2017年12月16日土曜日

数字とことばの不思議な話

題名:岩波ジュニア新書 数字とことばの不思議な話
著者:窪薗晴夫
発行:岩波書店(2011.6.21)

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☆☆☆☆★

数字をキーワードに日本語の仕組みについて書かれている本です.知らないことも多く,内容は興味深かったのですが,冗長.半分かもしかすると1/3でも同じ内容で書けるように思います.その分,もっと項目を収めることができたと思うので,星1つ減点.まぁ,私が書く文章もしつこいので,他人のことを言えた義理ではないのですが.

2017年12月3日日曜日

言語・思考・現実

題名:講談社学術文庫 言語・思考・現実
著者:B. L .ウォーフ
訳者:池上嘉彦
発行:講談社(1993.5.10)

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☆☆★★★

ウォーフの言語的相対論について書かれいてる本です.全体の1/3が編者解説や訳者解説などです.

行き先は特異点 年刊日本SF傑作選

題名:創元SF文庫 行き先は特異点 年刊日本SF傑作選
編者:大森望,日下三蔵
発行:東京創元社(2017.7.28)

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☆☆☆☆★

2016年に発表されたSF短編のアンソロジーです.読み応え,ありです.

2017年11月24日金曜日

教育という文化

題名:教育という文化
著者:J. S. ブルーナー
訳者:岡本夏木,池上貴美子,岡村佳子
発行:岩波書店(2004.2.25)

THE CULTURE OF EDUCATION
by Jerome S. Bruner
1996

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☆☆☆★★

心理学と教育について書かれている本です.アクティブラーニングについて知りたいなら読んでおいてもいいかも.

2017年11月12日日曜日

トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち

題名:中公新書 トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち
著者:藤原辰史
発行:中央公論新社(2017.9.25)

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☆☆☆★★

農業用トラクターが人類の歴史をどう変えてきたかについて書かれている本です.内容は興味深いのですが,図や写真がもっとあるとよかった.とくに写真は,人の顔よりトラクターをもっと入れて欲しかった.

シャドー81

題名:ハヤカワ文庫 シャドー81
著者:ルシアン・ネイハム
訳者:中野圭二
発行:早川書房(2008.9.15)

SHADOW 81
by Lichen Nahum
1975

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☆☆☆☆★

旅客機を外からハイジャックするというお話です.書かれたのが 1975 年で,ベトナム戦争が重要な役割をしているなど,時代を感じさせる場面もありますが,お話としては古くなってはいないと思います.映画化されていないのが不思議(試みられてはいたらしい)ですが,映像にしないほうが面白いのかもしれません.

日本語訳は 1977 年に新潮文庫から出ているようですが,それを 2008 年に新装版で出した早川書房はさすがです.2017 年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの本もそうだけど,いい本を出そうという姿勢はだてではありませんね.

2017年11月10日金曜日

重力からみる地球

題名:重力からみる地球
著者:藤本博巳,友田好文
発行:東京大学出版会(2000.10.5)

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☆☆☆★★

地球の重力について書かれている本です.よくまとまっています.資料として.

2017年10月29日日曜日

オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで

題名:岩波科学ライブラリー オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで
編者:窪薗晴夫
発行:岩波書店(2017.5.18)

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☆☆☆☆★

オノマトペについて言語学や心理学,認知科学などの観点からそれぞれの専門家によって書かれれている本です.言語学的なアプローチと音韻構造からのアプローチが面白かった.

2017年10月28日土曜日

すずなの恋 3

題名:バンブーコミックス すずなの恋 3
著者:あづま笙子
発行:竹書房(2017.10.11)

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☆☆☆☆★

『マンガでわかる微分方程式』の作画を担当していただいたあづま笙子の単行本,シリーズ完結の巻です.内容とは関係ないのですが,舞台となっている高校の校章が私の出身校と似ていたり,主人公たちが美術部所属だったり,端々にホッカイドー弁が出てきたりと,なんとなく親近感の湧くお話でした.

