2023年2月11日土曜日

五色の殺人者

題名:五色の殺人者

著者:千田理緒

発行:東京創元社(2020.10.9)


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☆☆☆★★


介護施設で起きた殺人事件を描いたお話です.犯人の目撃した五人の老人の証言が,犯人の服色が「赤」「青」「白」「黒」「緑」の五通りだった,というところが重要な鍵になっているのですが,その大部分は初めに予想した通りの種だったところが残念です.それに,ネタバレになるので書きませんが,重要な種についての仄めかしが輝きすぎていて間延びしている感じです.主人公やその周辺の人はなぜ気がつかないのか,についての説明がもう少し欲しいかな.物語としては面白く読みました.第30回鮎川哲也賞受賞作とのことで応募時の作品名は異なっているのですが,本編中に登場するあたり著者はかなり気に入っている様子で,編集との間のやり取りが垣間見えるようです.

2023年2月10日金曜日

鴨川ランナー

題名:鴨川ランナー

著者:グレゴリー・ケズナジャット

発行:講談社(2021.11.1)


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☆☆☆☆★

アメリカから京都に来た人の不安や葛藤などが描かれたお話が2篇収められた本です.ひとつ目の「鴨川ランナー」では二人称呼称で書かれていて独特な雰囲気ですが,日本にやってきた外国人が感じる違和感などがリアルに描かれていて,小説ではあるが興味深い内容でした.ブックにて.

2023年2月8日水曜日

なぜ科学はストーリーを必要としているのか


題名:なぜ科学はストーリーを必要としているのか ハリウッドに学んだ伝える技術

著者:ランディ・オルソン

訳者:坪子理美

発行:慶應義塾大学出版会(2018.7.30)


HOUSTON, WE HAVE A NARRATIVE: Why Science Needs Story

by Randy Olson

2015


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☆☆☆☆★


科学には物語が必要だということが書かれている本です.内容は興味深いし参考になることも書かれているのですが,無用に長いように感じました.もっと簡潔に書けるような気がするのですが,原題を見るとこのスタイルがこの著者の売りなのでしょうね.科学に物語が必要だというこの本の主張には賛同しますし,科学に限らず,さまざまな営みに物語が必要とされていると思います.

264ページ最後から1行目カッコ内 [陽性の」という言葉を]→[「陽性の」という言葉を](カギ括弧ヒラク)