管理の観点からヒューマンエラーについて書かれている本です.読みやすく,すぐに読み終わります.本書中のたったひとつの図について知りたいためだけに購入しましたが,全編しっかり読みました.ヒューマンエラーって何,という人は読んでおいてもいいかもしれません.
著者:伊東俊太郎
発行:勁草書房(1976.10.5)
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☆☆☆☆☆
自然科学について近代ヨーロッパの視点からだけではなく,いろいろな文明における科学を比較しながら論じている本です.ざっくりとしか知らなかったアラビア科学などと近代科学の関係やアラビア科学以前の変遷などが書かれていて,とても参考になりました.
著者:今井むつみ,秋田喜美
発行:中央公論新社(2023.5.25)
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☆☆☆★★
オノマトペとアブダクション(仮説形成)推論を軸に言語の本質について書かれている本です.興味深い内容が書かれていますが,学術的にどの程度の信憑性があるかについては不明です.同じことが何度も書かれているので星ひとつ減点.
190ページにChatGPTのような生成系のAIを念頭に「今のニューラルネット型AIは記号接地をせず(「記号接地をせず」に傍点)に学習をすることができ」とありますが,ChatGPTでは人が書いた文章を基にしているのでこの指摘はあたらないように思います.
著者:櫻井芳雄
発行:岩波書店(2023.4.20)
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☆☆☆☆★
神経回路の活動の実態から脳の本当の姿について説いている本です.序章を含めて5章構成ですが,前半の3章は面白かった.残りの2章はなんだか愚痴のようになっています.とはいえ,最後の章の脳にまつわる迷信については,皆さんに読んでいただきたいなと思います.あ,それから,「心」と「意識」が同列のように書かれているのが気になりました.それって自明?
34ページに「電気信号の速度は時速10億キロメートルほどであるから」軸索上を伝わる信号の速さはずっと遅い,という趣旨の記述の後に,軸索上を信号が伝わるのは「電線の中を電子が流れるという伝わり方ではなく」とありますが,電子の流れは毎秒数ミリメートル程度ともっとずっと遅く,電気信号は電子が流れて伝えいるわけではないので,誤解を与える表現だと思います.
著者:スティーヴン・ウルフラム
訳者:高橋聡
監訳:稲葉通将
発行:早川書房(2023.7.20)
WHAT IS ChatGPT DOING... AND WHY DOES IT WORK?
by Stephen Wolfram
2023
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☆☆☆★★
ChatGPTがどのように動くのか,なぜ動くのかについて書かれている本です.著者はMathematicaを作ったウルフラムで,自社のWolfram|Alphaの宣伝のようになっている部分もありますが,概ね素人にもわかりやすく書かれています(とはいっても,ニューラルネットや機械学習などについての知識がないと,読み進めるのに苦労するかもしれません).ChatGPTについてささっと知りたい方にオススメ.
著者:Robert M. Lewis,Nancy L. Whitby,Evan R. Whitby
発行:東京化学同人(2004.1.22)
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☆☆☆☆★
日本の科学者や技術者のために国際的に通用する英語科学論文の書き方がネイティブによって解説されている本です.「現代化学」という月刊誌に連載されていたものをもとにしているので例文などは化学に偏っていますが,内容としては普遍的なことが書かれています.しりょうとして.
73ページ「Q&A」内「KC1」→「KCl」(「いち」ではなく「エル」).152ページ3行目「polymeriation」→「polymerization」.206ページ下から8行目「scientitic」→「scientific」.
著者:須藤秀紹,高岡旭,半田久志,福本誠,渡邉真也
発行:共立出版(2021.3.25)
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☆☆★★★
情報学を学ぶ大学生が知っておくべき内容が書かれているという触れ込みの本です.おそらく某大学の一年生向け入門科目向けの教科書なのではないかと思います.全5章で構成されていますが,章ごとの難易度というか,理解するための前提知識に差がありすぎるように思います.講義内では開設されているのか,それともざっくりこんな感じねで済ませているのか.この本だけでは解決しない事柄が多くある印象です.また,一部に校正不足の部分があります.
8ページの定理1.7の右辺が上下の式で入れ替わってます.34ページの下から5行目「比例尺度」→「比率尺度」.36ページの下から2行目「体重」→「身長」.37ページの下から12行目,式中の小数点→「×」(掛け算の記号).40ページ図2.1(a)と(b)のグラフが原点を移動しただけという説明があるがプロットされた点が異なる.43ページ図2.4のグラフで1点刻みのデータにも関わらず点数帯が2.5点刻みになっている.54ページ下から11行目に「標準化」とあるが初出で説明がない.171ページ12行目「1と2差」→「1と2の差」
編者:John K. Gilbert
発行:Springer(2005.7.5)
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☆☆★★★
自然科学の教育における視覚化や映像化について書かれている本です.認知心理学や教育の内容がごちゃ混ぜです.自然科学分野とはいうものの化学の割合が高いのが期待外れでした.
著者:B. F. スキナー
訳者:河合伊六,他
発行:二瓶社(2003.8.22)
Science and Human Behavior
by B. F. Skinner
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☆☆☆★★
行動分析について書かれている本です.科学的な事柄だけではなく,政治や宗教,教育などについても触れられています.人の行動に興味がある人は読んでおいて損はないと思います.
475ページ8行目「握つている」→「握っている」.476ページ下から14行目「過程ある」→「過程である」.
著者:イザベラ・ディオニシオ
発行:KADOKAWA(2022.10.28)
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☆☆☆★★
イタリア人の著者によるロマンスで読み解く日本近現代文学です.内容的には面白いのですが,体言止めが多いせいか読みにくく感じました.ロマンスの視点から文学を読んだことがなかったので,取り上げられている文豪の作品をもう一度読んでみたいなと思います.
