2017年2月26日日曜日

スペイン人 16-19世紀の行動と心性

題名:スペイン人 16-19世紀の行動と心性
著者:バルトロメ・ベナサール
訳者:宮前安子
発行:彩流社(2003.7.30)

L'HOMME ESPAGNOL
by Machete Litterature
1975

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☆☆☆☆★

近世スペインの社会や人々について書かれている本です.スペインに興味がある人には面白いと思います.現代のスペイン人のメンタリティの起源などについても書かれていて,巨み深く読みました.ただ,地図がほとんどなかったり,(著者にとっとは当たり前だと思われる)歴史についての説明がないので,スペインについての知識がないとわからないかもしれません.

2017年2月25日土曜日

顔を科学する 適応と障害の脳科学

題名:顔を科学する 適応と障害の脳科学
編者:山口真美,柿木隆介
発行:東京大学出版会(2013.1.18)

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☆☆☆☆★

顔認知研究について書かれている本です.非侵襲的脳機能測定から化粧まで同じ本に収まっています.こういうさまざまな分野が関わる学際的研究って,大好きです.

スモールワールド ネットワークの構造とダイナミクス

題名:スモールワールド ネットワークの構造とダイナミクス
著者:ダンカン・ワッツ
訳者:栗原聡,佐藤進也,福田健介
発行:東京電機大学出版局(2006.1.30)

SMALL WORLDS
by Duncan J. Watts
1999

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☆☆☆★★

スモールワールド現象について書かれている本です.といっても,一般向けではなく,グラフ理論やネットワーク構造などが数学で説かれています.

2017年2月24日金曜日

わかりやすいパターン認識

題名:わかりやすいパターン認識
著者:石井健一郎,上田修功,前田英作,村瀬洋
発行:オーム社(1998.8,20)

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☆☆☆★★

パターン認識について解説されている本です.機械学習の基本的な事柄が書かれています.入門書というより,少し勉強した人向き.ディープラーニングなどの中身はどうなっているのか知りたい人にもオススメです(ちょっと古いけど,原理的なことは十分.続編も出ているようです).

2017年2月21日火曜日

バスクとスペイン内戦

題名:バスクとスペイン内戦
著者:狩野美智子
発行:彩流社(2003.11.15)

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☆☆★★★

バスクにおけるスペイン内戦の様子が書かれている本です.ゲルニカのことが知りたくて手に入れたのですが,一般向けの本ではありませんでした.専門的な知識のない人に寄り添って書いてくれればいいのに.残念.

歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学

題名:ハヤカワ文庫 歴史は「べき乗則」で動く 種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学
著者:マーク・ブキャナン
訳者:水谷淳
発行:早川書房(2009.8.25)

UBIQUITY
by Mark Buchanan
2000

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☆☆☆★★

さまざまな自然現象や社会現象に冪乗則が当てはまるということについて書かれている本です.とくに驚くようなことは書かれていません.この手の話題に馴染みがない方にはオススメです.

授業研究法入門 わかる授業の科学的探究

題名:授業研究法入門 わかる授業の科学的探究
編者:河野義章
図書文化社(2009.4.30)

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☆☆★★★

授業研究についのあれこれが書かれている本です.総花的な説明で,この本を読んでもあまり役に立ちそうにありません.肝心なことが書かれていなくて,モヤモヤする本です.

眠られぬ夜のために

題名:岩波文庫 眠られぬ夜のために 第1部/第2部
著者:ヒルティ
訳者:草間平作,大和邦太郎
発行:岩波書店(1973.5.16/1973.8.16)

FÜR SCHLAFLOSE NÄCHTE (ERSTER TEIL / ZWEITER  TEIL)
by Carl Hilly
1901/1948

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☆★★★★

スイスの法学者で哲学者のヒルティがキリスト教の聖書を引きながら,l年分の日付ごとに生き方などについて語っている本です.20世紀初頭に書かれているためか,自然科学との折り合いの付け方(付けなさ方)が興味深い本です.科学は事実を語り,宗教は真実を語る,という感じでしょうか.資料として.