人類の進化史 20世紀の総括

題名:講談社学術文庫 人類の進化史 20世紀の総括
著者:埴原和郎
発行:講談社(2004.11.10)

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☆☆☆★★

題名の通り,人類の史について書かれている本です.文庫化は 2004 年ですが,元本は 2000 年に発行されていて,この 4 年間ですでにいろいろと内容にコメントをつけなければならなかったようで,結構長い文庫版のあとがきがついています.当然,いまから読むとちょっと違うなぁということもありますが,とてもよくまとまっているので,最新の内容を別の本で補完することを前提に人類史を俯瞰するのに向いていると思います.

カラスと人の巣づくり協定

題名:カラスと人の巣づくり協定
著者:後藤三千代
発行:築地書館(2017.6.20)

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☆☆☆☆★

カラスによる電柱への営巣問題をきっかけとしたカラスの生態研究について書かれている本です.どこにでもいるように思えるカラスですが,意外にいろいろなことがわかっていないということがわかります.なぜ日本に似たような黒いカラスが2種いるのか以前から不思議だったのですが,その理由がわかりスッキリです.

2017年10月20日金曜日

「宇宙戦艦ヤマト」の真実

題名:祥伝社新書「宇宙戦艦ヤマト」の真実 いかに誕生し,進化したか
著者:豊田有恒
発行:祥伝社(2017.10.10)

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☆☆★★★

『宇宙戦艦ヤマト』の立ち上げ時から関わっている著者による暴露本です.『宇宙戦艦ヤマト』については,いろいろあったらしいことはぼんやりとは知っていましたが,そういうことだったのか,という感じのことがわかります.ただわかったところで,なにかいいことがあるというわけではないので,読んでも読まなくてもいいかな,という感想です.まあきっと,書いておきたかったんでしょうね.

p161 に,空母からの艦載機の離艦について,スキージャンプという方法では「期待を上向きにして離艦することによって揚力が増すから」という説明がありますが,斜め上方に発艦しても揚力は増しません(速度の上向き成分を増して,離艦後にちょっと落ちても海面に着かないようにする,ということかな).速度と力の混同という,よくある誤概念だと思います.

あと,タイトル.「進化」はしてないし.まあ,タイトルは編集が決めているのでしょうから著者のせいではないと思いますが,ちっと頑張って欲しかった.

2017年9月19日火曜日

間違いだらけの物理概念

題名:パリティブックス 間違いだらけの物理概念
編者:パリティ編集委員会
発行:丸善(1993.12.25)

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☆☆☆★★

物理学の誤解や誤認について書かれている本です.1つのトピックを1人の著者が書いています.物理をある程度知っている人向け.説明なしにいきなり専門的な用語や概念が出てきます.

2017年9月18日月曜日

戦う姫、働く少女

題名:POSSE叢書 戦う姫、働く少女
著者:河野真太郎
発行:堀之内出版(2017.7.20)

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☆☆☆★★

ポップカルチャーにおける女性の表象について書かれている本です.はい,タイトルにつられて買いました.人文・社会科学系の論考にありがちな,独特の言葉遣いや強引な展開はあるものの,前半はとても面白く読みました.終わりのほうにいくにしたがって,次第に面白くなっていった,というか,私の興味からずれていったのですが,「おわりに」を読んで,なんとなくその理由がわかりました.

2017年9月14日木曜日

ソラリス

題名:ソラリス
著者:スタニスワフ・レム
訳者:沼野充義
発行:国書刊行会(2004.9.30)

Solaris
by Stanislaw Lem
1961

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☆☆☆☆☆

地球外知性体との遭遇のお話の,ポーランド語原典からの新訳版です.いやあ,やはりいいものはいいですね.以前の訳(『ソラリスの陽のもとに』)を読んでからもう随分時間が経っているので,違いまでははっきりしませんが,新訳版(といっても,もうそれほど新しいというわけではありませんが),いいです.

