2019年12月17日火曜日

英文読解のストラテジー

題名:英文読解のストラテジー
著者:天満美智子
発行:大修館書店(1989.2.25)

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☆☆★★★

英文読解の方策と指導法を認知心理学,言語心理学,人工知能の知見に基づいて書かれている,という触れ込みの本です.実際には,どのあたりが人工知能の知見に基づいているのか,わかりません.方策に期待していたのですが,ほぼ指導法,というか例が書かれていて,期待外れでした.

2019年12月8日日曜日

数学ガールの秘密ノート 学ぶための対話

題名:数学ガールの秘密ノート 学ぶための対話
著者:結城浩
発行:SBクリエイティブ(2019.12.12)

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☆☆☆★★

Web連載の一部を再編集した本です.これまでの「数学ガール」や「数学ガールの秘密ノート」とはやや趣が異なり,理解するとはどういうことか,数学的な内容よりも,どうすれば理解したと感じられるようになるのか,について書かれています.日頃から授業で言っていることが,異なる言葉で語られていて,出どころというか,根は同じだな,と感じます.著者の意図かもしれませんが,ややしつこい印象と,その割に最後は理解が早すぎる印象を受けました.

2019年12月6日金曜日

死ぬ瞬間の5つの後悔

題名:死ぬ瞬間の5つの後悔
著者:ブロニー・ウェア
訳者:仁木めぐみ
発行:新潮社(2012.12.15)

THE TOP FIVE REGRETS of the DYING
by Bronnie Ware
2011, 2012

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☆☆☆★★

多くの終末期の方を看取ったヘルパーが死の床で聞いた後悔が書かれている本です.題名から期待した内容とは異なっていて残念.死ぬ瞬間の後悔についての本ではなく,死までにある程度の猶予があるなかでの後悔についての本でした.

2019年11月26日火曜日

巨星 ピーター・ワッツ傑作選

題名:巨星 ピーター・ワッツ傑作選
著者:ピーター・ワッツ
訳者:嶋田洋一
発行:東京創元社( 2019.3.20)

THE ISLANDS AND OTHER STORIES
by Peter Watts
1994-2014

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☆☆☆★★

ハードSF作家ピーター・ワッツの日本オリジナル短編集です.期待していたほどは楽しめませんでした.説明なしに出てるガジェットとか理論とかに削がれる感じ.うーん,これは「ハードSF」なのだろうか.

2019年11月1日金曜日

数の女王

題名:数の女王
著者:川添愛
発行:東京書籍(2019.7.27)

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☆☆☆☆★

数学が重要な鍵になる世界のファンタジーです.素数に纏わる事柄が物語の展開の鍵になっています.数学とファンタジーが好きな方にオススメ.とはいえ,これまでの著者の著作の中では数学の占める割合が少ないほうなので,数学はちょっと苦手,という方でも楽しめると思います.

2019年9月16日月曜日

人類,宇宙に住む 実現への3つのステップ

題名:人類,宇宙に住む 実現への3つのステップ
著者:ミチオ・カク
訳者:斉藤隆央
発行:NHK出版(2019.4.25)

The Future of Humanity: Terraforming Mars, Interstellar Travel, Immortality, and Our Destiny Beyond Earth
by Michio Kaku
2018

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☆☆☆★★

人類の未来についての想像が書かれている本です.奔放に書かれている感じで,所々前後関係がわからない部分もありますが,全般的には読みやすい本です.かなりの部分が著者の勝手な想像で,想像であるということが読み取ることができるなら,それはそれで構わないのですが,そうでもないように感じられるのが危惧されます.それから,想像力が勇み足になっていそうな部分も,散見されます.たとえば,250ページに人類のしゅつアフリカについての記述がありますが,そこに「人類が新たな住みかを求めて七万五000年程前にアフリカを出たとき,彼らはその旅を終えるのに何世代もかかりそうなことに気づいていたはずだ」と書かれていますが,旅を終える,とい言葉の意味にもよりますが,さすがにそんなことはないだろうと思います.

宇宙エレベーターについての記述もあり,213ページには国際宇宙航行アカデミー(IAA)の報告書(“Feasibility of the Space Elevator and a Way Forward”)についても言及されています.ありがとうミチオさん.