2017年2月14日火曜日

中学生までに読んでおきたい日本文学 10 ふしぎな話

題名:中学生までに読んでおきたい日本文学 10 ふしぎな話
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2011.3.25)

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☆☆☆☆★



不思議な話がいろいろ集められている本です.全10巻のこのシリーズで一番好きかも.

中学生までに読んでおきたい日本文学 9 食べる話

題名:中学生までに読んでおきたい日本文学 9 食べる話
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2011.3.25)

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☆☆☆☆★


食べる話がいろいろ集められている本です.なにかつまむものをそばに置いてから読み始めるのがお勧めです.

中学生までに読んでおきたい日本文学 8 こわい話

題名:中学生までに読んでおきたい日本文学 8 こわい話
編者:松田哲夫
発行:あすなろ書房(2011.2.28)

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☆☆☆☆★

短編ならではのこわい話が集められている本です.色欲はコワい,という話が結構載っています.おお,こわ.

2017年2月13日月曜日

旅する人びと

題名:ヨーロッパの中世4 旅する人びと
著者:関哲行
発行:岩波書店(2009.2.24)

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☆☆☆☆★

中世ヨーロッパ社会における広義の旅(移動)について書かれている本です.ヨーロッパといいながらスペイン周辺の話題が多いのは,ご愛嬌でしょう.サンティアゴ巡礼や大学の起源など,興味深い内容でした.ヨーロッパで水路が発達したのが道路事情の悪さだとすると,ヨーロッパの人たちから見てやはりローマ人はすごかったということなのでしょうね.

脳科学の算数・数学教育への応用

題名:脳科学の算数・数学教育への応用
著者:黒田恭史
発行:ミネルヴァ書房(2007.3.10)

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☆☆★★★

近赤外分光法による脳活動の測定を算数教育に適応できないかを論じた学位論文をもとに書かれている本です.資料として.

日本人の大地像 西洋地球説の受容をめぐって

題名:日本人の大地像 西洋地球説の受容をめぐって
著者:海野一隆
発行:大修館書店(2006.12.15)

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☆☆☆☆☆

主に日本人が地球が球形をしているという概念を受容するまでの様子が書かれている本です.地球のことだけではなく,宇宙観まで扱われています.仏教的世界観とキリスト教布教に伴ってやってきた大地(だいち)球体説とのせめぎあいの歴史など,とても興味深い内容でした.仏教的世界観の最後のあがきで,須弥山が宇宙エレベーターみたいになっているのはご愛嬌かな.地球説が日本に伝わったのが中国や朝鮮半島より早かった,ということも初めて知りました.

2017年2月12日日曜日

物理学の挑戦

題名:物理学の挑戦
編者:日本物理学会
発行:日本評論社(2006.6.25)

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☆☆☆★★

日本物理学会が開催した講演会の内容をまとめてある本です.講演会を聞きに来るような方を対象としているのだと思うのですが,一般の方々には馴染みのない記述が多く,かといって(ちょっと分野の異なる)専門家向けでもない感じです.大学院への進学考えている大学生向き? 棚卸し本.ちと古いので,ヒッグスボソンがまだ見つかっていなかったりします.

響きの科楽 ベートーベンからビートルズまで

題名:響きの科楽  ベートーベンからビートルズまで
著者:ジョン・パウエル
訳者:小野木明恵
発行:早川書房(2011.6.15)

HOW MUSIC WORKS
The Science and Psychology of Beautiful Sounds, from Beethoven to the Beatles and Beyond
2010

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☆☆☆☆★

音と音楽についての物理的な解説が書かれている本です.音楽を科学的に理解をしたいと思っている方にオススメです.とはいえ,長年の疑問への答えはなかったので,星ひとつ減点(自分で解決しろって,はい,その通りですね).