創造的認知 実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム

題名:創造的認知 実験で探るクリエイティブな発想のメカニズム
著者:Ronald A. Finke, Thomas B. Ward, Steven M. Smith
訳者:小橋康章
発行:森北出版(1999.7.30)

CREATIVE  COGNITION
Theory, Research, and Applications
by Ronald A. Finke, Thomas B. Ward and Steven M. Smith
1992

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☆☆★★★

創造的思考を認知科学の手法で実験的に分析しようとしている本です.翻訳が悪いのか,原著が悪いのか,両方なのか,原著を読んでいないのでわかりませんが,とても読みにくい.その割に,内容的には(いまとなっては)大したことが書かれているわけではない.どうしても読まなければならない人向け.

2017年9月12日火曜日

ホワイト・ボーン

題名:ホワイト・ボーン
著者:バーバラ・ガウディ
訳者:佐田千織
発行:早川書房(2000.4.30)

T HE WHITE BONE
by Barbara Gowdy
1998

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☆☆★★★

凶悪な人間から逃れて安住の地を示す伝説の「白い骨」を求めて旅をする若い雌象のお話です.残念ながら,物語の中に入り込むことができませんでした.

2017年9月11日月曜日

小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力

題名:小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力
著者:立花隆
発行:朝日新聞出版(2009.1.30)

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☆☆☆☆★

CPの破れを実証するためのBファクトリーについて書かれている本です.書名は「小林・益川理論の証明」となっていますが,もちろん証明について書かれているわけではありません(ついでにいうと,物理の理論は数学的な意味での「証明」はできません).ただ,文章はうまく,難しい内容をわかりやすく書かれているのはさすがです.残念なのは,もともと掲載されていた「サイアス」の休刊で連載が途切れていて,それについて本文中で「かならずどこかに書く」とあるのに,それについての言及がないことです.

2017年9月9日土曜日

物理を楽しもう

題名:物理を楽しもう
著者:阿部龍蔵
発行:岩波書店(2001.10.23)

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☆☆★★★

身近な例を入口として基本的な物理の内容について書かれている本です.まえがきに「物理アレルギーが少しでも解消されれば」とあるのですが,この内容ではちょっと難しいと思います.物理を教える人が参考にするにしても,説明の流れがよくある教科書的なので,あまり役に立たないかも.


2017年9月8日金曜日

宇宙へ

題名:宇宙へ
著者:福田和代
発行:講談社(2012.9.20)

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☆★★★★

宇宙エレベーターのメンテナンスをする人たちのお話です.酷い作品だとは聞いていましたが,想像以上にお粗末でした.いちいち挙げていたらきりがないので挙げませんが,リアリティのあるお話のつもりだと思うのですが,科学的におかしなことが次々に出てくるので,お話の世界に入り込めません.ファンタジーならいいんですけどね,物理や化学がわかってる風に書くから妙なことになる.小説としての出来もよくはなく,読み切るのが苦痛でした.最後は,宇宙エレベーターに関係しているものとしての義務感だけでした.

2017年9月2日土曜日

鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ。

題名:鳥類学者だからって,鳥が好きだと思うなよ。
著者:川上和人
発行:新潮社(2017.4.15)

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☆☆☆★★

鳥類学者による話題のエッセイが書かれている本です.あまりにも売れているようなので,敵情視察として購入(笑).しかし,私はあまり好きなスタイルではありません(負け惜しみか).多くの人にはこのような,小ネタで笑わせるスタイルが受けているということなのだと思いますが,私には冗長に感じました.内容は興味深いだけに,もったいない.

2017年8月30日水曜日

進化する地球惑星システム

題名:進化する地球惑星システム
編者:東京大学地球惑星システム科学講座
発行:東京大学出版会(2004.5.10)

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☆☆☆☆★

時間的にも空間的にもさまざまなスケールで地球の出来事をシステム的に書かれている本です.地球のような複雑なシステムを理解するためには,いろいろなことを知らなければならないことがよくわかります.

2017年8月22日火曜日

歴史を変えた100の大発見 物理 探究と創造の歴史

題名:歴史を変えた100の大発見 物理 探究と創造の歴史
著者:トム・ジャクソン
監訳:新田英雄
訳者:ヴォルフガング・フォグリ,フォグリ未央
発行:丸善出版(2017.1.30)

PHYSICS
An Illustrated History of the Foundations of Science
by Tom Jackson
2013

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☆☆☆☆★

物理の歴史を発見でたどる本です.巻末の人物辞典と年表が充実しています.資料的価値大.

