2006年10月24日火曜日

天梯のくにチベットは今


題名:天梯のくにチベットは今
著者:堀江 義人
発行:平凡社 2006.3.1
ISBN:4582833179

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☆☆☆★★

チベットの現状についてのレポートです.厳しい制限の中で,よく取材されていると思います.深く掘り下げた記述がないのは,やむを得ないことなのでしょう,きっと.  チベットは一度は行ってみたい「国」のひとつですが,観光化が進んでいるとのことなので,心境は複雑です.北京からラサまでの鉄道も開通しました.ますます行きやすくなると思います.しかし,小笠原諸島などと同じで,観光客が大勢来てしまうことで,観光地としての価値がなくなってしまうような気がします(と言いながら,自分も行ってみたいという,大変勝手な話ですが).モンゴルもそうですが,放牧で生活を営む地域というのは,土地の生産性が低く,密度の小さい資源を有効に,しかも根絶やしにすることなく利用する知恵があったようです.そのような土地に大勢の観光客が来て,都会並みの快適性を求めると,結果は見えています.  もっとも,チベットにはチベット仏教が根付いていて,そう簡単には変わらないという気もします.心配なのは,ダライ・ラマ14世がご高齢になってきたことです.いまはお元気なようですが,いずれお亡くなりになるでしょう.その時に混乱や争いが起きないことを願っています.

2006年10月22日日曜日

数学用語と記号ものがたり


題名:数学用語と記号ものがたり
著者:片野 善一郎
発行:裳華房 2003.8.25
ISBN:4785315334

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☆☆☆★★

数学で使われる記号や用語について詳しく書かれた本です.この本を読んでも数学はできるようになりませんが,興味は持てるようになるかもしれません.数学も人の営みであることがよくわかります.

2006年10月20日金曜日

旅客機・航空会社の謎と不思議


題名:旅客機・航空会社の謎と不思議
著者:谷川 一巳
発行:東京堂出版 2006.7.30
ISBN:4490205910

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☆☆☆★★

旅客機を機種別に説明してある本です.タイトルには航空会社と入っていますが,航空会社については包括的な内容が多く,会社別の説明はあまりありません.旅客機の説明はもっと詳しくてもいいですし,写真も各機体で欲しかった.飛行機好きなら,それぞれの機体のページに,撃墜マークならぬ,搭乗マークを付けながら読むと思います.

論文作法 調査・研究・執筆の技術と手順

題名:論文作法 調査・研究・執筆の技術と手順
著者:ウンベルト・エコ
訳者:谷口 勇
発行:而立書房 1991.2.25
ISBN:4880591459

Come si fa una tesi di laurea
by Umberto Eco

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☆☆★★★

文科系の論文作法について書かれている本です.たぶん,私にはまだ読む準備が足りなかったようです.期待度は高かったのですが...

2006年10月13日金曜日

万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測


題名:万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測
著者:ケン・オールダー
訳者:吉田 三知世
発行:早川書房 2006.3.31
ISBN:4152086645

THE MEASURE OF ALL THINGS : The Seven-Year Odyssey and Hidden Error that Transformed the World
by Ken Alder

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☆☆☆☆★

長さの単位を1メートルと決める時に行なわれた測量にまつわるお話しです.勉強不足で知らないことが多く,大変参考になりました.最小自乗法の発明や誤差論の発展とも関係があったのですね.理工系の学生は必読です.題材としては小学校の国語の教科書にもいいかも(このままでは難しいでしょうけれど).

広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 フェルミのパラドックス


題名:広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 フェルミのパラドックス
著者:スティーヴン・ウェッブ
訳者:松浦 俊輔
発行:青土社 2004.7.8
ISBN:479176126X

If the Universe is Teeming with Aliens…WHERE IS EVERYBODY?
by Stephen Webb

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☆☆☆☆★

なぜ地球人がいるにもかかわらず,地球の外に知的生命が見つからないか(フェルミのパラドックスと言うそうです)について書かれた本です.とても面白かった.SFなどでよく取り上げられる題材ですが,50の理由をまとめてあるのがすごい.皆さんいろいろ考えるものですねえ.久しぶりに宇宙の時間的・空間的な広がりを感じました.思考を飛ばす訓練にいいのではないかな.おすすめです.

木下是雄集3 日本人の言語環境を考える

題名:木下是雄集3 日本人の言語環境を考える
著者:木下 是雄
発行:晶文社 1996.4.30
ISBN:4794946937

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☆☆☆☆★

木下是雄さんのエッセイ集2冊目です.物理学から言語教育への.華麗なる(?)転身のおはなしが印象的でした.

木下是雄集2 山 ひと スキー

題名:木下是雄集2 山 ひと スキー
著者:木下 是雄
発行:晶文社 1996.1.25
ISBN:4794946929

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☆☆☆☆★

木下是雄さんのエッセイ集2冊目です.山に登りたくなります.

木下是雄集1 物理の樹

題名:木下是雄集1 物理の樹
著者:木下 是雄
発行:晶文社 1995.11.20
ISBN:4794962363

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☆☆☆☆★

「理科系の作文技術」(中公新書)で有名な,木下是雄さんのエッセイ集です.不勉強でいままで存在を知りませんでした.さすがに読みやすい文章です.物理を目指す人には,早いうちに是非読んで頂きたい本です. 書かれた時代がちょっと古いので,現在の世相と合わないこともありますが,著者自身がそのようにコメントしているので,混乱しないと思います.