2017年2月9日木曜日

コスモス・オデッセイ 酸素原子が語る宇宙の物語

題名:コスモス・オデッセイ 酸素原子が語る宇宙の物語
著者:ローレンス・M・クラウス
訳者:林大
発行:紀伊国屋書店(2003.5.26)

ATOM: An Odyssey from the Big Bang to Life on Earth...and Beyond
by Lawrence M. Krauss
2001

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☆☆☆☆★

宇宙の始まりから終わりまでの,おもに物質の様子について書かれている本です.酸素原子を主人公にする,という面白い構成になっています.やや冗長というか,もったいぶった書き方(とくに各章の書き出し)が残念ですが,全体としてはよくまとまっていると思います.時間があるときにじっくり読むのがいいかも.

宇宙の定数

題名:宇宙の定数
著者:ジョン・D・バロウ
訳者:松浦俊輔
発行:青土社(2005.3.8)

THE CONSTANTS OF NATURE
by John D. Barrow
2002

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☆☆☆★★

自然法則の定数について書かれている本です.同じ著者の本を続けて読むと,重複が多いことに気がつきます.なんか損した気分(他山の石以て玉を攻むべし,ですね).あと,やはり数式がたくさん出てくるのに縦書きなのは読みにくい.一般書だから縦書き,という常識はもういらないのではないでしょうか,編集の皆さん.いまや,世の中の文書は横書きが重ですよ.すべて横書きにしろと言っているのではなく,せめて数式が出てくる本くらいは横書きにしましょうよ.

2017年2月8日水曜日

素晴らしい三角法の世界 古代エジプトから現代まで

題名:素晴らしい三角法の世界 古代エジプトから現代まで
著者:エリ・マオール
訳者:好田順治
発行:青土社(1999.9.10)

TRIGOMETRIC DELIGHTS
by Eli Maor
1998

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☆☆☆★★

三角法について歴史や科学の観点から書かれている本です.とても興味深いことがいろいろ書かれているのですが,数式がたくさん出てくるのに縦書きでとても読みにくいので,星ひとつ減点.編集も大変だったろうに.素直に横書きにしておけば,と思いますが,きっと横書きだと売れないと言われたのだろうなぁ.資料として.

ワクチンは怖くない

題名:光文社新書 ワクチンは怖くない
著者:岩田健太郎
発行:光文社(2017.1.20)

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☆☆☆★★

医療者がワクチンについて書いている本です.インフルエンザワクチンやいわゆる子宮頚がんワクチンについても書かれています.新書という出版形態なので,対象として想定している読者は一般の方々で,医学的な論文を読むことができる人は少ないともいます.ワクチン接種の効果については,インターネットでも書籍でも錯綜している感があって,なにが正しいのかわかりにくくなっています.この本でも,批判的吟味が重要と書かれていますが,そもそも批判的に考えることができる人が少ない現状では,この本自体を評価するのも難しいと思います.

単純な法則に支配される宇宙が複雑な姿を見せるわけ

題名:単純な法則に支配される宇宙が複雑な姿を見せるわけ
著者:ジョン・D・バロウ
訳者:松浦俊輔
発行:青土社(2002.12.15)

Between Inner Space and Outer Space: Essays on Science, Art and Philosophy
by John D. Barrow
1999

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☆☆☆★★

宇宙や科学にまつわるエッセイをあれこれまとめてある本です.書評が多いせいかもしれませんが,とても読みにくい.短い中にさまざまなことが凝縮されていて,読むのが疲れます.一応テーマごとに分けて並べてはあるのですが,一冊通してテーマを掘り下げるような書き方ではありません.その意味で邦訳は不誠実.

2017年2月7日火曜日

人類が変えた地球 新時代アントロポセンに生きる

題名:人類が変えた地球 新時代アントロポセンに生きる
著者:ガイア・ヴィンス
訳者:小坂恵理
発行:化学同人(2015.7.15)

Adventures in the Anthropocene
A Journey to the Heart of the Planet We Made
by Gaia Vince
2014

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☆☆☆☆★

地質学上の新しい時代として提案されている「アントロポセン(人新世)」をキーワードとして人類の生息環境としての地球について書かれている本です.膨大だと思われる取材をもとにして書かれていて,読み応えがあります.どうやって取材費用を出したのか,余計な心配をしたくなるほどです.アントロポセンというキーワードは,やや勇み足かも.

