2018年5月30日水曜日

アルテミス

題名:ハヤカワ文庫SF アルテミス 〈上,下〉
著者:アンディ・ウィアー
訳者:小野田和子
発行:早川書房 (2018.1.24)

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☆☆☆☆★

月面都市アルテミスでのミッション・インポッシブルを描いたSFです.著者は『火星の人』を書いた方なので期待して読み出しましたが,期待が大きすぎたかも.語り口は軽く,読みやすいのは相変わらずでとてもいいのですが,内容がいまいち.というか,面白いのですが期待が大きすぎて…… 楽しい映画にはなりそうですね.

2018年5月19日土曜日

虚談

題名:虚談
著者:京極夏彦
発行:KADOKAWA(2018.2.28)

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☆☆★★★

現実と虚構をめぐる短編9篇の連作集です.残念なことに,最初の1篇を読んだところで読み進める意欲を失いました.反面教師に授業料を払ったと思うことにします.

2018年5月18日金曜日

屍人荘の殺人

題名:屍人荘の殺人
著者:今村昌弘
発行:東京創元社 (2017.10.13)

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☆☆☆★★

第27回鮎川哲也賞受賞作のミステリーです.「デビュー作にして前代未聞の3冠!/『このミステリーがすごい!2018年版』第1位/『週刊文春』ミステリーベスト第1位/『2018本格ミステリ・ベスト10』第1位」とのことで,期待して読み始めましたが,これは意見が分かれそう.文章はうまいし,展開もいいのだが,肝心(に思える)ところがそれでいいのか,という感じ.まあでも,面白いことは請け合います.iBooks にて


2018年5月6日日曜日

レッド・マーズ,グリーン・マーズ,ブルー・マーズ

題名:創元SF文庫 レッド・マーズ〈上,下〉,グリーン・マーズ〈上,下〉,ブルー・マーズ〈上,下〉
著者:キム・スタンリー・ロビンスン
発行:東京創元社(1998.8.28,2001,12,21,2017,4,21)

RED MARS, GREEN MARS, BLUE MARS
 by Kim Stanley Robinson
1993, 1994, 1996 

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☆☆☆☆★

人類が火星に移り住む様子について語られている SF です.長い.各巻 500 ページほど,『ブルー・マーズ』に至っては 600 ページ超えです.そして,3 部作のそれぞれが出る間隔も長い.シリーズ最終作の『ブルー・マーズ』が出たのは,最初の『レッド・マーズ』が出てから 20 年,2 作目の『グリーン・マーズ』が出てから 16 年経ってからです.これだけ間があいてもきっちりシリーズを完結させてくる東京創元社には敬意を払いますが,『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』がどんなお話だったのかは忘れてます.もう一度最初から読み直しましたよ.面白いのですが,一気に読むとさすがに疲れます.そして残念ながら,良い長編を読んでいて残りのページ数が少なくなってきたとに感じる「ああ,終わってほしくない」という感覚は得られませんでした.長すぎかも.ところどころ,物理的に木になる記述があることも含めて,星ひとつ減点.

火星に宇宙エレベーターがつくられ,落とされ,またつくられます.宇宙エレベーターの記述についてはいろいろいいたいこともありますが,書かれた時代を考えるとこんなものかなと.

2018年5月1日火曜日

「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで

題名:「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで
著者:田中ゆかり
発行:岩波書店(2011.9.29)

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☆☆☆★★

小説やマンガ,TVドラマなどの創作物で使われる方言もどき「方言コスプレ」について書かれている本です.意識調査とコンテンツ分析で方言の価値の変遷を追っていく書き方ですが,全体的に論文調で,あまり面白くありません.データや根拠は出典などを記すだけにしてもよかったのでは.題名が魅力的なだけに残念です.