2017年6月25日日曜日

ILC/TOHOKU

題名:ILC/TOHOKU
著者:小川一水,柴田勝家,野尻抱介
発行:早川書房(2017.2.25)

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☆☆☆★★

国際リニアコライダー(ILC)候補地の岩手県北上山地を舞台にしたお話のアンソロジーです.この手の話でいつも気になるのが研究者が書けていないことで.残念ながら,この本にもそういう作品があります.とはいえうまく書けている作品もあり,流石だなぁとも思います.

野尻抱介さんの「新しい塔からの眺め」には,宇宙エレベーター(作中では,軌道エレベーター)がちっとだけ登場します.

2017年6月16日金曜日

わかばちゃんと学ぶ  Git 使い方入門

題名:わかばちゃんと学ぶ  Git 使い方入門
著者:湊川あい
監修:DQNEO
発行:シーアンドアール研究所(2017.5.1)

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☆☆☆★★

バージョン管理システムの Git とそのホスティングサービスの GitHub(と,ちょっとだけBitbucket)について書かれている本です.漫画は,最初の取っ掛かりとしては有用なメディアだということが再確認できました.私としてはとりあえず Git だけあればいいので,これだけでなんとかなりそうです.

2017年6月3日土曜日

宇宙倫理学入門

題名:宇宙倫理学入門 人工知能はスペース・コロニーの夢を見るか?
著者:稲葉 振一郎
発行:ナカニシヤ出版(2016.12.23)

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☆☆☆☆★

宇宙開発がもたらす哲学的,倫理的な影響について書かれている本です.著者によると,日本初の宇宙倫理学の入門書とのことです.ついに宇宙も倫理が問われる時代が来たか,と楽しみに読みましたが,著者の専門というわけではないようで,多くはロボットについて割かれています.あと,副題が内容を反映していないので,☆減点.まあ,題名を決めるのは著者ではないことも多いのですが,やはり編集の方にも売れ行きだけを考えずに,内容を反映する題名にするように努力していただきたいと強く思います.

ちなみち,宇宙エレベーターについては「材料科学上の問題が未解決であるため,ここでは考慮の外に置く」との立場で,扱われていないのですが,それをいうなら恒星間航行を論じているのはバランスを欠いていると思います.宇宙エレベーターがある前提で,哲学的,倫理的な影響を考えると,また違ったことになるのではないかと思うので,ぜひそのあたりを話してみたいなと.

2017年6月2日金曜日

人工知能の見る夢は AIショートショート集

題名:文春文庫 人工知能の見る夢は AIショートショート集
著者:若木未生,忍澤勉,宮内悠介,森深紅,渡邊利道,森岡浩之,図子慧,矢崎存美,江坂遊,田中啓文,林譲治,山口優,井上雅彦,橋元淳一郎,堀晃,山之口洋,高井信,新井素子,高野史緒,三島浩司,神坂一,かんべむさし,森下一仁,樺山三英,大澤博隆,稲葉通将,加藤真平,小林亮太,伊藤毅志,原田悦子,赤坂亮太,佐藤理史,久木田水生,松山諒平
編者:人工知能学会
発行:文藝春秋(2017.5.10)

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☆☆☆★★

人工知能学会の学会誌に掲載されたショートショートを集めた本です.AI が書いたショートショート集ではありませんので,ご注意を.こうやって集めると,文章の上手下手がはっきりわかってしまって,コワイですね.作家の方々の中にもいろいろありますが,研究者の方々が作家と同列で文章を載せるというのは,なかなか勇気のあることだと思います.ところが,やはり上手い方もいらっしゃるのですね,研究者には.ショートショートの内容より,そういったことのほうがおもしろい本でした.