よく書けているだけに細かいところが気になります.たとえば,「グラフェンと呼ばれるカーボンナノチューブのシート」(383ページ)という記述(グラフェンは炭素原子の単層膜で,カーボンナノチューブを敷き詰めたシートではない)とか,「マラリアや黄熱病やデング熱など,死亡率の高い伝染病を媒体する蚊の発生場所でもある」(413ページ)という記述(マラリア,黄熱病,デング熱は,伝染病ではなく感染症,日常生活ではヒトからヒトへの伝染はしない.「媒体」ではなく「媒介」)とか.原書を確認していないのて,翻訳の誤りかもしれませんが.

2017年2月5日日曜日

単位がわかると物理がわかる SI単位系の成り立ちから自然単位系まで

題名:読んで楽しむ教科書 単位がわかると物理がわかる SI単位系の成り立ちから自然単位系まで
著者:和田純夫,大上雅史,根本和昭
発光:ベレ出版(2002.12.25)

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☆☆★★★

物理での単位系の見方について書かれている本です.一見わかりやすそうに書かれていますが,荒い感じです.たとえば,ブラウン運動を見るのに花粉の動きを使う(実際は,花粉の中から出てくる粒子を観察します)とか,スペースシャトルの中が無重力状態なのは慣性運動しているからだ(実際は,地球の周りを落ちているからです)とか.また,個数を単位と言っていいのかいけないのかも,揺れがあります.単位についてはおかしなことは書かれていませんが,他の本と併せて読むことをオススメします.

2017年2月4日土曜日

エコロジカル・フットプリント 地球環境持続のための実践プランニング・ツール

題名:エコロジカル・フットプリント 地球環境持続のための実践プランニング・ツール
著者:マティース・ワケナゲル,ウィリアム・リース
監訳:和田喜彦
訳者:池田真里
発行:合同出版(2004.9.10)

OUR ECOLOGICAL FOOTPRINT
Reducing Human Impact on the Earth
by Mathis Wackernagel & William E. Rees
1996

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☆☆★★★

「エコロジカル・フットプリント」という経済活動の持続可能性を評価するための分析ツールについて書かれている本です.表が90度回転していたり,コラムが本文を分断するように入っていたり,編集が酷すぎ.どうしても読まなければならない事情があるならガマンもできるでしょうが,読む気が失せます.内容はそれほど悪くない(良くもないけど)ので,少し残念.

知の挑戦 科学的知性と文化的知性の統合

題名:知の挑戦 科学的知性と文化的知性の統合
著者:エドワード・オズボーン・ウィルソン
訳者:山下篤子
発行:角川書店(2002.12.20)

CONSILIENCE
by Edward O. Wilson
1998

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☆☆★★★

人間の文化的活動や学問を自然科学の知見と枠組みで統合しようというようなことが書かれている本です.積ん読本処理.買ったものの,なかなか手に取ることができずに放ってありました.読んでみて,やはりこういう本は若いうちに読まないときついと実感しました.いちいち鼻について,読み進むのが辛い.

世界でもっとも正確な長さと重さの物語

題名:世界でもっとも正確な長さと重さの物語 単位が引き起こすパラダイムシフト
著者:ロバート・P・クリース
訳者:吉田三知世
発行:日経BP社(2014.11.25)

World in the Balance: The Historic Quest for an Absolute System of Measurement
by Robert P. Crease
2011

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☆☆☆☆★

長さや質量などの単位の歴史とこれからについて書かれている本です.この著者の本はいつもそうなのですが,とてもよく取材されていて,登場人物の細かいところまで描写されています.それを面白いと思うか,しつこいと思うかは,好みなのかもしれませんが,私には冗長に感じられます.内容は興味深いので,単位について知りたい方は読んでおくのがいいと思います.

2017年2月2日木曜日

死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日

題名:死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
著者:門田隆将
発行:PHP研究所(2012.12.4)

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☆☆☆☆★

福島第一原子力発電所の事故を追ったノンフィクションです.ずいぶん前に手に入れていたのですが,なかなか読むことができず,やっと読みました.