2019年9月9日月曜日

量子コンピュータが変える未来

題名:量子コンピュータが変える未来
著者:寺部雅能,大関真之
発行:オーム社(2019.7.20)

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☆☆☆★★

量子コンピューター,というか,量子アニーリングマシンはどのような用途に使えるのかについて書かれている本です.原理的なことも書かれていますが,量子力学にはほぼ踏み込まないので,わかっている人にとっては物足りなく,わかっていない人にとっては何のことだかわからない説明になっていると思います.原理はともかく,どんな用途に使うことができるのかを知りたい,現状がどうなっているのかを知りたい,という方にオススメ.

94ページの「2の2048個であれば」は「2048個であれば」の誤りだと思います.


2019年9月6日金曜日

異世界誕生 2006

題名:講談社ラノベ文庫 異世界誕生 2006
著者:伊藤ヒロ
発行:講談社(2019.10.1)

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☆☆☆☆★

ライトノベルを否定するかのようなライトノベルです.いや,ライトノベルというには,重いテーマが扱われています.が,読み口はラノベ.異世界ものではない異世界の話です(なんのことかわからないと思いますが,わかるように書くとネタバレになってしまうので).前半と後半で雰囲気が違うのも,あとがきを読んで納得です.ブック(Apple)にて.

2019年9月3日火曜日

数学の贈り物

題名:数学の贈り物
著者:森田真生
発行:ミシマ社(2019.3.22)

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☆☆★★★

題名は『数学の贈り物』ですが,数学についての,というより,数学と関係がないこともないかなぁという話題のエッセイ集です.まあ,この手の本になにを求めるか,ですが,私にとっての「おくりもの」ではなかったようです.

2019年8月25日日曜日

CPUの創りかた IC10個のお手軽CPU設計超入門 初歩のデジタル回路動作の基本原理と製作

題名:CPUの創りかた IC10個のお手軽CPU設計超入門 初歩のデジタル回路動作の基本原理と製作
著者:渡波郁
発行:毎日コミュニケーションズ(2003.9.30)

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☆☆☆☆☆

コンピューターの中核である CPU の原理と4 bit CPU を汎用 IC で組む設計例が解説されている本です.ロジックについてはちょっとは知っていましたが,ハードウェアの原理というか,デジタル回路についてはほとんど知らなかったので,勉強になりました.機械語とかニーモニックとか,PC-1500 で触って以来,数十年ぶりに再会しました.初版は15年以上前ですが,コンピューター関連の本としては驚異的な長寿命で,2019年に28刷りが出てます.

ただ,抵抗の単位が「KΩ」と書かれているのが気になりました.SI接頭語ではキロは小文字なので「kΩ」です.二進数の 1024 を「K」と書くのに引っ張られたのか,回路図では大文字で書く習慣だからか,だと思うのですが,本文では「k」にしたほうがいいと思います.

2019年7月26日金曜日

郝景芳短篇集

題名:郝景芳短篇集
著者:郝景芳
訳者:及川茜
発行:白水社(2019.3.20)

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☆☆★★★

「北京 折りたたみの都市」(新☆ハヤカワ・SF・シリーズの現代中国SFアンソロジー では 「折りたたみ北京」)でヒューゴー賞を受賞した作家の短篇小説集.作者は清華大学物理学科を卒業とのことで,ハードSF系を期待して読んだのですが,どちらかというと対極にある印象です.宇宙エレベーターが出てくる「弦の調べ」を読みたくて手にしましたが,残念ながらお話の世界に浸ることはできませんでした.

2019年7月12日金曜日

ジェリーフィッシュは凍らない

題名:ジェリーフィッシュは凍らない
著者:市川憂人
発行:東京創元社 (2019.6.28)

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☆☆☆★★

1980年代に近い時代設定のパラレルワールドでの「そして誰もいなくなった」系のお話です.面白いのですが,ちょっと諄いかな,と感じたのと,途中でネタ割れしたのが,残念です(ネタ割れについては著者の狙いかもしれませんが).Apple「ブック」版にて

2019年7月3日水曜日

Rで楽しむベイズ統計入門 しくみから理解するベイズ推定の基礎

題名:Data Science Library Rで楽しむベイズ統計入門 しくみから理解するベイズ推定の基礎
監修:石田基広
著者:奥村晴彦,牧山幸史,瓜生真也
発行:技術評論社(2018.1.29)