著者:矢崎成俊
発行:共立出版(2022.5.31)
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☆☆☆☆★
次元解析について書かれている本です.解説だけでなく例が豊富です.ここでいう次元というのは,量(物理量といったりします)のことで,単位と似た概念ですが,単位とは異なります.そして次元解析というのは,次元の間の関係性を利用して妥当性や別の関係式を導く方法のことで,これが使えるととても便利,という代物です.「数学のかんどころ」というより「科学のかんどころ」のようにも思いますが,この本の「まえがき」にもある通り,便利な割にきちんと書かれた本がないので貴重です.
4ページ8行目「立方体のように厳密に計算できないもの」という文は「立方体が厳密に計算できない」とも読めてしまうので「立方体のようには厳密に計算できないもの」などとなおしたほうがいいのでは.5ページ下から8行目「水の圧縮率は 0.45 GPa^-1」→「水の圧縮率は 0.45 (GPa)^-1」.13ページの下から3行目「相対論を考慮しない古典力学の範囲では質量は変化しない一定値としてよい」という文は,質量自体が変わらないという意味では間違いではないのですが,ここで言及している運動方程式を考える際には,ロケットの運動のように変化を考える必要がある場合も扱えるので,言い過ぎだと思います.70ページの下から7行目「(p.40)」→「(p.41)」.106ページ4行目「(p.104)」→「(p.105)」,下から5行目の変形後の行列の3行4列目「-2」→「-1」.127ページ下から5行に「図4-9」とありますが図がありません.160ページ6行目「ロケットや隕石が大気圏突入する際に(略)摩擦が生じる」とありますが,空力加熱は摩擦ではありません.同11行目「水や空気はさらさらのイメージ通りに粘性が小さい」とありますが,水はさらさらのイメージでしょうか(春の小川はさらさらいくようですが).171ページ下から8行目「層流 離から乱流 離に遷移したため」→「層流から乱流に遷移したため」でしょうか.著者も編集者も校正不足ですね.
著者:千田理緒
発行:東京創元社(2020.10.9)
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☆☆☆★★
介護施設で起きた殺人事件を描いたお話です.犯人の目撃した五人の老人の証言が,犯人の服色が「赤」「青」「白」「黒」「緑」の五通りだった,というところが重要な鍵になっているのですが,その大部分は初めに予想した通りの種だったところが残念です.それに,ネタバレになるので書きませんが,重要な種についての仄めかしが輝きすぎていて間延びしている感じです.主人公やその周辺の人はなぜ気がつかないのか,についての説明がもう少し欲しいかな.物語としては面白く読みました.第30回鮎川哲也賞受賞作とのことで応募時の作品名は異なっているのですが,本編中に登場するあたり著者はかなり気に入っている様子で,編集との間のやり取りが垣間見えるようです.
著者:グレゴリー・ケズナジャット
発行:講談社(2021.11.1)
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☆☆☆☆★
アメリカから京都に来た人の不安や葛藤などが描かれたお話が2篇収められた本です.ひとつ目の「鴨川ランナー」では二人称呼称で書かれていて独特な雰囲気ですが,日本にやってきた外国人が感じる違和感などがリアルに描かれていて,小説ではあるが興味深い内容でした.ブックにて.
著者:ランディ・オルソン
訳者:坪子理美
発行:慶應義塾大学出版会(2018.7.30)
HOUSTON, WE HAVE A NARRATIVE: Why Science Needs Story
by Randy Olson
2015
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☆☆☆☆★
科学には物語が必要だということが書かれている本です.内容は興味深いし参考になることも書かれているのですが,無用に長いように感じました.もっと簡潔に書けるような気がするのですが,原題を見るとこのスタイルがこの著者の売りなのでしょうね.科学に物語が必要だというこの本の主張には賛同しますし,科学に限らず,さまざまな営みに物語が必要とされていると思います.
264ページ最後から1行目カッコ内 [陽性の」という言葉を]→[「陽性の」という言葉を](カギ括弧ヒラク)
著者:メアリー・C・ブリントン
訳者:池村千秋
発行:中央公論新社(2022.9.25)
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☆☆☆★★
人口減少や少子化などの日本の問題について社会規範と制度の齟齬という視点から日本だけでなくアメリカとスウェーデンでの調査結果を交えて書かれている本です.著者は「アメリカを代表する日本専門家」とのことです.日本をアメリカやスウェーデンと比較したところが肝でしょうか.恣意的ではありますが,うまく直行軸を張ったように問題が鮮やかに浮かび上がる感じです.
著者:塚原直樹
発行:NHK出版(2021.2.10)
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☆☆☆★★
カラスについて書かれている本です.著者はカラスの研究者であり,しかもカラス被害に科学的な対策を提案する会社の創業者とのことで,企業秘密は垢しません的な記述が残念,というか,そこが知りたいという感じです.カラスに悩まされている方もカラス好きも読んでみるといいかも.
著者:スティーヴン・ロジャー・フィッシャー
訳者:鈴木晶
発行:研究社(2005.10,14)
A History of Writing
by Steven Roger Fischer
2001
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☆☆☆☆★
文字の歴史について書かれている本です.「はじめに」では「文字の歴史の概略」を書いたとありますが,素人には十分詳細に,しかも網羅的に書かれているように思えます.文字の系統図は参考になりました.ページ数の制限からだと思いますが,触れられている文字に図像がないものが多いのが少し残念ではあります.
著者:山本義隆
発行:数学書房(2008.10.30)
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☆☆☆★★
力学を題材とした微分方程式のことが書かれている本です.とはいうものの,内容は微分方程式で力学を説明するものです.ただ,力学の奥深さの片鱗がわかるような書かれ方がされています.資料として.
66ページ4行目,文末のピリオドをひとつトル.