ファインマン流物理がわかるコツ

題名:ファインマン流物理がわかるコツ
著者:リチャード・P・ファインマン,マイケル・ゴットリーブ,ラルフ・レイトン
訳者:戸田盛和,川島協
発行:岩波書店(2007.5.29)

FEYNMAM'S TIPS ON PHYSICS:
A Problem-Solving Supplement to the Feynman Lectures on Physics
by Richard P. Feynman, Michael A. Gottlieb, Ralph Leighton
2006

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☆☆☆☆☆

『ファインマン物理学』に収録されなかった講義4本が収められた本です.とくに,試験前に試験の内容と無関係にされたという補講3本が面白い.講義の教科書にしたいくらいです(教科書にはなりませんが).

2017年8月21日月曜日

展望 日本型理科教育 過去・現在・そして未来

題名:展望 日本型理科教育 過去・現在・そして未来
著者:日置光久
発行:東洋館出版社(2005.11.23)

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☆☆★★★

日本の理科教育について書かれている本です.理科と科学の違いについてなどが書かれています.資料としては使えるかもしれません.

学習科学とテクノロジ

題名:放送大学教材 学習科学とテクノロジ
著者:三宅なほみ
発行:放送大学教育振興会(2003.3.20)

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☆☆☆★★

学習科学と学習科学に基づいた実践について書かれている本です.テクノロジーについて書かれている部分は古くなっていますが,学習科学について書かれているところについては参考になります.資料として.

千の顔をもつ英雄

題名:ハヤカワ文庫 千の顔をもつ英雄 上/下(新訳版)
著者:ジョーゼフ・キャンベル
訳者:倉田真木,斎藤静代,関根光宏
発行:早川書房(2015.12.25)

THE HERO WITH A THOUSAND FACES
by Joseph Campbell
1949

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☆☆☆★★

ジョージ・ルーカスが「スターウォーズ」の脚本の参考にしたことで有名な,比較神話学の本です.まあ,一度は読んでおかないと,という感じでしょうか.資料として.

2017年8月17日木曜日

中学生までに読んでおきたい哲学 8 はじける知恵

題名:中学生までに読んでおきたい哲学  8 はじける知恵
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.5.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 7 人間をみがく

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 7 人間をみがく
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.5.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 6 死をみつめて

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 6 死をみつめて
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.5.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 5 自然のちから

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 5 自然のちから
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.11.15)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 4 おろか者たち

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 4 おろか者たち
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.6.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 3 うその楽しみ

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 3 うその楽しみ
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.10.15)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 2 悪のしくみ

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 2 悪のしくみ
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.7.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

中学生までに読んでおきたい哲学 1 愛のうらおもて

題名:中学生までに読んでおきたい哲学 1 愛のうらおもて
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2012.9.10)

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☆☆☆☆★

自分の頭で考えるきっかけになるような文章のアンソロジー.

2017年8月13日日曜日

70年代日本SFベスト集成 3 1973年度版

題名:ちくま文庫 70年代日本SFベスト集成 3 1973年度版
編者:筒井康隆
発行:筑摩書房(2015.2.10)

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☆☆☆☆★

『’73年代日本SFベスト集成』の文庫版.1973年の日本SFに関係する雑多なもののアンソロジーです.眉村卓の『通りすぎた奴』が読みたくて買いました.25130階まで階段を上る人についての,ちょっと宇宙エレベーター的なお話です.

2017年8月5日土曜日

講座教科教育 最新の理科教育

題名:講座教科教育 最新の理科教育
発行:森一夫
著者:学文社(1993.3.31)

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☆☆★★★

理科教育についた書かれている本です.資料として.

豪雨と降水システム

題名:豪雨と降水システム
著者:二宮洸三
発行:東京堂出版(2001.6.20)

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☆☆☆★★

地球スケールの降水と水循環や日本列島の豪雨などについて書かれている本です.豪雨は最近になってから起きているわけではないことがわかります.観測網が発達したことで,リアルタイムにわかるようになったのですね.資料として.