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☆☆☆★★

R を使ってベイズ統計の理論やアルゴリズムを解説する本です.タイトルに「ベイズ統計入門」とありますが,ベイズ統計の入門書というより,R を使ってベイズ統計の処理をするための入門書です.資料として

2019年6月14日金曜日

夜のメイドさん 1

題名:バンブーコミックス 夜のメイドさん 1
著者:あづま笙子
発行:竹書房(2019.6.10)

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☆☆☆☆★

『マンガでわかる微分方程式』の作画をお願いした漫画家の方による,ユーレイのメイドさんの4コマ漫画です.わりと奔放なユーレイのメイドさんがとくに縁も恨みもない(といまのところ思われる)家であれやこれやをしてくれます.個人的には最後の「メイドさんあとがき」が一番興味深かった(なにが描かれているかは,お手に取ってお確かめください).

2019年6月10日月曜日

月まで三キロ

題名:月まで三キロ
著者:伊与原新
発行:新潮社(2018.12.20)

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☆☆☆☆☆

科学と何某かの繋がりがある人についてのお話が6篇編まれている短篇集です.科学の扱いの距離感がなんともいえず,いい感じです.なるほど,こういう手もあるのね.

2019年5月24日金曜日

トコトンやさしい宇宙ロケットの本(第3版)

題名:今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい宇宙ロケットの本(第3版)
著者:的川泰宣
発行:日刊工業新聞社(2019.4.25)

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☆☆☆☆★

的川センセが書いたロケットについての本です.題名には「トコトンやさしい」とありますが,内容的には高度なことまで紹介されています(もちろん詳細は書かれていませんが).とてもわかりやすく説明されていて,さすが的川センセです.最後の最後ですが,宇宙エレベーターについても一節を割いています.じつは,その部分を読むためだけに買いましたw

見知らぬものと出会う ファースト・コンタクトの相互行為論

題名:見知らぬものと出会う ファースト・コンタクトの相互行為論
著者:木村大治
発行:東京大学出版会(2018.9.26)

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☆☆★★★

SFで書かれているファースト・コンタクトを手がかりに異質なものとのコミュニケーションが成立するかについて書こうとしている本です.とても期待した読み始めたのですが,残念ながら期待はずれでした.もっとシンプルに書けばいいのに.

2019年5月17日金曜日

魔眼の匣の殺人

題名:魔眼の匣の殺人
著者:今村昌弘
発行:東京創元社(2019.2.22)

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☆☆☆☆★

「あと二日で四人死ぬ」と予言されたクローズドサーキット内での出来事が展開していくミステリーです.とても面白かったのですが,お話の鍵になっている予知能力についての説明がない,というか,その前提に馴染めないので,星ひとつ減らしました.前作『屍人荘の殺人』のゾンビも,そうだったんだよなぁ.iBooks にて.

2019年5月8日水曜日

アンの世界地図 ~It’s a small world~

題名:アンの世界地図 ~It’s a small world~ 1-5 (ボニータ・コミックス)
著者:吟鳥子
発行:秋田書店 (2014.2.1-)

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☆☆☆☆★

母に愛されずに生きていた少女が家出先で別の少女と出会い,世界が劇的に広がっていく,という漫画です.主人公が金髪にロリータ服で出会ったのが着物少女,と聞くと,なんじゃそれ,と思いますが,読み進むと,なるほど,という感じです.展開のテンポもいいし面白いのですが,いくつか疑問が解消されないところがあるのが気になります.Kindle 版にて.

2019年5月7日火曜日

プログラマの数学 第2版

題名:プログラマの数学 第2版
著者:結城浩
発行:SBクリエイティブ(2018.1.17)

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☆☆☆★★

プログラミングに役立つ数学的な考え方について書かれている本です.プログラムに困ったときに開く本ではなく,困らないようにするための考え方について学ぶ本,という感じです.資料として.Kindle 版にて.

実践ベイズモデリング 解析技法と認知モデル

題名:実践ベイズモデリング 解析技法と認知モデル
編著:豊田秀樹
発行:朝倉書店(2017.1.25)

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☆☆☆★★

ベイズ統計的なアプローチでさまざまなモデルと解析方法が書かれている本です.資料として.

