2018年11月24日土曜日

アリエナクナイ科学ノ教科書 空想設定を読み解く31講

題名:アリエナクナイ科学ノ教科書 空想設定を読み解く31講
著者:くられ
発行:ソシム(2017.3.10)

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☆☆☆★★

空想の世界で描かれる夢に科学からアプローチを試みる本です.以前話題になった『図解アリエナイ理科ノ教科書』の著者なので期待したのですが,出だしはともかく,全体としては期待したほどではありませんでした.

165ページに「平均分子量2のヘリウム」という,とてもファンタジックな記述があります.現実の科学からのアプローチならば,ヘリウムの分子量は4です.校正不足なのか直す気がないのか.読んだのは6刷なので,何処かで誰かが気づいていると思うのですが.後者だとすると,
残念です.

2018年11月21日水曜日

Wonderful R 3 再現可能性のすゝめ RStudioによるデータ解析とレポート作成

題名:Wonderful R 3 再現可能性のすゝめ RStudioによるデータ解析とレポート作成
監修:石田基広
著者:高橋康介
発行:共立出版(2018.5.15)

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☆☆☆★★

統計ソフト R の統合開発環境 RStudio による再現可能なデータ解析とレポート作成について書かれいてる本です.そこそこ R を使える人を対象読者に想定して書かれているので,それなりの覚悟がいります.初心者はブッチちぎられます.もう少しチュートリアル的なものがあるとよかったかな.

2018年11月13日火曜日

探偵は教室にいない

題名:探偵は教室にいない
著者:川澄浩平
発行:東京創元社(2018.10.12)

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☆☆☆☆★


中学生の日常で起きる事件(?)の謎解きのお話です.第二十八回鮎川哲也賞受賞作.この設定でどうミステリーにするのかな,と思って読み出しましたが,うーん,うまい.若干謎の設定や,明らかに伏線の仕込みだとわかる場面もありますが,それをいったら大抵のお話はそうなので,気にしないことにしましょう.札幌周辺が舞台なので,なじみ深い地名が出てくるのも楽しかった.受賞時の題名から変えて出版したのは,おそらくその辺りの狙いもあったのではないかと.iBooks にて.

2018年11月10日土曜日

新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる

題名:ブルーバックス 新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる
著者:臼田孝
発行:講談社(2018.4.20)

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☆☆☆☆☆

質量の単位の改定を中心に単位と計量学について書かれている本です.来年(2019年)には質量の単位の定義が変わる予定です.130年間にわたって質量の単位をになってきた「国際キログラム原器」から,基礎ぶつりていすうであるアボガドロ「定」数とプランク定数を定義値として定め,そこから 1 kg を決めることになります.そのあたりの顛末やそうしなければならない理由などが,丁寧に書かれています.現代を生きる人の教養として,すべての人に勧めます.ぜひご一読を.