ストリンガーの沈黙

題名:ハヤカワSFシリーズ ストリンガーの沈黙
著者:林譲治
発行:早川書房(2005.11.15)

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☆☆☆☆★

宇宙に進出した人類社会とファーストコンタクトが書かれているお話です.同一テーマの短編集『ウロボロスの波動』の続編ですが,こちらは長篇です.やはり,ファーストコンタクトものはコンタクト部分が難しいですね.

校正もれ.306ページ最後の行,「少数」→「小数」

2017年8月2日水曜日

楽器の考古学

題名:ものが語る歴史シリーズ 楽器の考古学
著者:山田光洋
発行:同成社(1998.12.20)

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☆☆☆☆★

日本列島で出土した楽器や楽器と推定される遺物について書かれている本です.典型的な文系の論文みたいな書き方だなぁと思って読み進み,あとがきを読むと,「筆者の学士論文」とあって,驚くと同時に納得しました.資料として.


民族楽器をつくる 音と楽器のミンゾク学

題名:新版 民族楽器をつくる 音と楽器のミンゾク学
著者:関根秀樹
発行:創和出版(2003.10.31)

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☆☆☆☆★

世界中の民族楽器について書かれている本です.つくり方が書かれている楽器もあるので,つくってみることもできます.演奏のしかたがもう少し詳しく書かれてると,もっと良かったのに.資料として.

2017年8月1日火曜日

もうひとつの視覚 「見えない視覚」はどのように発見されたか

題名:もうひとつの視覚 「見えない視覚」はどのように発見されたか
著者:メルヴィン・グッデイル,デイヴィッド・ミルナー
訳者:鈴木光太郎,工藤信雄
発行:新曜社(2008.4.20)

SHIGHT UNSEEN
An Exploration of Conscious and Unconscious Vision
Melvyn A. Goodale, A. David Milner
2004

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☆☆☆☆★

行為(運動)のための意識されない視覚について書かれている本です.私たちが「見ている」と思っているものが脳が見ているもののすべてではない,ということを見つけた方たちが,とてもわかりやすく書いています.そんなことがあるのか,と驚きますが,でもよく考えてみると,日常的にある(たとえば,考え事をしながら歩く,とか)ことだなぁ,と感心します.つくづく意識というのは後付けだな,と.視覚や意識に興味がある方にオススメ.

厳選例題 Excel で解く問題解決のための科学計算入門

題名:厳選例題 Excel で解く問題解決のための科学計算入門
著者:吉村忠与志
発行:技術評論社(2005.12.5)

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☆☆★★★

Excel を使って教科書的な科学の問題を解く方法が書かれている本です.まえがき(「はじめに」)に,問題は e-learning のためにインターネットで公開している例題を多く採用した,と書いてあるので,おそらくその紙版という感じなのでしょう.羅列的で,面白い内容ではありませんでした.また,Excel を使って,といいながら,VBA を使うのは反則な気がします.ただ,絶対参照の “$” を入力するのに [F4] キーが使える,というのは知りませんでした.

プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識

題名:プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラミングの基礎知識
著者:矢沢久雄
発行:日経BP社(2001.10.1)

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☆☆★★★

プログラムが動作する仕組みについて書かれている本です.なにせ古いので,現在の状況とは異なる点も多いのですが,基本的な部分については変わらないでしょう.それにしても,「WYSIWYG」とか「ニーモニック」とか,久しぶりに見ました.また,「なぜか人工知能のブームは去ってしまいましたが」などとあり,隔世の感ありです.現在,第3次人工知能ブームといわれていますが,これも「去ってしまいましたが」と書かれるときが来るのでしょうか.

カオスとフラクタル Excelで体験

題名:カオスとフラクタル Excelで体験
著者:臼田昭司,東野勝治,井上祥史,伊藤敏,葭谷安正
発行:オーム社(1999.2.26)

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☆☆☆★★

カオスとフラクタルについて書かれている本です.Excel などを使って読者がいろいろと確かめながら進めることができます.資料として.