2019年5月5日日曜日

科学する心

題名:科学する心
著者:池澤夏樹
発行:集英社インターナショナル(2019.4.10)

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☆☆☆★★

科学的な内容を含むエッセイがまとめられている本です.途中まではとても面白いのに,途中からつまらなくなって,「あれ?」と思ったのですが,最後まで読んで納得.連載していた『考える人』が休刊したため,他の雑誌に移ったとのこと.面白さの変化は,おそらくそのためだと思います.途中まではオススメ.

2019年4月26日金曜日

駄目な世代

題名:駄目な世代
著者:酒井順子
発行:KADOKAWA(2018.12.15)

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☆☆★★★

いわゆる「バブル世代」にまつわるあれやこれやが書かれている本です.同世代のひとりとして,なんとなく「駄目感」というか「残念感」は共感できるので,どんな内容かと思って読んでみました.同世代の著者が書いているので懐かしさはありますが,バブルとは無縁の世界でその時代を過ごした身としては,あまりよくわからないな,という感想です.まぁ,そんなふうに感じる人たちもいるのね,と.

世界史とつなげて学べ 超日本史

題名:世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史
著者:茂木誠
発行:KADOKAWA (2018.2.16)

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☆☆☆★★

日本史を世界史とつなげるようにして書かれている本です.題名から受ける印象ほど,世界史からみた日本史観が書かれているわけではありません.世界史的に書かれていて面白い部分もあるので,読んでみると発見があるかもしれません.ただ,ここに書かれている歴史が史実なのかどうかを確かめる方法がないのが残念です.

2019年4月24日水曜日

ベストセラーはもういらない

題名:ベストセラーはもういらない
著者:秦隆司
発行:ボイジャー(2018.12.18)

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☆☆★★★

電子本とオンデマンド本を出版する返本率0の出版社をつくった方へのインタビューを中心に,アメリカの出版事情などについて書かれている本です.アメリカの新聞や出版の状況はなんとなくわかるのですが,その周辺で語られる個人のエピソードに興味が持てませんでした.アメリカの事情を知りたい方には面白いのかもしれませんが,一般化して考えることができるほどのことは書かれていないように思います.Kindle版にて.

2019年4月13日土曜日

マンガでわかる機械学習

題名:マンガでわかる機械学習
著者:荒木雅弘,渡まかな,ウェルテ
発行:オーム社(2018.8.10)

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☆☆☆☆★

機械学習についてマンガで説明している本です.説明にマンガが有効に使われている印象で,機械学習につい概観するのに向いていると思います.解説とストーリー展開のバランスもいいと思います.

2019年4月12日金曜日

マンガでわかるベイズ統計学

題名:マンガでわかるベイズ統計学
著者:高橋信,上地優歩,ウェルテ
発行:オーム社(2017.11.25)

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☆☆★★★

漫画でベイズ統計を解説している本です.「マンガでわかるシリーズ」は良書が多いのですが,残念ながら本書はマンガである利点が活かされていない印象です.マンガ部分と解説部分が噛み合っていません.とくに,マンガ部分で式の展開が「こうなります」とキャラクターに語らせているのは残念です.なにをしたのか,式の意味はどう解釈できるのか,などを語らせて欲しかった.

2019年4月10日水曜日

Genesis 一万年の午後 創元日本SFアンソロジー

題名:Genesis 一万年の午後 創元日本SFアンソロジー
著者:久永実木彦,高山羽根子,宮内悠介,秋永真琴,松崎有理,倉田タカシ,宮澤伊織,堀晃,加藤直之,吉田隆一
発行:東京創元社(2018.12.21)

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☆☆☆★★

創元日本社による短編SFやエッセイのアンソロジーです(サブタイトルそのままですね).収録されている宮内悠介の「ホテル・アースポート」は,宇宙エレベーター(軌道エレベーター)を見はるかすホテル・アースポートでのお話です.

