2018年9月29日土曜日

プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選

題名:創元SF文庫 プロジェクト:シャーロック 年刊日本SF傑作選
編者:大森望,日下三蔵
発行:東京創元社(2018.6.29)

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☆☆☆★★

2017年の日本SFが一望できるアンソロジーです.加藤元浩さんの「鉱区 A-11」という漫画に,宇宙エレベーター(軌道エレベーター)が登場します.ただ,「軌道エレベーターの最上階」の「高軌道ステーション」で無重力状態の描写は,残念です.宇宙エレベーターで無重力状態になるのは,静止軌道高度だけです.

宇宙旅行入門

題名:宇宙旅行入門
編者:高野忠,パトリック・コリンズ,日本宇宙旅行協会
発行:東京大学出版会(2018.7.20)

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☆☆☆☆★

宇宙旅行にまつわるあれやこれやが書かれている本です.宇宙エレベーターについても触れられていて,拙著『宇宙エレベーターの物理学』も参考文献に挙げていただいています.宇宙旅行に行ってみたい人,宇宙旅行なんて無理でしょうと思っている人,など,宇宙旅行に,ポジティブにしろネガティブにしろ,興味がある方にオススメです.

2018年9月28日金曜日

とんでもない死に方の科学 もし●●したら,あなたはこう死ぬ

題名:とんでもない死に方の科学 もし●●したら,あなたはこう死ぬ
著者:コーディー・キャシディー,ポール・ドハティー
訳者:梶山あゆみ
発行:河出書房新社(2018.6.30)

And Then You're Dead
by Cody Cassidy & Paul Doherty
2017

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☆☆☆★★

45種類の死に方のシナリオが思考実験的に書かれている本です.死に方のシナリオはふざけたものが多く,実際には起きない状況を想像しています.中にはネタ切れの苦し紛れのようなものもあり,思考実験の展開の無理矢理さと相まって,だんだん読み進むのが苦痛になっていきました.資料として.

167ページの「木製の磁場は太陽からの電磁波を電池のように蓄えている」との記述は誤りです.原文に当たっていないので,原著者か翻訳者のどちらの誤りかはわかりませんが,電磁波ではなくて,荷電粒子だと思います.

2018年9月27日木曜日

Wonderful R 2 Stan と R でベイズ統計モデリング

題名:Wonderful R 2 Stan と R でベイズ統計モデリング
監修:石田基広
著者:松浦健太郎
発行:共立出版(2016.10.25)

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☆☆☆★★

フリーソフトの確率的プログラミング言語 Stan と統計処理ソフト R で,確率分布を使った数理モデルをデータにあてはめることで現象の理解と予測をする統計モデリングについて書かれている本です.あとがき(「おわりに」)にちょっとだけ書いてありますが,入門書と専門書の間をつなぐような立ち位置の本です.ベイズ統計や R のことをある程度知らないと理解が難しいと思います.記号類が事前の説明なしに使われていたり,索引から辿れなかったりするので,初心者には難しいかも.


2018年9月21日金曜日

圏論の歩き方

題名:圏論の歩き方
編者:圏論の歩き方委員会
発行:日本評論社(2015.9.15)

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☆☆☆★★

矢印で考える数学「圏論」について,応用的な視点から書かれている本です.日本語はわかるのに内容がまったくわからなくて楽しい,という経験をするにはいい本です.物理系の話だけ,かろうじてつい行くことができましたが,数学のコトバがわからなすぎる.出直します.もっとも,圏論の入門書というわけではないし,著者たち自身も「わからない」と書いているので,そんなものなのかもしれません.

ちなみに,p198 に mol が表すのは個数,という記述がありますが,個数では量にならないので,個数に相当する量,ということになってます.細かいことですが.

2018年9月15日土曜日

感覚・知覚実験法

題名:講座 感覚・知覚の科学 5 感覚・知覚実験法
編者:岡嶋克典
発行:朝倉書店(2008.10.30)

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☆☆☆★★

五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の研究についての基礎知識と実験方法について書かれている本です.広い範囲の研究を含むので,当然著者は多いのですが,著者によって読みやすさが違いすぎます.仕方がないこととはいえ,もう少しなんとかならなかったのかな,と思います.資料として.

2018年9月12日水曜日

Wonderful R 1 Rで楽しむ統計

題名:Wonderful R 1 Rで楽しむ統計
監修:石田基広
著者:奥村晴彦
発行:共立出版(2016.9.15)

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☆☆☆☆★

データ分析ツールの R を使って統計の基本を学ぶことができる本です.統計の基本,といっても,使い方の基本で,照明や導出は書かれていません.こういう場合のこういう統計量は,R のこういうコマンドで出てくるよ,ということが書かれている本です.もう少し R のコマンドについての説明があるとよかった.

2018年9月3日月曜日

はじめての統計データ分析 ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学

題名:はじめての統計データ分析 ベイズ的〈ポスト p 値時代〉の統計学
著者:豊田秀樹
発行:朝倉書店(2016.5.25)

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☆☆☆☆★

有意性検定や p 値を使わないベイズ統計の入門書です.文系の学生を対象にしているようで,導出や証明はせず,統計量の使い方の説明に終始しています.ベイズ統計ではコンピューターのツールで計算するのですが,その辺りの記述があまりないのが残念です.最近は有意性検定や p 値を使った論文を認めないジャーナルが増えてきたので,ベイズ統計を勉強しなきゃ,という人が最初に手に取る本としてオススメです.