2017年7月31日月曜日

闇が落ちる前に,もう一度

題名:角川e文庫 闇が落ちる前に,もう一度
著者:山本弘
発行:角川書店(2017.2.25)

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☆☆☆★★

4編のSFが収められている本です.もとの文庫本は2007年8月に出ているので,10年前.同じ著者の最近のお話とは雰囲気が違っていて興味深い.iBooks にて.

2017年7月30日日曜日

誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方

題名:誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 研究を成功させるための秘訣
著者:野島高彦
発行:化学同人(2017.7.10)

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☆☆☆★★

科学系(のうちの化学系)の卒業研究を念頭に研究ノートのつけ方が書かれている本です.題名には「実験ノートの書き方」とありますが,本文中で著者もことわっているように,研究全般を記録するノートの内容です.その意味で,題名は疑問です(私のようにつられる人が多いのでは).初めて研究を手がけるという人は読んでおくのがいいかも.学生実験の資料に使えるかな,と思って読みましたが,一部は使えるかなぁ,という感じです.

2017年7月29日土曜日

ウロボロスの波動

題名:ハヤカワSFシリーズ ウロボロスの波動
著者:林譲治
発行:早川書房(2002.7.31)

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☆☆☆☆★

ブラックホールを利用した人工降着円盤によるエネルギーで人類が宇宙に進出していく様子を描いたお話です.6編収められているうちの1編だけが書き下ろしで,あとはSFマガジンで読んだことがあるものでした.宇宙エレベーター(作中では軌道エレベーターですが)も出てきます.

2017年7月23日日曜日

太陽の簒奪者

題名:ハヤカワSFシリーズ 太陽の簒奪者
著者:野尻抱介
発行:早川書房(2002.4.20)

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☆☆☆☆★

ファーストコンタクトのSFで,SFマガジンに短編として載ったものを長編化したお話です.SFマガジンに載った短編を読んでいたので,買ってはあったものの未読でした.お話的に肝心な部分に説明不十分と感じるところがあり,気になってしまいます.全体的にはとてもよいのに,ホントに残念.それとも,私が読めていないだけ?

2017年7月22日土曜日

誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選

題名:ハヤカワ文庫 誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選
編者:野﨑まど,大森望
発行:早川書房(2017.4.15)

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☆☆★★★

広義のファーストコンタクトSFのアンソロジーです.題名はアニメ『正解するカド』をもじっていますが,ファーストコンタクトという点と,編者に『正解するカド』の脚本を手掛けた野崎まどが入っているというだけで,あのアニメとは無関係です.はじめの3本(筒井康隆,小川一水,野尻抱介)は面白かったけれども,あとはそれほどでも.コニー・ウィリスは読んだことあるし.書名に釣られたわけですが,それにしてもちょっとガッカリ.

2017年7月21日金曜日

新・宇宙戦略概論 グローバルコモンズの未来設計図

題名:新・宇宙戦略概論 グローバルコモンズの未来設計図
著者:坂本規博
発行:科学情報出版(2017.2.27)

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☆☆☆★★

日本の過去・現在・未来の宇宙戦略について書かれている本です.題名では「宇宙戦略概論」となっていますが,概論というより宇宙政策をまとめた資料集という感じです.

宇宙エレベーター(本書内では「宇宙エレベータ」.ただし,なぜかあとがきだけ「宇宙エレベーター」)についても随所で触れています.好意的に受け止めていらっしゃるのは嬉しいのですが,2030年〜2070年に「実現がほぼ確実視されているもの」のひとつとして挙げるのは勇足ではないかと.

パスポート学

題名:パスポート学
著者:陳天璽,大西広之,小森宏美,佐々木てる
発行:北海道大学出版会(2016.10.25)

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☆☆☆☆★

パスポートについて書かれている本です.日頃からお世話になっているパスポートですが,知らないことが多いと改めて感じます.ただ,同じような事柄がなんども出てくるのが残念.著者が複数なのでやむを得ないところもありますが,編集をもう少ししっかりした方がよいと思います(まあ,どうやって本にしたかは大体見当がつきますが).「パスポート学」という書名にするなら,宇宙旅行についても触れて欲しかったので,星ひとつ減点.