2018年3月26日月曜日

大人のための近現代史 19世紀編

題名:大人のための近現代史 19世紀編
編者:三谷博,並木頼寿,月脚達彦
発行:東京大学出版会(2009.10.30)

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☆☆☆☆★

東アジアの近代に起きた出来事について書かれている本です.現在の東アジアの状況を理解するには,やはり歴史をきちんと知らないと,と改めて感じます.地図などの図版がもっとあるとよかったのに.「はしがき」では「『20世紀編』も間もなく続刊の予定である」とあるのですが,まだ出ていないようです.はやく読みたい.

芸術における数学 (復刊版)

題名:芸術における数学 (復刊版)
著者:マイケル・ホルト
訳者:西田稔
発行:紀伊國屋書店(2000.6.8)

MATHEMATICS IN ART
by Michael Holt
1971

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☆☆☆★★

数学と視覚芸術に共通するものについて書かれている本です.1976年に出た本の復刊版ですが,凸版印刷で懐かしい感じです.視覚芸術と数学なんて関係ないだろ,と思っている方は読んでみることを勧めます.ただ,視覚芸術と数学の関係って結構本になってるので,目新しくはありませんが.

2018年3月24日土曜日

ネクタイの数学

題名:新潮oh!文庫 ネクタイの数学 ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ85の方法
著者:トマス・フィンク,ヨン・マオ
訳者:青木薫
発行:新潮社(2001.5.10)

THE 85 WAYS TO TIE A TIE The Science and Aesthetics of The Knots
by Thomas M. A. Fink, Yong Mao
1999

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☆☆☆★★

ネクタイの結び方は数学的には85通りあるということが書かれている本です.85通りの結び方が載っています.資料として.

動物の「動き」の秘密にせまる 運動系の比較生物学

題名:動物の多様な生き方3 動物の「動き」の秘密にせまる 運動系の比較生物学
編者:日本比較生理生化学会
発行:共立出版(2009.6.25)

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☆☆☆★★

動物のさまざまな「運動」について書かれている本です.表紙に騙されてはいけません.どうぶつの「行動」についての本ではありません.細胞分裂時に細胞がくびれて行く「運動」や筋肉内の筋繊維の「運動」について書かれています.内容自体は興味深いのですが,表紙はミスリーディングかと.

2018年3月21日水曜日

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

題名:AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著者:新井紀子
発行:東洋経済新報社(2018.2.15)

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☆☆☆☆★

東大合格を目指した「東ロボくん」に絡めた,いわゆる AI についての解説と,「東ロボくん」のプロジェクトから見えてきた中高生の読解力についての疑問にこたえるべくおこなわれた大規模な調査の結果について書かれている本です.ここに書かれていることを鵜呑みにするわけではありませんが,実感として同じようなことを感じているので,共感できます.ただ,「センター試験」と「センター入試」が混在しているのが気になりました.あまり気にしていないのか,使い分けているのか.「お前の読解力が足りないのだ」と言われたりして.

2018年3月20日火曜日

構造の世界 なぜ物体は崩れ落ちないでいられるか

題名:構造の世界 なぜ物体は崩れ落ちないでいられるか
著者:ジェイムス・エドワード・ゴードン
訳者:石川広三
発行:丸善出版(1991.10.30)

STRACTURES: or Why Things Don't Fall Down
by J. E. Gordon
1978

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☆☆☆☆★

構造について平易に書かれている本です.例示や比喩が多く,わかりやすく書かれているのですが,力の単位として kg を使うなど,力と質量を区別せずに書いているので,星一つ減点.原著でそう書かれていても,訳す際に直して欲しかった.

2018年3月19日月曜日

脳と物理学 物理学は脳を理解できるか

題名:脳と物理学 物理学は脳を理解できるか
著者:武田暁
発行:裳華房(1999.5.15)

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☆☆☆☆★

物理学的視点から見た脳神経科学について書かれている本です.著者はもともと素粒子の研究者です.脳神経科学の専門家が書くよりも物理屋さんが書くほうがわかりやすく感じるのは,私がそっち系の人だからでしょうか.資料として.

物理を学習する大学生・院生のガイドブック

題名:物理を学習する大学生・院生のガイドブック 言葉で表現された基礎物理学と教科書参考文献の紹介
著者:中島紀
発行:吉岡書店(2007.9.25)

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☆☆☆★★

物理の概念と教科書のガイドブックと銘打たれた本です.冒頭に「この本は物理学の概念の理解(略)をまず目標にして物理法則を言葉で表現することを試みる」とあるのですが,これを間に受けるとひどい目にあいます.この本で取り上げられている分野(古典力学,電磁気学,相対性理論,量子力学,統計熱力学)の教科書のガイドブックとして割り切った方がいいかも.

生物の形の多様性と進化 遺伝子から生態系まで

題名:生物の形の多様性と進化 遺伝子から生態系まで
編者:関村利朗,野地澄晴,森田利仁
発行:裳華房(2003.6.30)

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☆☆☆★★

個々の生物の形や集団のパターンなど,生き物の多様性と進化について書かれている本です.とても広い範囲の内容が詰め込まれていて,その分それぞれの記述が専門的というか論文的になってしまって,非専門家には敷居が高い印象です.興味深い項目が並んでいるだけに,残念です.