物理は自由だ1 力学 (改訂版)

題名:物理は自由だ1 力学 (改訂版)
著者:江沢洋
発行:日本評論社(2004.3.30)

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☆☆☆☆☆

主に惑星の運動から力学を考えている本です(じつは,一度読んだことがあるのですが,改めて読んでいい本だな,と思ったので紹介します).「わからないことは物理の宝だ」という著者の主張のように,わからないことをそのままにして頭ごなしに与えられた知識で理解したつもりになるのではなく,ゆっくりわかることから攻めていきましょう,という立場から書かれています.物理の問題は「公式」に数値を当てはめれば解ける,と思っている人にオススメします.きっと,こんなの物理じゃない,という感想をもつと思いますが,これこそが物理の考え方,自然現象に対するアプローチの典型です.

2019年4月5日金曜日

とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト)3 女子高生乱子によるベイズ統計学入門講座

題名:とある弁当屋の統計技師(データサイエンティスト)3 女子高生乱子によるベイズ統計学入門講座
著者:石田基広,石田和枝
発行:共立出版(2019.2.28)

☆☆☆☆★

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ベイズ統計とはどのようなものかについて,お話形式で書かれている本です.内容はともかく,表紙,というかカバー絵と題名が完全にライトノベルで,書店で買うときに言い訳をしたくなる層は確実にいそうです.内容は,ベイズ統計を初めて知る,という人向きだと思いますが,少し説明が足りないように感じます.お話の展開は,読みにくくはないのですが,ちょっと場当たり的な感じです.主題の解説とお話の展開の分量とバランスが,難しいですね.とくに分量が問題だと思います.長くすると分かり易く面白く書けますが,本が厚くなり,値段が高くなり,売れなくなる,と編集側から言われそうです.

2019年3月22日金曜日

彼方のアストラ

題名: 彼方のアストラ 1-5 (ジャンプコミックス)
著者:篠原健太
発行:集英社 (2016.7.4) (2016.11.4) (2017.4.4) (201.8.4) (2018.2.2)

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☆☆☆☆★

高校生たちが「惑星キャンプ」に出たところ遭難し,サバイバルを続けながら帰郷を果たそうとするうちに,世界の秘密を暴いてしまう,という漫画です.数年前から読みたいな,と思って単行本(電子版)を買ってはいたのですが,完結してから読みたいと思っているうちにマンガ大賞を受賞したと知り,慌てて読みました.細かいことは抜きにして,面白いです.一気に読めるのも良い.


2019年3月21日木曜日

天外消失

題名:天外消失(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)
編者:早川書房編集部
発行:早川書房 (2008.12.10)

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☆☆☆☆★

1972年に発行された<世界ミステリ全集>の最終巻『37の短編』というアンソロジーから14編を選んで編まれた短編集です.厳選されているだけに,どれも面白い.

2019年3月14日木曜日

基礎からのベイズ統計学 ハミルトニアンモンテカルロ法による実践的入門

題名:基礎からのベイズ統計学 ハミルトニアンモンテカルロ法による実践的入門
編著:豊田秀樹
発行:朝倉書店(2015.6.25)

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☆☆☆★★

ベイズ統計について例をたくさん使いながら説明している入門書です.文中にはソフトウェアのコードは書かれていません(付録にはあります)が,その分を解説文にさくという構成です.

2019年3月4日月曜日

2312 太陽系動乱〈上, 下〉

題名:創元SF文庫 2312 太陽系動乱〈上, 下〉
著者:キム・スタンリー・ロビンスン
訳者:金子浩
発行:東京創元社(2014.9.26)

2312
by Kim Stanley Robinson
2012

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☆☆☆★★

太陽系中に人類が進出した時代に起きたAI絡みの騒動についてのお話です.宇宙エレベーターが当然のように出てきます.内容的には,長さに対してどうかな,という感じです.世界観は面白いのに,もったいない.

2019年3月2日土曜日

吃音 伝えられないもどかしさ

題名:吃音 伝えられないもどかしさ
著者:近藤雄生
発行:新潮社(2019.1.30)

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☆☆☆☆★

吃音者の著者による吃音の当事者に取材をした内容が書かれれているノンフィクションです.丹念な取材と自らの体験による吃音への広く深い理解が好感を持てる内容です.当事者にとっても,その周囲の人にとっても,多様で画一的に捉えることができない状況がよくわかります.教育関係者必読といってもいいと思います.

