2022年2月22日火曜日

マンガ! 大英博物館マンガ展図録


題名:マンガ! 大英博物館マンガ展図録

編集:ニコル・クーリッジ・ルーマニエール,松葉涼子

訳者:山川早霧,飯原裕美

発行:三省堂(2020.11.20)


Manga マンガ

Edited by Nicole Coolidge Rousemaniere, Matsuba Ryoko

2019


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☆☆☆☆★


2019年に大英博物館で開催された「マンガ展」の公式図録の日本語版です.日本にいて空気のように漫画に接していてはなかなかできない構成の展覧会だったようで,観ることができなくて残念です.公式図録の日本語版が商業出版として出てしまうところがすごいですね.奥付がなくて探したところ,カバーにありました.なにか事情があるのでしょうか.カバーの「アシリパ」さんがとてもいい感じです.オリジナルの図録も色は異なりますが構図は同じようなので,編集の方々のセンスが素晴らしかったのかな.資料として.

2022年2月21日月曜日

氏名の誕生 江戸時代の名前はなぜ消えたのか


題名:ちくま新書 氏名の誕生 江戸時代の名前はなぜ消えたのか

著者:尾脇秀和

発行:筑摩書房(2021.4.10)


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☆☆☆★★


「氏名」はいつどのようにできたのかが書かれている本です.なんとなくしか知らなかった(主に江戸時代以降の)日本人の名前について,詳細に知ることができます.明治政府による苗字強制の理由が意外というか,腑に落ちました.資料として.

世界の名前


題名:岩波新書 世界の名前

編集:岩波書店辞典編集部

発行:岩波書店(2016.3.18)


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☆☆☆☆★


名前にまつわるエッセイが集められている本です.国や地域,言語,時代などの名前の仕組みや名付けなどについて,それぞれの専門家が書いた短い文章がまとめられています.長年の疑問だった名前についてのあれやこれやが解決して,スッキリしました.

2022年2月17日木曜日

キラキラネームの大研究


題名:新潮新書 キラキラネームの大研究

著者:伊東ひとみ

発行:新潮社(2015.5.20)


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☆☆☆☆☆


名づけから見た日本語論が展開されている本です.タイトルに騙されてはいけません.キラキラネームは出発点に過ぎず,日本語という言語の成り立ちや日本語社会全般に及ぶ問題にまで至る「旅」が綴られています.力作です.氏名を持つすべての人に一読を勧めます.

2022年2月15日火曜日

牧野富太郎 植物の神様といわれた男


題名:牧野富太郎 植物の神様といわれた男

著者:横山充男

描者:ウチダヒロコ

発行:くもん出版(2022.1.28)


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☆☆☆☆☆


「日本の植物学の父」牧野富太郎の伝記です.カバーと本文中のイラストはウチダヒロコさん.丁寧に植物を描かれていて,イラストも見応えありです.本当に久しぶりに伝記という形式の本を読みましたが,なんかいいですね.漢字にルビが振られているのもいい.常用漢字以外はひらくという方針は好きではありません.牧野富太郎さん,お名前は存じておりましたが,これほどロックな方だったとは知りませんでした.

ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密


題名:岩波 科学ライブラリー 259 ちいさい言語学者の冒険 子どもに学ぶことばの秘密

著者:広瀬友紀

発行:岩波書店(2017.3.17)


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☆☆☆☆★


大人たちが使う言葉の秩序を論理的に見出していくことから「ちいさい言語学者」と呼ばれることもある子供たちの言葉の使い方を例に,言語学周辺の学問を紹介している本です.「まえがき」にもありますが,言語学を体系的にまとめた本ではなく,言語習得の面白さが紹介されている本です.学問の周辺散歩しているような感じで,よくこれで本にまとめることができたぁ,と思っていたら,その心は「あとがき」に書かれていました.

40ページの「起きる」に違和感を感じましたが,3段落後に括弧書きでコメントがあり,納得しました.コメントを早めに書いておいてもらえると混乱しなかったかも.

2022年2月10日木曜日

岩石と文明 25の岩石に秘められた地球の歴史

題名:岩石と文明 25の岩石に秘められた地球の歴史 上・下 

著者:ドナルド・R・プロセロ

訳者:佐野弘好

発行:築地書館(2021.5.31)


The Story of the Earth in 25 Rocks: Tales of Important Geological Puzzles and the People Who Solved Them

by Donald R. Prothero

2018


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☆☆☆★★


岩石や地質現象などを題材に地球科学について書かれている本です.前半と後半でスタイルが異なるのは,執筆時期か雑誌など初出媒体の違いでしょうか.後半はちょっと冗長な感じで,前半の方が楽しく読めました.地質や岩石の本でいつも思うことですが,この本でも写真はカラーの方が嬉しいかな.値段を考えると難しいのはわかるのですが,せめてwebと連携するとか.

上巻186ページに「鉛筆の『鉛』をつくっているのと同じ鉱物である」との記述がありますが,この「鉛」はおそらく lead で「鉛筆の芯」のことですね.訳者は,「鉛筆の『鉛』」といえば芯のことだとわかる,と判断したのでしょうか.それとも,「鉛筆」の語源は常識だと考えたのでしょうか.まあいまどき,鉛筆の芯は鉛が使われている,と誤解する人もいないのかな.

下巻58ページの「原始爆弾」は「原子爆弾」ですね.こちらは校正漏れかな.

2022年2月9日水曜日

誰よりも、うまく書く 心をつかむプロの文章術

題名:誰よりも、うまく書く 心をつかむプロの文章術

著者:ウィリアム・ジンサー

訳者:染田屋茂

発行:慶應義塾大学出版会(20211.12.20)


ON WRITING WELL: The Classic Guide to Writing Nonfiction by William Zinsser

by William K. Zinsser

1976, 1980, 1985, 1988, 1990, 1944, 1998, 2001, 2006


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☆☆☆☆★


ノンフィクションの書き方や書く際の心構えなどが書かれている本です.アメリカではロングセラーの定番文章読本とのことで,英語に特有な内容も含まれていますが,普遍的な内容も豊富です.ノンフィクションについて書かれていますが,フィクションにおいても重要なことが書かれているので,物書きに興味がある方全般にお勧めします.それにしても,翻訳の苦労が偲ばれます.日本語で読めることを感謝.

2022年2月4日金曜日

第一印象の科学 なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?


題名:第一印象の科学 なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?

著者:アレクサンダー・トドロフ

訳者:中里京子

監修:作田由衣子

発行:みすず書房(2019.1.16)


FACE VALUE: The Irresistible Influence of First Impression

by Alexander Todorov

2017


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☆☆☆☆★


ヒトの顔の研究について書かれている本です.私たちが抱く第一印象や顔から受ける人柄などがいかにあてにならないかが,よくわかります.顔とはなにか,なぜ眉毛があるのか,どうして化粧をするのかなどの疑問に答えてくれます.すべての人に,とくに表情を読むことに長けていると自覚している人に,ご一読をおすすめします.