ぷらんつ・がーる

題名:ぷらんつ・がーる
著者:あづま笙子
発行:ぶんか社(2018.3.14)

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☆☆☆☆★

「女体化」したラベンダーと独身男の日常が描かれている四コマ漫画です.著者は『マンガでわかる微分方程式』の絵を担当していただいた方です.設定のアイデアは,漫画にはありがちだとはいえ,面白いと思います.主要キャラクター以外との絡みがもっとあるとさらによかったかな.あと,植物が人になったら,という if をもっと突き詰めてみても面白かったと思います(というか,私の好みです).たとえば,元ラベンダーの「サキさん」の切った髪の毛を水につけておくと,一本いっぽんの髪の毛から「サキさん」が生えてくる,とか.


2018年3月16日金曜日

木と動物の森づくり 樹木の種子散布作戦

題名:木と動物の森づくり 樹木の種子散布作戦
著者:斎藤新一郎
発行:八坂書房(2000.9.25)

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☆☆☆★★

植物のタネと植物の側からた散布について書かれている本です.題名と中身が一致しているとはいい難く,動物のことも森のこともあまり書かれてはいません.内容は種子にまつわる植物のことがほとんどで,興味深いことが書かれているのに勿体無いなぁ,という感じです.

2018年3月14日水曜日

「ファインマン物理学」を読む 量子力学と相対性理論を中心として/電磁気学を中心として/力学と熱力学を中心として

題名:「ファインマン物理学」を読む 量子力学と相対性理論を中心として/電磁気学を中心として/力学と熱力学を中心として
著者:竹内薫
発行:講談社(2004.5.20/2004.10.20/2005.5.10)

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☆☆☆☆★

『ファインマン物理学』を読むことを通じてファインマンの物理的な思想を理科しようという本です.そのような趣旨の本なので,『ファインマン物理学』を読んだことがあるか,手元にないとわけがわからないところもあるかと思います.また,ちっとあやしげな記述があったり,校正ミス(読んだのは初版なので,その後修正されているかもです)が目立ったりしますが,基本的には面白い試みだと思います.『ファインマン物理学』を読破したいという気にさせてくれます.

ちなみに,英語版の The Feynman Lectures on Physics は,
http://www.feynmanlectures.caltech.edu
で全文公開されています.

2018年3月12日月曜日

単位が取れる力学ノート/単位が取れる電磁気学ノート/単位が取れる量子力学ノート

題名:単位が取れる力学ノート/単位が取れる電磁気学ノート/単位が取れる量子力学ノート
著者:橋元淳一郎
発行:講談社(2002.6/2003.4.10/2004.5.10)

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☆☆★★★

高校物理の勉強法で大学の物理を説明している本です.単位は取れるようになるかもしれませんが,簡単ではないし,理解しやすいわけではありません.私も物理が苦手な大学生になんとか物理をわかってもらいたいと思って色々考えてはいるのですがこの方向ではないだろうな,と思っています.資料として.

カオスと秩序 複雑系としての生命

題名:カオスと秩序 複雑系としての生命
著者:フリードリッヒ・クラマー
訳者:高木隆司,山中茂,藤島義之,横関健三
発行:学会出版センター(2001.8.31)

Chaos und Ordnung: d. komplexe Struktur d. Lebendigen
by Cramer, Friedrich
1988

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☆☆★★★

生命観や世界観について書かれている本です.冒頭の前書きに相当する部分で著者自身がいってるように,哲学的だが哲学書ではなく,自然科学的だが自然科学の本ではない,という感じです.詩や創作の対話が載っていたりして,理解しにくい本です.中身を表していない題名がよくない.

〈どんでん返し〉の科学史

題名:〈どんでん返し〉の科学史 蘇る錬金術、天動説、自然発生説
著者:小山慶太
発行:中央公論新社(2018.2.25)

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☆☆★★★

科学誌の中で一度は否定されたものの別の視点から復活したトピックに注目して書かれている本です.と,著者はいっていますが,中身は普通の科学史です.科学誌としてはまとまってはいると思いますが.ことさら「どんでん返し」と期待させておいてこの内容なので損している印象です.たとえば,意図的なのか構成不足なのか(校正不足とは思えません),「復活した不可秤量物質」という章の途中から「不可秤量粒子」に置き換わっています.粒子だからといって物質とは限らないので,もし意図的だとすると読者をミスリーディングしています.意図的ではないとしたら,科学のことをよく知らずに書いていることになります.

2018年3月9日金曜日

階層構造の科学 宇宙・地球・生命をつなぐ新しい視点

題名:階層構造の科学 宇宙・地球・生命をつなぐ新しい視点
編者:阪口秀,草野完也,末次大輔
発行:東京大学出版会(2008.3.7)

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☆☆☆☆★

自然界に存在する階層構造について書かれている本です.分野横断的に書かれているのですが,「はじめに」に書かれているように複数の著者の原稿を集めて一冊にまとめたのではなく,階層構造というテーマが一貫していて,とても興味深い内容でした.