2019年3月1日金曜日

いかにして問題をとくか

題名:いかにして問題をとくか
著者:G. ポリア
訳者:柿内賢信
発行:丸善出版(1975.4.15)


How to Solve It / A New Aspect of Mathematical Method
by G. Polya
1945

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☆☆☆★★

未知の問題に出会ったときにどのように考えたらよいかについて書かれている本です.構成がユニークで,好き嫌いが分かれそうです.第3部の「発見学の小事典」が本書の分量の大部分を占めていますが,なぜアルファベット順なのかがよくわかりません.しかも,原書はアルファベット順でも並びには違和感がないかもしれませんが,邦訳もアルファベット順なのはなぜなのか,よくわかりません.ただ,これだけ長い期間にわたって邦訳を出版し続けていることには感謝です.

2019年2月25日月曜日

数学で物理を

題名:数学で物理を
著者:武部尚志
発行:日本評論社(2007.3.20)

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☆☆☆★★

高校から大学初年級の数学をつかって物理を説明しようという本です.「数学側」から見るとこう見えるのか,という意味で,新鮮でした.一度「物理側」から物理を勉強した人にオススメ.資料として.

2019年2月21日木曜日

概説 地球科学

題名:概説 地球科学
著者:針谷宥,服部定育,藤原嘉樹,渡辺暉夫,高橋伸幸,赤松守雄
発行:朝倉書店(1996.6.5)

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☆☆☆★★

地球科学に関するあれこれが書かれている入門書です.太陽系や惑星の形成など,進歩が早い分野では記述が古くなるのは仕方がありませんが,よくまとまっているので地球のことを全般的に知りたい方の参考にはなると思います.資料として.

2019年2月20日水曜日

理科系の論文作法

題名:理科系の論文作法
著者:高木隆司
発行:丸善出版(2003.8.30)

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☆☆☆☆★

論文や報告書などの作成のお作法が書かれている本です.題名に「理科系の」とありますが,論文の形式の説明などを除いて文科系でも使えると思います.とても読みやすく,学生が初めてレポートを書く前に読むのに最適だと思います(というか,それを想定して本を探しました).資料として.
164ページと165ページの図が混乱していますが,おそらく初版(手元にあるのは初版本です)だからで,重版がかかっていれば修正されているのではないかと思います(未確認ですが).

2019年2月14日木曜日

数学デッサン教室 描いて楽しむ数学のかたち

題名:数学デッサン教室 描いて楽しむ数学のかたち
著者:瑞慶山香佳
発行:技術評論社(2019.1.12)

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☆☆☆★★

数学画家を自称する著者によって,数学であつかう形を描く数学デッサンについて書かれた本です.前半は数学で出てくる形について,後半は簡単な形の描き方について書かれています.「数学デッサン」という言葉は著者の創作で,数式で表される立体をデッサンしたもの,とのことです.後半の描き方はとても丁寧に初心者,というか初めて絵を描く人でもわかるように書かれていています(鉛筆の削り方から書かれています).ただ,対象とする読者像が浮かばない(私が心配することではありませんが).デッサンの練習で描く石膏像に幾何学的な立体があるので,その参考にはなると思います.これで数学が好きになる人は,どのくらいいるかなぁ.

2019年2月13日水曜日

これだけは知っておきたい! 弁護士による宇宙ビジネスガイド New Spaceの潮流と変わりゆく法

題名:これだけは知っておきたい! 弁護士による宇宙ビジネスガイド New Spaceの潮流と変わりゆく法
編者:第一東京弁護士会
発行:同文舘出版(2018.11.15)

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☆☆☆☆★

宇宙での活動に関する国内法や国際法について書かれている本です.基本的に見開きで完結するように書かれていて,細切れの時間でも読みやすく工夫されています.内容的に新しいことはありませんが,宇宙法についてはじめて手にする本としてオススメです.

宇宙エレベーターについて3か所(p.28, 75, 78)で言及されています.この中で,ケーブルが自重で切れる長さが鋼鉄製のワイヤーで 15 km と書かれていますが,これは破断長のことですね.誤解が多いようですが,破断長は宇宙から垂らしたときに自重で切れる長さではありません.地表の重力で切れる長さです(実際には地球の中心からの距離が変わると重力も変わるので,仮想的な長さです).実際に静止軌道からピアノ線を垂らすと 7000 km ほどまで切れずに垂らすことができます.詳しくは『うちゅうエレベーターの物理学』に書いたので,そちらをご参照ください.