特殊および一般相対性理論について[新装版]

題名:特殊および一般相対性理論について[新装版]
著者:アルバート・アインシュタイン
訳者:金子務
発行:白揚社(2004.10.10)

ÜBER DIE SPEZIELLE UND DIE ALLGEMEINE RELATIVITÄTSTHEORIE
von Albert Einstein
1916, 1956

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☆☆☆☆★

相対性理論についてアインシュタインによって書かれた本です.決して読みやすいわけでも,わかりやすいわけでもありませんが,アインシュタイン本人が書いているところがこの本の意義でしょう.

訳者後記によると,新装版にするにあたって横組みから縦組みにしたとのことですが,数式が出てくる本で縦組みはとても読みにくい.縦組みにすることで手に取ってもらいやすくしたつもりなのかもしれませんが,そもそも数式が出てくる本を読む層にしか買ってもらえない本なので,この変更は改悪だったと思います.

2018年3月7日水曜日

理工学系からの脳科学入門

題名:理工学系からの脳科学入門
編者:合原一幸,神崎亮平
発行:東京大学出版会(2008.8.28)

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☆☆☆★★

脳科学について網羅的に書かれている本です.一部分だけ欲しかったので,評価はちっと辛めです.
資料として.

橋の文化史 桁からアーチへ

題名:橋の文化史 桁からアーチへ
編著:ベルト・ハインリッヒ
訳者:宮本裕,小林英信
発行:鹿島出版会(1991.6.5)

BRÜCKEN: Vom Balken zum Bogen -in the series Deutsches Museum
by Bert Heinrich
1983

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☆☆☆★★

橋の建設について歴史的な技術の発展の観点から書かれている本です.橋といってもほぼ石橋の内容で,吊り橋などについてはわずかな記述しかありません.その分,石橋については,具体的な橋を挙げながらかなり詳細に書かれています.写真や図が多いのが売りのようですが,サイズが小さいのと白黒写真がつぶれて見えないのが残念.

教育研究とエビデンス 国際的動向と日本の現状と課題

題名:教育研究とエビデンス 国際的動向と日本の現状と課題
編者:国立教育政策研究所
発行:明石書店(2012.5.28)

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☆★★★★

教育研究におけるエビデンスについて書かれている本です.報告書とシンポジウムのまとめなのですが,この手の本にありがちな,読んでも役に立たない感じです.資料として入手しましたが,残念ながら私にとっては資料としても使えない.

ことばのおもしろ事典

題名:ことばのおもしろ事典
編者:中島平三
発行:朝倉書店(2016.4.5)

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☆☆☆☆★

ことばについての諸々が書かれている本です.題名には「事典」という語がありますが,幅広い分野について各分野の専門家が一章ずつ担当している入門書です.ことばに興味がある方にオススメ.

2018年3月6日火曜日

学習科学ハンドブック

題名:学習科学ハンドブック
編者:R. K. ソーヤー
監訳:森敏昭,秋田喜代美
発行:培風館(2009.7.30)

 The Cambridge Handbook of the Learning Science
Editd by R. Keith Sawyer
2006

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☆☆★★★

学習についての研究を認知科学や教育心理学,教育工学などの観点からハンドブック形式でまとめられている本です.おそらく編者に近い方々が著者なのだと思うのですが,ハンドブックというには偏って書かれている印象です.ホンの一部だけ使えそう.資料として.

2018年3月3日土曜日

コミュニケーションのための日本語・音声表現

題名:コミュニケーションのための日本語・音声表現
著者:加瀬次男
発行:学文社(2001.4.20)

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☆☆☆★★

日本語の音声表現について書かれている本です.コミュニケ-ションについて知りたいなあと持って買ったのですが,どちらかというとアナウンスやナレーションをする方に向いている印象.まあ知らない世界のことがわかって面白かったのですが,あまり参考にはなりませんでした.資料として.

2018年3月2日金曜日

物理読本 1 マクスウェルの魔/物理読本2 ミクロへ,さらにミクロへ/物理読本3 時間,空間,そして宇宙/物理読本4 ソリトン,カオス,フラクタル

題名:物理読本 1 マクスウェルの魔 古典物理学の世界/物理読本2 ミクロへ,さらにミクロへ 量子力学の世界/物理読本3 時間,空間,そして宇宙 相対性理論の世界/物理読本4 ソリトン,カオス,フラクタル 非線形の世界
著者:戸田盛和
発行:岩波書店(1997.10.29/1998.2.25/1998.11.24/1999.9.28)

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☆☆☆☆☆


自然の科学的探求について,主に物理学的視点から広範に書かれている本です.おそらく各巻を独立して読むことができるようにという配慮からだと思いますが,若干記述が重なる部分があるものの,読み通すと20世紀までの物理学の進展や,その過程などがわかります.縦書きの本で数式はほとんど出てきませんが,とてもわかりやすく書かれています.自然科学を志す方,自然科学とはどのような営みなのかを知りたい方,必読.